実話ミステリーNetflix「ザ・ウォッチャー」 (TV/2022)

glee/グリー」以降、作品が途切れることがないライアン・マーフィー制作「ザ・ウォッチャー」。ここ数年はNetflixでの発表も続いていて最近も「ダーマー」の配信が始まったところ。この勢いに乗って実話に基づいているという本作も視聴。さぁどうだったでしょうか(‘ω’)

■ ザ・ウォッチャー  – The Watcher – ■

The-Watcher-tv2022

2022年/アメリカ/全7話
原作・制作:ライアン・マーフィー、イアン・ブレナン

出演:

  • ブラノック家
    • ボビー・カナヴェイル(ディーン)
    • ナオミ・ワッツ(ノラ)
    • イザベル・グラヴィット(エリー)
    • ルーク・デヴィッド・ブラム(カーター)
  • ジェニファー・クーリッジ(不動産屋カレン)
  • ノーマ・ドゥメズウェニ(私立探偵セオドラ)
  • ミア・ファロー(パール)
  • ジャスパー(ジャスパー)
  • リチャード・カインド(ミッチ)
  • マーゴ・マーティンデイル(モー)
  • ジョー・マンテロ(ジョン)
  • ヘンリー・ハンター・ホール(ダコタ)

■解説:
不吉な手紙。奇妙な隣人。悪意に満ちた脅し。理想のマイホームを手に入れて郊外に越してきた一家を悪夢が襲う ─

Netflix


Contents

あらすじ

The-Watcher-tv2022

一目見て気に入ってしまった豪邸で暮らすためにニューヨークからニュージャージー、ウエストフィールドに越してきたブラノック一家。貯金や証券など全財産をはたいた上にローンを借りて手に入れた家。不安は少しあったものの犯罪が少ないと言うこの地域での生活が始まった。
だが、土地の境界があやふや、勝手に家に入って来るなどのご近所さんの奇行に驚かされ首をかしげているうち、脅迫めいた手紙までが届くようになり、家族は次第に目に見えない誰かに怯えるようになって家族同士の結束までもが不安定になっていく ─

contents

  1. 友人よ、ようこそ
  2. 血の生贄
  3. 神々の黄昏
  4. 誰かに見られてる
  5. オッカムのかみそり
  6. 夕闇
  7. 取り憑かれて

オッカムのかみそりとは

「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針。「剃刀」という言葉は「説明に不要な存在を切り落とすこと」を比喩している。

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見どころと感想

一目見て「絶対に手に入れたいっ」、入札に競争相手がいれば「絶対負けたくないっ」、「全てのモノを投げ出してでも手に入れてみせるっ」。

“人間こうなった時こそ一番気を付けないといけない状態なんだよ”っていう神からのお告げをそのまま7話のドラマにした感じの本作「ザ・ウォッチャー」。そのうえ、今回の一番の主人公である豪華な邸宅には実はもっと怖い過去の事件と家に憑いているもろもろの事象があったんだよ、というエンターテイメント性の高いおまけ付き。

今回の被害者 ブラノック家

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夫ディーンと陶芸家の妻ノラ、年頃の長女エリーと長男カーターの4人家族。これまでは繋がりの強い家族であったのに、ここに越してきてからというもの父親ディーンの娘に対するしつけが厳しくなり、エリーから反発されるように。それは16歳という年齢も関係あるのかもしれないが、夢のマイホームでの生活に釘を刺されたようで父娘ともども気分が悪い。母親ノラはそんな二人の間を取り持ちながらも、だんだんと眉間に皺が寄って取れなくなっていく夫を心配している。
そんな引っ越して間もないある日、カーターのペットが自宅内で殺され、見知らぬ者が勝手に入り込んでいることに気が付いた一家。すぐさま警察に通報し、監視カメラを設置するなど防犯に努めたものの、警察は思うように動いてくれない。隣人は土地の境界を守らず勝手に敷地に入って来る、警備を依頼した業者の若者が娘に近づく、などの他の問題も発生。
そしてついにはポストに家を出て行けと言わんばかりの脅迫めいた手紙が届くようになる ─

ブラノック家の隣人たち

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独り身の姉パール・ウィンズローと弟ジャスパー。
彼らはこの地に古くから住み、ブラノック家の屋敷の主が入れ替わるのを目撃してきた。ジャスパーは過去に起きたある事件を境に精神的な病になり姉パールがずっと面倒をみている。
だがジャスパーが勝手にブラノック家の家に侵入していたのを咎められると、前の家主は赦してくれていたなどと都会では信じられないようなことを言ってのけた。

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ミッチとモー夫妻。
一見、人がよさそうではあるが、ブラノック家との土地の境界を越えてブラノック家側に花を植えたり、それを指摘されると突然切れて怒り出したり、付き合い方が難しい夫婦。何かとディーンにケチをつけ「いつも見張っているからね!」と脅迫まがいの言動も。
息子がいるらしいが一緒には暮らしていない。

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不動産屋カレン

ノラの大学時代の知り合いで、今回たまたまこの家のブローカーだった。家のことや夫のことで相談にのってもらっていたノラだったが、どこか信用できない。

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私立探偵セオドア

地元警察のチェンバーランドに紹介してもらった私立探偵。調査して結果を知ることを仕事というよりは半ば趣味でやっている。今回ブラノック家に届いた手紙について調査を始める。

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謎の男ジョン

家のリフォームの時に居合わせた男ジョン。ディーンは業者関係者だとばかり思っていたが、後に昔この家に住んでいたジョン・グラフであるらしいことが分かる。

他にも似ても焼いても食えなさそうな警察署長チェンバーランド、教師ロジャー、この家の以前の持ち主アンドリューなどが登場するが、いずれも一癖も二癖もあり全く信用できない。唯一、落ち着いて物事を考え処理していくことが出来ている存在は警備業者の若者ダコタ。と言っても狙いは娘エリーなのかもしれないし、全くどの登場人物も信用できない。それはもちろんブラノック家の人々も同じ。

そんなメンバーの中からの犯人捜し。
既に犯人は不法侵入、脅迫手紙、ペット殺し等々、数々の犯罪でブラノック家の人々を恐怖させている。そのうえ、この家で起きた過去の出来事も炙り出されてくるが、それすらも真実なのか何も分からない。

この邸宅の過去の出来事が分かってくる頃から新たな展開に入るんだけど、話は色々な可能性と関わりに広がり出して全体的な流れや雰囲気はまるであの「アメリカン・ホラー・ストーリー」第1シーズンの呪われた屋敷にまつわる物語にそっくりになっていく…

古い屋敷、過去のショッキングな事件、まだ犯人は捕まっておらず未解決、へんな隣人たち。実在の人物なのか、誰かが成り済ましているのか、それとも実在しない…(;’∀’)?
などなど実際にあったいくつかの事件とアメホラ(ライアン・マーフィー)らしい物語がミックスされて、いつものような感じの流れになっていく。もうそうなるとサスペンス性は消えていつものちょいコメディタッチのホラーに。そんな進み方なのでラストもエンタメあふれるものになり、本当の犯人はずばり、この人なのかあの人なのか、結局最初に感じた通りなのか違うのか。なんかちょっと煙に巻かれた感じに。
とは言え、結末知りたさに最後まで一気に観ずにはいられないんだけどね(-ω-)

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ベースになっているアメリカの事件

ウォッチャーハウス事件

ところで、本作は本当にあった事件をベースにしているよ。その名も“ウォッチャーハウス事件”。2014年に起きた事件で内容は不気味な手紙が届き始めた本作と同じ。警察捜査では埒が明かず家主は私立探偵に調査を依頼したものの犯人は見つからずで今も未解決のまま捜査は終了、家も売却に。

The-Watcher
本物のウォッチャーハウス


不幸な家主は実在した ─(;O;)

ジョン・リスト事件

本作のジョンが起こした事件は、そのものずばり“ジョン・リスト事件”。

1971年にアメリカ合衆国ニュージャージー州・ウェストフィールドで発生した一家殺人事件である。すぐさま被疑者は特定されたが、事後工作により事件発覚が1ヶ月も遅れたことで逮捕までに18年かかった。
ドイツ系アメリカ人の会計士ジョン・リスト(1925年9月17日生まれ、当時46歳)の豪壮な館は、1ヶ月もの間、人の気配がないにもかかわらず夜になると電燈がついており、中からはクラシック音楽が昼夜問わず大音量で流されていた。そのため近所から通報が警察に寄せられていた。そのため警察官がこの日踏み込んだところ4人の遺体が部屋に置かれた寝袋の上にあるのを発見した。

Wikipedia:ジョン・リスト事件

というわけで、ラストはいつものライアン・マーフィーで終わっていく「ザ・ウォッチャー」。同じ実話ベースなら「ダーマー」の方が私は好き。少しは脚色されているだろうけれど、ダーマーの半生をドキュメンタリーチックに知ることが出来たと思うし、何より主演のエヴァン・ピーターズが他のどの出演作よりも良くて見応えがあった。「ダーマー」はもう一度観てから感想を書きたいなと思ってる。
そういえばもう一つ。この「ザ・ウォッチャー」にも「ダーマー」と同じく監督にジェニファー・リンチの名が(第5話と7話)。最近よく見かけるわ(‘ω’)

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