今までもリンチ作品は紹介してきたが、何故これがまだだったのか・・・ 久しぶりに観て分かった気がした(-.-) 過去のリンチ作品の集大成と言いましょうか、ローラ・ダーンを中心に各役者さんの持ち味を活かしつつ、撮りたいモノを撮ってストーリーを付けてみました、とでも言いましょうか… ようするに ―
■ インランド・エンパイア - Inland Empire – ■
2006年/アメリカ・ポーランド・フランス/179分
監督・脚本: デヴィッド・リンチ
製作:デヴィッド・リンチ 他
撮影:デヴィッド・リンチ 他
2006年/アメリカ・ポーランド・フランス/179分
監督・脚本: デヴィッド・リンチ
製作:デヴィッド・リンチ 他
撮影:デヴィッド・リンチ 他
出演:
ローラ・ダーン(ニッキー/スーザン)
ジェレミー・アイアンズ(キングスリー・スチュワート監督)
ハリー・ディーン・スタントン(フレディ)
ジャスティン・セロー(デヴォン/ビリー)
カロリーナ・グルシュカ(ロスト・ガール)
スコット・コフィ
グレイス・ザブリスキー
ダイアン・ラッド
ジュリア・オーモンド
アマンダ・フォアマン
ジョーダン・ラッド
スタンリー・カメル
メアリー・スティーンバージェン
ローラ・ハリング
ナスターシャ・キンスキー
マイケル・パレ
ウィリアム・H・メイシー
nae
ナオミ・ワッツ(声の出演)
■解説:
奇才デヴィッド・リンチが「マルホランド・ドライブ」以来5年ぶりに放つ不条理ミステリー。ひとりのハリウッド女優がいつしか現実と出演映画を混同し、さらに交錯するいくつもの奇想天外な世界を彷徨っていく姿を幻想的に描く。■あらすじ:
街の実力者である夫と豪邸に暮らす女優ニッキー。彼女は新作映画の主演に抜擢され、再起を狙う。しかし、不倫を描いたその作品「暗い明日の空の上で」は、曰く付きのポーランド映画「47」のリメイクだと知らされる。そして、映画のストーリーとリンクするようにニッキーは共演者デヴォンと不倫に溺れていく。また映画の中では、ニッキー演じるスーザンが愛憎に巻き込まれ、そこへ「47」の舞台ポーランド、50年代風の部屋に佇む3人のウサギ人間たち、部屋で独りテレビモニターに見入るロスト・ガール、といった不可解な世界が複雑に絡み合っていくのだった ―
(allcinema)
分かりません(-。-)y-゜゜゜
これほど難解で各シーンに意味があるのか無いのかも分からず、それを誰かに伺うのもどうかと思えるほどの意味不明さ。
↑これが率直な感想であります。
が、それでは今、これを書く意味も無いじゃないかと思えますので、少し思ったことを書いていこうと思います。が、いったいどんな内容になっていくかは今現在、全く分かりません・・・
オープニングはリンチらしくホテルの長い廊下に続き、部屋、男女の登場。色は無くモノクロで。ここで既にリンチ風は吹き出しておりまして、男女の顔にモザイクがかかってる。リンチ監督の好きそうな歌に続き、泣きはらした顔の女性と、彼女が見るテレビのウサギ一家。
ありゃ、出た。と思うまもなく次はこの人
リンチ作品常連のローラ・パーマーのお母さん。
パンチのある派手な顔つき、化粧と衣装。その彼女が向かうのはハリウッドのここらの中でも超豪華なあるお宅。そこに住まうのが女優ニッキー。夫は街の実力者。執事やメイドに囲まれて優雅な生活を送っており、久しぶりの主演作品も決まったところ。順風満帆な堂々とした奥様ニッキーは近所に越してきたという女性を優雅に応対していたが、彼女の奇妙で意味の分からない話にだんだんと不安になってくる。
明るい作り笑顔が少しずつ自信の無い不安定な表情に。
女性は「9時45分」がどうとか、「少年」がどうとか話し続ける。何より、この女性に不気味さを感じるのは、カメラのピントが彼女に合っていないこと。彼女の顔がアップであるのに、ピントは背景の家具などに合っている。そしてニッキーも徐々にピントが合わなくなってくる。
このあたりで、きっと近所の女性は“実在していない”んだろうな..と考え始める自分。べらべら話しているとりとめの無い、訳の分からない話はニッキー自身に関することなのか?彼女はこんな事も言っていた。
行動には必ず結果が伴う
だというのに、この後、ニッキーは共演者のデヴォンと不倫関係に。その上、夫に気付かれ、殺されるかもしれない、という状態になる。
だが実は、このあたりから、ニッキーの現実と役であるスーザンの世界が入り交じった形で描写され、途中からはスーザンが現実でニッキーはいなかったんだ・・というような(私が)混乱した状態に。というのも、映画作品「暗い明日の空の上で」そのものが、何ともわかりにくいお話で主人公スーザンもどこかおかしい。ようするに映画内映画のこの作品すらもリンチっぽいのであります。
その上、この「暗い明日の空の上で」は元々ポーランドで「47」というタイトルで映画化が進んでいた作品だったが、主役2人が殺されたことで製作中止。呪われた作品という噂が。それをアメリカでリメイクすることになったという曰く付きの作品だったのだ。
ということで『インランド・エンパイア』とは、ニッキー、スーザン、ポーランドという3つの舞台が、不倫、殺人と妙な人々という設定で、三つ巴となって交錯する作品なのである。どの人物が実在し、どの人物が物語の登場人物で、どの建物がほんとにあって、どの部屋が映画のセットなのか、殺したのは誰で、殺されたのは誰なのか・・・
ラストまで観てもよく分からないのです…(-ω-)
だって、最後近くにはニッキーさえ消えていくんですよ?まるで『マルホランド・ドライブ』のリタみたいに。
それでも所々にキーワードみたいなモノは置かれはいる。
・9時45分
・亡くした息子
・シルクに空いた穴
・腕時計
・奥まった煉瓦の家
・ポモーナ(実在するカリフォルニア南部の都市)
・AxxoN N(アクション?)
・亡くした息子
・シルクに空いた穴
・腕時計
・奥まった煉瓦の家
・ポモーナ(実在するカリフォルニア南部の都市)
・AxxoN N(アクション?)
それぞれが、どんな意味があるかは分からないんですけどね(´д`)
追加で書くと耳に残る台詞もいくつかある。
上にも書いた
・行動には必ず結果が伴う
・昨日のことが分かってきた。明日のことは考えたくない。今日は過ぎていく
・昨日のことが分かってきた。明日のことは考えたくない。今日は過ぎていく
こんな感じでまともなところが細切れにしか出てこない本作ですが、一つだけ最初から最後まで出てくるモノがある。それを無理矢理まとめてみると
夫に浮気を知られた妻は子どもと引き離された。最初は夫を殺したいほど憎んだが、そのうち自分の罪に向き合えるようになり、夫と息子が待つ部屋に戻ることが出来て、その後は幸せに。
こんな風に自分の中でまとめてみたものの、ラストのダンスを見てまたこんな言葉が頭の中に
「抑圧された女性の解放」 あるいは 「内なる宇宙」
え?違います?
今年は「ツイン・ピークス」続編があるし、「Xファイル2016」ももうすぐ見られるし、マット・デイモンのボーンシリーズの続編は10月に公開だし、いい年だー。後は『パシフィック・リム』続編かなー
Contents
リンチ関連作品
-
『ブルーベルベット』(1986) - Blue Velvet –
デヴィッド・リンチ監督の作品の中では珍しく、その存在の意義を考え込んでしまうような奇妙な人は出てこない。リンチ作としてはちょっと寂しく感じてしまうこの映画は… -
『狂気の行方』(2009) - My Son, My Son, What Have Ye Done –
原題の“My Son, My Son, What Have Ye Done”は「あぁ息子よ、お前はいったい何を?」というような意味。息子のことを一番分かっていなかったのは母親だった、とでも言うのであろうか。 -
リンチ × レフンな世界『ロスト・リバー』(2014) - Lost River
ライアン・ゴズリングがリンチ監督『マルホランド・ドライブ』のように撮ったという作品です。もうここで好き嫌いやアレルギーが出てくる方もおられるかと思いますが、…