頭を投げ捨てハートで感じろ
■ワイルド・アット・ハート -Wild at Heart-■
1990年/アメリカ/124分
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ
原作:バリー・ギフォード
製作:モンティ・モンゴメリー他
製作総指揮:マイケル・カーン
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
撮影:フレデリック・エルムズ
出演:
ニコラス・ケイジ(セイラー)
ローラ・ダーン(ルーラ)
ダイアン・ラッド(マリエッタ)
ハリー・ディーン・スタントン(ジョニー)
ウィレム・デフォー(ボビー)
J・E・フリーマン(サントス)
クリスピン・グローヴァー(デル)
イザベラ・ロッセリーニ(ペルディータ)
シェリリン・フェン(交通事故の女性)
シェリル・リー(良い魔女)
ジャック・ナンス(ポージス・スプール)
■解説:
デヴィッド・リンチ独特の、暴力・死・セックスといったモチーフはそのままにして描いたバイオレンス・コメディ。強烈な色彩、タバコや炎の凄まじい程のクローズ・アップ、強調されたノイズと音楽の融合など、様々な映画的手法を駆使して“リンチ・ワールド”を展開している。 (allcinema)
■あらすじ:
アメリカ南部。セイラーは恋人ルーラの母親マリエッタに理由も分からず忌み嫌われていた。「殺してやる」とまで宣言されていたセイラーは、ある日差し向けられた殺し屋を反対に殴り殺してしまう。どこまでも2人の仲を引き裂こうとする母親から逃げるため、セイラーの出所を待ってカリフォルニアへ逃避行する2人。しかしマリエッタはあきらめず、娘を取り返すため愛人の探偵に2人を追わせる。が、なかなか埒があかないことに業を煮やしたマリエッタは、昔の愛人を使って暗黒街の顔役にセイラー殺しを依頼するが-
セイラーとルーラ ふたりの熱いハートは 荒野を焼きつくす。
デヴィッド・リンチ1990年の監督作。
有名な代表作の一つ『ツイン・ピークス』パイロット版が1989年、シリーズが1990~1991年なので、ほぼ同じ頃に撮られた作品。他監督作に比べて比較的分かりやすい内容だ。
テーマは「愛と呪縛」。
恋人同士、母と娘、母と娘の恋人、母と母の愛人-。あらゆる人間関係における愛とその束縛についてを描いている。
娘への異常な執着を示す母親は「悪い魔女」に例えられ、どこまでも2人を追っていく。が、しかしそれは娘への純粋な愛情からの行動ではない。娘がどうして「悪い魔女」の高笑いが耳から離れないのか。それには理由がある。
セイラー ニコラス・ケイジ
蛇皮のジャケットをこよなく愛するセイラー。
このジャケットは彼にとって「魂の自由を信じる俺って人間のシンボルだ」。
「ワイルドなハート」を持つと言うのと反対にジャケットに自分の個性を封じ込め、大事にしているところが面白い。
恋人ルーラのことも深く愛しているが、‘愛している’という割に、何度ルーラに‘セイラー’と叫ばせ、心配をかけていることか_。
親はいないも同然で育ち、ヤクザものの運転手をしていた。その頃起きたある出来事が原因でルーラの母親にとって邪魔な存在となっている。過去の呪縛がなかなか解けないセイラー。ルーラの愛で自由になることはできるのか。
蛇皮のジャケットをこよなく愛するセイラー。
このジャケットは彼にとって「魂の自由を信じる俺って人間のシンボルだ」。
「ワイルドなハート」を持つと言うのと反対にジャケットに自分の個性を封じ込め、大事にしているところが面白い。
恋人ルーラのことも深く愛しているが、‘愛している’という割に、何度ルーラに‘セイラー’と叫ばせ、心配をかけていることか_。
親はいないも同然で育ち、ヤクザものの運転手をしていた。その頃起きたある出来事が原因でルーラの母親にとって邪魔な存在となっている。過去の呪縛がなかなか解けないセイラー。ルーラの愛で自由になることはできるのか。
演じたのはニコラス・ケイジ。本作内のプレスリーの歌も彼が歌っている。
『ナショナル・トレジャー(2004)』などで晴れて子供も観る映画に出演したが、それ以前は本作『ワイルド・アット・ハート』も含め、少し変わった映画に出ることが多かった。
自分が始めて知ったのは『バンパイア・キッス(1988)』。バンパイアになったと思い込んでしまったエリートサラリーマンの狂気を描いた作品。かなりキレている役で、自分にとってニコラス・ケイジといえば、このイメージが強い。残念ながら、DVDにはなっていないようだ。
他にも『リービング・ラスベガス(1996)』『8mm(1999)』『ロード・オブ・ウォー(2005)』なんかがオススメです。
ルーラ ローラ・ダーン
束縛する母親を嫌い、全てを捨ててセイラーと逃避行の途へ。
セイラーへの愛を惜しみなく表現するルーラ。だが彼女も決して幸せな子供時代では無かった。セイラーと出会うまでの様々な記憶が彼女を苦しめ、様々なイメージとなって目の前に現れる。その一つが「悪い魔女」だ。高笑いしながら、ほうきにまたがり追ってくる。それらを忘れさせてくれるのはセイラーだけだった。
『ジュラシック・パーク(1993)』のローラ・ダーンは本作以外にもデヴィッド・リンチ監督作『ブルーベルベット(1986)』、『インランド・エンパイア(2006)』に出演している。独特の魅力を持った女優さんだ。本作ルーラの母親マリエッタ役のダイアン・ラッドが実の母親だと知って驚いた。
束縛する母親を嫌い、全てを捨ててセイラーと逃避行の途へ。
セイラーへの愛を惜しみなく表現するルーラ。だが彼女も決して幸せな子供時代では無かった。セイラーと出会うまでの様々な記憶が彼女を苦しめ、様々なイメージとなって目の前に現れる。その一つが「悪い魔女」だ。高笑いしながら、ほうきにまたがり追ってくる。それらを忘れさせてくれるのはセイラーだけだった。
『ジュラシック・パーク(1993)』のローラ・ダーンは本作以外にもデヴィッド・リンチ監督作『ブルーベルベット(1986)』、『インランド・エンパイア(2006)』に出演している。独特の魅力を持った女優さんだ。本作ルーラの母親マリエッタ役のダイアン・ラッドが実の母親だと知って驚いた。
この作品で面白いのが、この恋人達の会話のシーンだ。
他の登場人物と違って、とても礼儀正しく、なんだかシェイクスピアの舞台的な感じを受ける。2人の会話だけ聞いていると内容はともかく、話し方がとてもバイオレンスな映画だとは思えない穏やかさがある。これは何を狙った演出なのか。悪魔のごとき形相の殺し屋と対比させるととても面白い。
この悪魔の人は『ツイン・ピークス』ローラの母親役グレイス・ザブリスキー。
この2人を取り巻く登場人物は一癖も二癖もある人ばかり。
あわせて逃避行している道中で出会う人々も只者ではない、リンチ監督らしい人々だ。
他にも、たとえ数秒しか映らなくても、決して手を抜かれていないおかしな人が出てくるので、是非リンチワールドを楽しんで欲しい。その人達の存在に意味があるのか、ないのかは、、、、分かりません
「愛と呪縛」からの逃避行で始まるこの作品は、「愛」を受け入れ、「呪縛」から解放され、束縛される事さえも受け入れ背を向けず、真正面から人を愛せるようになったところで終わる。道中で出会う様々な人々や、ルーラの話に出てくる人や事件は、セイラーとルーラが自ら囚われている人や物だ。それら不幸な過去を断ち切り、前を向いて目の前の人をしっかり見つめることが出来たとき、2人に本当のハッピーエンドが訪れた。それは、悪い魔女=母親が写真立てから消えたことからも分かる。
人を呪い、自分の罪を無かったことにしようと企んだ母親は、娘を失い髪を振り乱したまま泣き続け、自分を哀れんだ姿で一生を終えることになる。
ではまた
コメント
コメント一覧 (3件)
ワイルド・アット・ハート
デヴィッド・リンチ監督、脚本の恋愛映画「ワイルド・アット・ハート」です。
「ツイン・ピークス」のおかげで、
日本でもデヴィッド・リンチの名前は一般化したと言っても良いか…
パソコン新しいのは嬉しいけれど、最初が大変ですよね。
いつもありがとうございます。この映画お好きでしたか!
私の場合は「ツイン・ピークス」にも出演している人を知っていたので、「ツイン・ピークス」を中心に
リンチ作品、ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーンとふくらんでいった感じです。
なんかあの頃の作品は、今のCG映画と違って情緒を感じますね。。
しかしリンチ作品は難しいですよね。観てから時間がたつと
「イレイザー・ヘッド」→動く赤ちゃん 「ブルーベルベット」→青い部屋 「インランド・エンパイア」→うさぎ
こんな印象しか残らない感じになってしまいます。
こんばんはです。パソコンが新しくなって最初のカキコです。それにしても夕べはしんどかった・・・(__;)
それはさておき「ワイルド・アット・ハート」ですよ!momorexさんはホンマ定期的に僕のツボにドゴォーン(この効果音は「ドーベルマン刑事」をご想像くださいませ)とヒットする映画をピックアップしていただいてるような気がしています。これも当時めっちゃハマってサントラやら関連書籍やらあれやこれやと買い漁りました。
ぼくも「ブルーベルベット」→「ツイン・ピークス」の流れにハマッた関係でリンチフリークになったんですけど、この映画は他作品と比較しても独特な高揚感といいますか、なんとなく映画自体が酔っ払っているかのような(適当な表現が思い浮かびませんでした・・・)そんな雰囲気があって好きでしたねー(シェリリン・フェンが演じた謎の(?)事故ガールがキャラとしては一番インパクトありました。あれ特になくてもいいシーンじゃないかなと(^_^;))
ニコラス・ケイジの出演作としても間違いなく上位三本に入ります(ちなみに後の二本は「バーディ」と「スネーク・アイズ」)
しかし懐かしいなあ・・・