珍しくちょっと苦手『X エックス』 (2022) ~老人ホラー

「老人が~」っていうのは事前情報で知っていたけれど、「70年代ホラー×不埒な若者」ではなく「往年を忘れられない老人」を掛け合わせたところが、この何とも言えない、全く普通のホラーと違った嫌なゾクゾクが背筋に走る、違う意味で思わずギュッと目を瞑りたくなるホラー映画だったとは知らなかった ─

■ X エックス  – X – ■

X-2022

2022年/アメリカ/105分
監督:タイ・ウェスト
脚本:タイ・ウェスト
製作:タイ・ウェスト他
製作総指揮:キッド・カディ他
撮影:エリオット・ロケット
音楽:タイラー・ベイツ

出演:
ミア・ゴス(マキシーン/パール)
ジェナ・オルテガ(ロレイン)
マーティン・ヘンダーソン(ウェイン)
ブリタニー・スノウ(ボビー・リン)
スコット・メスカディ(ジャクソン・ホール)
オーウェン・キャンベル(RJ)
スティーヴン・ユーレ(ハワード)
ジェームズ・ゲイリン(デントラー保安官)

■解説:
史上最高齢の殺人鬼夫婦が住む屋敷に足を踏み入れてしまった3組のカップルの運命を描いたホラー。

映画.com


お話は起承転結、始まりから盛り上がり、最終結末にいたるまでホラー映画ファンにとっては想像通りに進んで行く、ある意味安心して観ることが出来る絶叫系スラッシャーホラー。
A24製作ということで、作品内で一番怖いのではないのかと噂の絶叫女子(とは限らないが)のアップもたっぷり拝める

X-2022

そのうえ、監督はタイ・ウェスト。今までも数々のホラー作品を撮ってきたとあって、ホラー映画への愛がそこかしこに感じられるリスペクト満載の造りになっている。

Ti-West

監督 タイ・ウェスト
アメリカ合衆国の映画監督、脚本家、編集技師、俳優である。主にホラー映画を多く手掛けており、2013年に雑誌『Complex』によって「25人の注目すべき35歳以下の映画監督」の1人に選ばれた。

Wikipedia

■主な作品


舞台は1979年のテキサスの田舎町であるから、当然、ぶっきらぼうな店員のいる客のいない古びた食料品店で食料品やビールを買い込むし、じろっと睨む地元の頑固一徹爺さんも出てくる。地元警察はトラックに轢かれた牛の始末に忙しそうで、都会とは違うほのぼのした感じを醸し出し、主人公たちは今から待ち受ける自分たちの目的で胸いっぱいだ。

いつもと違うのは彼らは遊び半分の学生グループではなく社会人だということ。それもその仕事は映画製作で、彼らはこの田舎に「農夫の娘」という映画作品(※ただしポルノ映画)を撮影しにやって来た。事前に(利用目的は告げずに)農場主に撮影現場とする納屋を借りてもいた。
とは言え、社会人だろうと学生だろうと映画撮影だろうとキャンプの指導員だろうとやることは一緒。そしてこういったホラーで起きることも一緒。

だが一つ大きな違いがあった。
今回の田舎の連続殺人鬼は史上最高齢の後期高齢者夫婦だったのだ ─

X-2022

と、言いたいところなのだが、実は今までと違う新しい要素は別の所にある。その別のポイント(不快感やえげつなさ)に個人的に耐えられるかどうかが、この作品に対する好みが大きく分かれる分岐点だと思う。

確かに今回の被害者たちは、どこか鼻につくイヤらしさを持っている。学生よりも年上ということで初々しさは無く、同時に女性陣も男性陣も何か一つ足りない感満載だ。とは言え、その微妙さ加減が売りのミア・ゴスは今回も怪しさいっぱいのお色気を振りまいており、それにプラスして決して負けない芯の強さも併せ持ち、それを大いに見せつけていた。そのうえ、ミア・ゴスは殺人鬼パールも演じていた。100歳に手が届くような老婆でありながら、隠しきれない顔のつや。若い人が演ってるのかな~って思ってたらミア・ゴスその人だった。

X-2022

だが、ここまでも案外想定内。別に驚きはしない。お色気担当も、すぐにやられる殺され担当も、殺され方でさえ想像の範囲内なのだ。リスペクトされている過去のホラー映画の有名シーンを楽しむことさえできる。
では何がそれほど気に入らなかったか、、というより苦手だったか。
観た人ならすぐにわかる。とにかくここに書くのも気が引ける、その「ある感情」がそもそもの連続殺人の動機になっているのだった。

これは「幼いこども殺人鬼ホラー」の真逆バージョン。それもその「ある感情」を動機にすることによって、老人に対する意外さを演出し、と同時に老人も同じ人間なのだということを一般ピープルに知らしめ、決して“年なんだから~”とか“老人一括り”とかで高齢者を区別、もしくは差別しないようにという警鐘なのではないかと思われる。

決してお薦めしたくない類似作品

ホラー映画というのは昔話やおとぎ話と同じで、だいたいそういった「気を付けないと怖い目にあうよ」といった教えのようなモノを内包する場合が多い。今回私はきちんとそれを受け取った。そういった意味では本作を観たことの意義があったのかもしれない…

ある感情」については実際に観てもらって感じてもらうとして、なんと本作『X エックス』は三部作になるという。次作は『X エックス』から60年前。まだ若かりしパールが主役で、おそらくどうして彼女が連続殺人鬼になったのか(既になっていたのか)の作品なのかなと思われる。タイトルはその名も『Pearl パール』。乞うご期待と言いたいところだが、どこか胸騒ぎがする…。

情報によると『X』撮影時にコロナ関連で待ちの時間ができた監督が2週間ほどでチャチャっと脚本を書き、『X』と同時に撮影をしたとか。アイデアと行動力。何事もそれが大事(‘ω’)
そして三作目のアナウンスはまだないけれど、きっと『X エックス』の主人公マキシーンの物語になるんじゃないかと予想しておこうっと。


おすすめ70年代ホラー

A24

ザ・ホエール
体重が600ポンド(約270キロ)ある父親が、長年疎遠になっていた10代の娘との絆を取り戻そうとするが ─
アメリカでは2022年12月9日公開。日本での公開予定は2023年。

A24とは

2012年8月20日に設立されたアメリカ合衆国のインディペンデント系エンターテインメント企業。映画やテレビ番組の製作、出資、配給を専門としている。
映画業界出身のダニエル・カッツ、デヴィッド・フェンケル、ジョン・ホッジスが映画配給を専門とするA24フィルムズを共同で立ち上げた。A24フィルムズの活動は2013年の終わりにリリースされた『スプリング・ブレイカーズ』により成長を始めた。同社はその後、『ルーム』、『エクス・マキナ』の米配給権および『ウィッチ』の世界配給権獲得で知名度を上げ、より大きく成長した。

Wikipedia

フィルモグラフィ

2013年

  • チャールズ・スワン三世の頭ン中
  • ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界
  • スプリング・ブレイカーズ
  • ブリングリング
  • いま、輝くときに

2014年

2015年

  • ヤング・アダルト・ニューヨーク
  • カットバンク
  • エクス・マキナ
  • ベアリー・リーサル
  • スロウ・ウエスト
  • AMY エイミー
  • 人生はローリングストーン
  • ダーク・プレイス
  • ワイルド・ギャンブル
  • ルーム

2016年

  • 極悪の流儀
  • ウィッチ
  • 手紙は憶えている
  • クリシャ
  • グリーンルーム
  • サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶
  • ロブスター
  • デ・パルマ
  • スイス・アーミー・マン
  • ロスト・エモーション
  • スイッチ・オフ
  • 追憶の森
  • ムーンライト
  • オアシス: スーパーソニック
  • ザ・モンスター
  • 20センチュリー・ウーマン

2017年

  • アウトサイダーズ
  • フェブラリィ -悪霊館-
  • フリー・ファイヤー
  • ラバーズ・アゲイン
  • 偽りの忠誠 ナチスが愛した女
  • イット・カムズ・アット・ナイト
  • A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー
  • グッド・タイム
  • フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
  • 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
  • レディ・バード
  • ディザスター・アーティスト
  • ワイルド・ウエスト 復讐のバラード

2018年

  • シドニー・ホールの失踪
  • ラスト・ムービースター
  • 荒野にて
  • バグダッド・スキャンダル
  • 魂のゆくえ
  • パーティで女の子に話しかけるには
  • ヘレディタリー/継承
  • エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
  • HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ
  • 暁に祈れ
  • ザ・チルドレン・アクト
  • Mid90s ミッドナインティーズ
  • クライマックス
  • ゾウの女王:偉大な母の物語

2019年

  • グロリア 永遠の青春
  • ネイティブ・サン 〜アメリカの息子〜
  • アンダー・ザ・シルバーレイク
  • ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
  • ミッドサマー
  • フェアウェル
  • SKIN/スキン
  • シェア 私に何が起こったか
  • ディック・ロングはなぜ死んだのか?
  • ライトハウス
  • キル・チーム
  • WAVES/ウェイブス
  • アンカット・ダイヤモンド
  • ファースト・カウ
  • ユーフォリア/EUPHORIA
  • ラミー 自分探しの旅
  • セイント・モード/狂信

2021年

  • フォールス・ポジティブ
  • マクベス
  • カモン・カモン
  • ゾラ
  • ミナリ
  • グリーン・ナイト
  • LAMB/ラム

2022年

  • X
  • MEN 同じ顔の男たち
  • Marcel the Shell With Shoes On
  • Everything Everywhere All At Once
  • After Yang
  • The Sky Is Everywhere
  • Funny Pages
  • Bodies Bodies Bodies
  • Pearl
  • Stars at Noon
  • God’s Creatures
  • The Inspection
  • Causeway
  • Aftersun
  • The Whale
  • The Eternal Daughter
  • Close

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