なんでしょうね、この感じ。人それぞれが頭で考え、心で感じたことを繋ぎ合わせたような。価値観が一緒に見える者が群れてはいるけど、発した言葉はホントにあなたに伝わっているの?私っていったい何?私っていったい誰?こんな女の子達のお話です。自分を探しているのは女の子達だけではなかったりも、、
■スプリング・ブレイカーズ – Spring Breakers -■
2012年/アメリカ/93分
監督:ハーモニー・コリン
脚本:ハーモニー・コリン
製作:クリス・ハンレイ 他
製作総指揮:フェルナンド・サリシン 他
撮影:ブノワ・デビエ
音楽:マルティネス&スクリレックス
出演:
ジェームズ・フランコ(エイリアン)
ヴァネッサ・ハジェンズ(キャンディ)
セレーナ・ゴメス(フェイス)
アシュレイ・ベンソン(ブリット)
レイチェル・コリン(コティ)
グッチ・メイン(ビッグ・アーチー)
■解説:
ラリー・クラーク監督作「KIDS/キッズ」の脚本で鮮烈的なデビューを飾った「ガンモ」「ミスター・ロンリー」のハーモニー・コリン監督が、人気アイドル女優たちを起用し、非日常の刺激を求めて犯罪の世界に足を踏み入れていく女子大生4人組の危険な春休みの行方をセクシー&ポップに活写した青春クライム・ムービー。 (allcinema)
■あらすじ:
地方の大学で退屈な毎日を送る4人の女子大生。来たるスプリング・ブレイク(春休み)のフロリダ旅行を楽しみにしていたが資金が足りない。それではと深夜のダイナーを襲撃して大金を得た彼女らは、意気揚々とフロリダを目指すが ―
わーっと起きた事は時系列に並べられている作品だけれど、人は考える生き物。今、目の前に起きている事を眺めながら、以前の事を思い出したり、これからの事に思いを馳せたり。過去と未来。後悔と希望。もしくは後悔と見えないミライ・・・
水着姿の女の子に銃を持たせた派手な出来事を追う一方、小さな声で呟かれる独り言が漏れ聞こえる。
退屈な大学生活にうんざりしている4人の女子大生が主人公であるけれど、彼女たちは誰にでも当てはまる。
属する場所がありながら、義務を満足に果たさず権利の主張ばかり。
私たちは大学生なのよ。こんなハズじゃ無かった。もっと楽しいことは無いの!?
彼女たちが若さの当然の権利として選んだのがフロリダでのバカ騒ぎ。もちろん春休みを何に使ってもいいんだけれど、旅費が足りないからと教授の車を盗んでダイナーへ強盗に。
ビビっちゃダメ。大胆に。役者になった気分でやれば大丈夫。
彼女らはまんまと大金をせしめ、フロリダへ。ようやく若さをアピールする者達の仲間になれた。
男の子、酒、セックス、ドラッグ。一日中、水着のままで、時間を惜しむように音楽に身をゆだねる。
夢のようだ。みんな優しくてすごく楽しい。自分らしくいられる。
だが、ドラッグで逮捕されたことで麻薬ディーラー、エイリアンと知り合ったことから、彼女らはまだ見ぬ新しい扉を開くことになった。同年代のバカ騒ぎから、大人のギャングの世界へ。1人が脱落する。
残る3人はギャングの世界に酔いしれる。金もある。豪華な家もある。銃もある・・・
何かの映画で見たワルの女の子役を上手に演じる彼女たち。対するエイリアンは彼女たちを自分の胸に飛び込んできた「雛」だと感じる。可愛い愛すべき小さな小鳥。彼もまた、全てを持っているにも関わらず、孤独で何かに飢えていた。
ここでまた、ギャングの抗争に巻き込まれ次の扉が開く。1人が脱落。
残る2人の女子大生は、恐れず、悪びれもせず扉の先へ。そして続く道を落ち着いて歩いて行く。女優では無い。彼女らは自分らしく生きていける場所を見つけたのだ。
ぅわー、もしかしてここで終わり?と、思ったところでホントに終わったんだけど、この後、彼女らはどうしたんだろう。案外、普通に大学のある街に戻ったのかな、とも思ったり。
だって、それこそが彼女たちらしい。
それにしても、これほどピンクの似合う映画も無いね。
監督 ハーモニー・コリン
アメリカ合衆国カリフォルニア州出身の映画監督・脚本家・プロデューサー・作家。
19歳のときに書いた脚本がラリー・クラーク監督で映画『KIDS/キッズ』となり注目される。また「クラックアップ」という散文詩を出版し、作家としての側面もある。
俳優として『グッド・ウィル・ハンティング』(1997)や『ラストデイズ』(2005)にも出演している。
■主な作品
・KIDS/キッズ Kids (1995) 脚本
・ガンモ Gummo (1997) 監督・脚本
・ジュリアン Julien Donkey-Boy (1999) 監督・脚本
・KEN PARK ケン パーク Ken Park (2002) 脚本
・ミスター・ロンリー Mister Lonely (2007) 監督・脚本
・Trash Humpers (2009) 監督・脚本
・スプリング・ブレイカーズ Spring Breakers (2012) 監督・脚本
(Wiki:ハーモニー・コリン)
最新作『Lamb(原題)』
アイスランドの田舎に住む夫婦の羊小屋で、ある“生き物”が生まれたことから始まる物語。きっととんでもなく普通ではないお話になっていくのだろう。アメリカでは2021年10月8日公開。
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A24とは
2012年8月20日に設立されたアメリカ合衆国のインディペンデント系エンターテインメント企業。映画やテレビ番組の製作、出資、配給を専門としている。
Wikipedia
映画業界出身のダニエル・カッツ、デヴィッド・フェンケル、ジョン・ホッジスが映画配給を専門とするA24フィルムズを共同で立ち上げた。A24フィルムズの活動は2013年の終わりにリリースされた『スプリング・ブレイカーズ』により成長を始めた。同社はその後、『ルーム』、『エクス・マキナ』の米配給権および『ウィッチ』の世界配給権獲得で知名度を上げ、より大きく成長した。
フィルモグラフィ
2013年
- チャールズ・スワン三世の頭ン中
- ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界
- スプリング・ブレイカーズ
- ブリングリング
- いま、輝くときに
2014年
- 複製された男
- アンダー・ザ・スキン 種の捕食
- オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分
- 奪還者
- ライフ・アフター・ベス
- 白い沈黙
- Mr.タスク
- ガンズ&ゴールド
- リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン
- アラサー女子の恋愛事情
- アメリカン・ドリーマー 理想の代償
2015年
- ヤング・アダルト・ニューヨーク
- カットバンク
- エクス・マキナ
- ベアリー・リーサル
- スロウ・ウエスト
- AMY エイミー
- 人生はローリングストーン
- ダーク・プレイス
- ワイルド・ギャンブル
- ルーム
2016年
- 極悪の流儀
- ウィッチ
- 手紙は憶えている
- クリシャ
- グリーンルーム
- サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶
- ロブスター
- デ・パルマ
- スイス・アーミー・マン
- ロスト・エモーション
- スイッチ・オフ
- 追憶の森
- ムーンライト
- オアシス: スーパーソニック
- ザ・モンスター
- 20センチュリー・ウーマン
2017年
- アウトサイダーズ
- フェブラリィ -悪霊館-
- フリー・ファイヤー
- ラバーズ・アゲイン
- 偽りの忠誠 ナチスが愛した女
- イット・カムズ・アット・ナイト
- A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー
- グッド・タイム
- フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
- 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
- レディ・バード
- ディザスター・アーティスト
- ワイルド・ウエスト 復讐のバラード
2018年
- シドニー・ホールの失踪
- ラスト・ムービースター
- 荒野にて
- バグダッド・スキャンダル
- 魂のゆくえ
- パーティで女の子に話しかけるには
- ヘレディタリー/継承
- エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
- HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ
- 暁に祈れ
- ザ・チルドレン・アクト
- Mid90s ミッドナインティーズ
- クライマックス
- ゾウの女王:偉大な母の物語
2019年
- グロリア 永遠の青春
- ネイティブ・サン 〜アメリカの息子〜
- アンダー・ザ・シルバーレイク
- ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
- ミッドサマー
- フェアウェル
- SKIN/スキン
- シェア 私に何が起こったか
- ディック・ロングはなぜ死んだのか?
- ライトハウス
- キル・チーム
- WAVES/ウェイブス
- アンカット・ダイヤモンド
- ファースト・カウ
- ユーフォリア/EUPHORIA
- ラミー 自分探しの旅
- セイント・モード/狂信
2020年
- ゾラ
- ミナリ
2021年
- フォールス・ポジティブ
- マクベス
- カモン・カモン
- Lamb
コメント
コメント一覧 (3件)
あれが2人の持って生まれた本質であったとすれば、あの若さで到達したことに。
エイリアンもそうでしたが、欲しい物を全て手に入れた後に残るのは「空っぽな心」のような。『オールドボーイ』でも復讐していた者がそれを果たした時、「これから俺は何を生きがいに・・?」みたいなことを言ってましたものね。
彼女らは今なら戻ってこられるけど、あそこまでやったらもう無理だろうか。
とにかく面白い映画でした。大作からちょっと外れた作品のジェームズ・フランコもすごくいいですね。
私個人としては、結構好きに生きているので後悔は無いか、、な・・?身体が年齢を重ねていくだけで、精神的には若いまま(家族には迷惑な話)のつもり、であるかもしれません^^ つまり、makiさんと同じですね^^;
自分には彼女たちのような無謀ともとれる青春の煌きはあったのであろうか?と考えると、
「なかった!ガーン!」と言い切れる人生を歩んできたわけで、それもそれで寂しいものであります
若さの特権ってやつではっちゃけてみたかった、という気持ちはまだ残ってて
青春の残り香を一生懸命あおいでいるようなところも…。
しかし、共感はできないお話で、ひと春の出来事といいきってしまうには
やってることがファンタジーすぎてコワイですね
スプリング・ブレイカーズ
ヴァネッサ・ハジェンズさんが出ているので見てみました。
キャンパスライフに飽き飽きしていた4人の女の子たちの、ひと春の騒動を描いたもの。
ファミレス強盗をやってのけた4人組は、解放的なフロリダにやってくるものの、そこでジェームズ・フランコ演じる自称ラッパーと出会い、青春の無謀さや稚拙さを露呈させていく。
性を想像させる映像がたくさんあった。ビッチな映画です。胸出しケツ出しビキニにドラッ…