『ヘルレイザー3』(1992) -Hellraiser III: Hell on Earth-

大都会ニューヨークに現れた魔道士たち。人間の欲望の渦がうごめく街にピンヘッドは何をもたらすのか


Hellraiser3_1992
■ヘル・レイザーⅢ - Hell on Earth-■
1992年/アメリカ/93分
監督:アンソニー・ヒコックス
脚本:ピーター・アトキンス、トニー・ランデル
音楽:ランディ・ミラー
撮影:ジェリー・リヴリー
製作:ローレンス・モートフ、クリストファー・フィッグ
製作総指揮:クライヴ・バーカー
出演:
テリー・ファレル(ジョーイ)
ケヴィン・バーンハート(J.P.モンロー)
ポーラ・マーシャル(テリー)
ケン・カーペンター(ドク)
アシュレイ・ローレンス(カースティー)
ダグ・ブラッドレイ(ピンヘッド/魔道士)

■あらすじ 
舞台はニューヨーク。
新人レポーターのジョーイは仕事がらみでたまたま居合わせた病院で、全身に鎖を食い込ませた患者が苦悶の末、頭部を爆発させて死んだところを目撃し、その謎を追っていく。
クラブを経営しているJ.P.。裏通りにある美術店で奇妙な彫像を購入する。その彫像は顔をゆがめた人や奇妙な赤ちゃんなどがたくさん彫りつけられており、まるで人間パズルのようなものだった。ある日たまたまその彫像に自身の血を飛ばしてしまったJ.P.は、その血を吸い取り蘇った魔道士ピンヘッドと対面することになる-  


あー、、はっきり言ってこんなに落胆したことは久しぶりです。
ヘルレイザーといえば、見るだけで人を恐怖にたたき落とすことが出来る舞台設定と議論を挟む余地のない魔道士達の所行が醍醐味なのに、なんとこの『ヘルレイザー3』にはどちらも無かった。。
『ヘルレイザー1』で見た絶対近寄りたくない人里離れた古家の屋根裏部屋やパズルボックスへの期待感と絶望感、『ヘルレイザー2』で出てきた騙し絵のような世界観がばっさりと切り落とされ、単なるアクション映画と化してしまった。

荘厳な感じさえ与える魔道士達の登場シーン。
逃げ場のない閉鎖空間での魔道士達との対峙。絶望。

そしてパズルボックス
「究極の快楽」をもたらすもの

これを開けるのは人に隠れてこっそりと自分だけの世界でやらなくちゃ。
大勢の人が飲んで踊ってのクラブで開けて大勢に目撃された上、救急車を呼ばれるなんて。あーぁ

製作者は美男・美女と引き替えにこれらを悪魔に売り渡してしまったらしい。

では『ヘルレイザー』に何を求めたのか?
 -「怖いもの」です。

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怖いもの見たさとは!?

それは「好奇心」。

好奇心(こうきしん)とは、物事を探求しようとする振舞い、気持ちである。高等な動物では、多くのものにそれがあると思われるような行動が見られる。自発的な調査・学習といった知的活動の根源となる感情。わからないものに対して、その理由や意味を知りたいと考えるのは、人間の根源的欲求であると思われる。
目新しいものに出会ったとき生まれるその他の心情としては恐怖が挙げられる。人間が目新しいものにぶつかった場合は、まず驚愕が先に立ち、それから好奇心が生まれるか恐怖が生まれるかのどちらかである。Wikiより

太古の昔、海から上がり初めての哺乳類が誕生した頃は恐竜が闊歩している危険な時代だった。
小さな子豚ほどの大きさしかなかったネズミのような最初の哺乳類が生き抜いていくには危険察知能力がとても大事であり、危険かどうかを判断するにはきちんとした観察が必要。
対象に出来るだけこっそりと近づき、観察し、判断する。
成功すれば恐怖の対象として記憶し、失敗すれば捕食される。

それら膨大な記憶は人のDNAに蓄積されたが、地球を支配したかのような現代ではなかなか未知なるものに会うことはなく、自ら刺激を求めた先がホラーという名の娯楽なのかな、と思ってみたり。
明るいよりも暗い、大勢よりも一人の方が怖いのも、これらの記憶がなせる技なのかも。  


以上のような理由により

表情豊かで饒舌なピンヘッドは怖くない。
自らべらべらと話して正体を明かすものには興味はわかない。
得体の知れない、どう対処すればいいのか分からないものにこそ興味がわき、怖くなる。

カメラやCDが突き刺さった魔道士達も滑稽。
今の時代に置き換えたとして、iPhoneやPS3が刺さってたとしたら笑えるだけ。

という結論が導き出されました。  


ではこの頃、他にどのようなホラー映画が製作されていたのでしょう。

20世紀のホラー映画

映画草創期の19世紀末より、ホラー作品の製作記録は多くある。1891年にエジソンが「キネトスコープ」を発明し、リュミエール兄弟がそれを改良した「シネマトグラフ」を発表した1895年、アメリカのアルフレッド・クラークによって発表された『スコットランドの女王、メアリーの処刑』(『The Execution of Mary, Queen of Scots』あるいは『The Execution of Mary Stuart』)は世界初のホラー映画として名を挙げられる。ただし本作は14秒と非常に短いものであり、のぞき窓から映像を見てひとりで楽しむという、現代の「暗所で鑑賞する大衆娯楽」という映画のスタイルとはまるで異なるものであった。後のホラー映画に大きな影響を与えた始祖的存在としては、1920年のドイツ映画『カリガリ博士』が知られている。1922年の『吸血鬼ノスフェラトゥ』も著作権者の許可を得ない非公式作ながら、重要な映画と位置づけられている。  Wikipedia

映像技術が発明された時より存在するホラー映画。
書物などの文字媒体、口を使った伝承、伝説、言い伝えなどを合わせれば、人間の歴史とほぼ同じと考えられる。

20世紀に入り、『魔人ドラキュラ』(1931)、『フランケンシュタイン』(1931)、『ミイラ再生』(1932)、『狼男』(1941)などモンスターものを経て、『サイコ』(1960)、幻の『シェラ・デ・コブレの幽霊』(1964)、『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)が製作される。そしてゾンビもの金字塔『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』も1968年。
この後はホラー好きなら一度は観たことがある映画がシリーズ化もあわせ続々と製作されている。

  • 1974
    • エクソシスト
    • 悪魔のいけにえ
  • 1975
  • 1976
    • オーメン
  • 1977
    • サスペリア
  • 1978
  • 1979
    • ハロウィン
    • エイリアン
  • 1980
    • 13日の金曜日
    • シャイニング
  • 1981
  • 1982
    • 遊星からの物体X
    • ポルターガイスト
  • 1984
    • エルム街の悪夢
  • 1987
    • ヘル・レイザー
  • 1988
    • チャイルド・プレイ
  • 1996
    • スクリーム
  • 1997
    • ラストサマー

※ほとんどがシリーズ化

では『ヘルレイザー3』が製作された1992年前後には何があるか調べてみると

・エクソシスト3(1990)
・エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア(1991)
・チャイルド・プレイ3(1991)
・エイリアン3(1992)
死霊のはらわたIII / キャプテン・スーパーマーケット(1992)
・13日の金曜日 ジェイソンの命日(1993)

などが製作されていた。
軒並み続編でホラーからコメディに転身したキャラクターも多い。
どうやら『ヘルレイザー3』だけが罪なのではないようだ。
1989年~1995年の間、新らしいキャラクター、設定による新作が無いあたりホラー映画の氷河期だったのであろうか(まるで最近のリメイク作品だらけの映画界を彷彿とさせる)。

90年代のホラー作品


ということで、どうなるかと思った『ヘルレイザー3』のこの記事。
色々と考察することでなんとか書き上げることが出来ました。
いつもお世話になっているインターネットさんとWikipedia様にこの場を借りてひっそりとお礼を申し上げます。

『ヘルレイザー4』以降も一度は観たはずなんだけど記憶が定かでは無いので、期待を込めてぜひ再見したい。そして出来れば1作目ではなく、この3作目をゴシックなホラーとしてぜひリメイクして欲しいと思うのでありました。

ではまた

Hellraiser3_1992

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • ヘルレイザー 3 【1992年製作:映画】

    シリーズ3作目「ヘルレイザー3」です。
     
    前2作までの物語の繋がりは基本的には無くなります。
    (主人公が変わると言うことでね)
     
    魔道士ピンヘッドやパズルボックスは、
    「ヘルレイザー」シリーズのキモなので、
    それが無くなることはないです。
     
    と言うか、
    それさえあれば「ヘルレイザー」なんですけどね。
     
    さて、
    今回の主役は美人レポーターです。
     
    病院での張り付き…

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