のっそり系のゾンビものはたくさんあるけど、400年も前の墓から蘇る姿を拝める映画は少ないのでは?どこかもの悲しい雰囲気をまとった彼らは、他にもハドソン川に浮かぶ豪華なヨットに潜み、カリブの海中で獲物を待っているなど、とても珍しい場所に登場する。レトロな雰囲気を醸し出しながらもイタリアらしい尖端恐怖症的なグロ描写や美女のシーンもあって、のんびりした中にもメリハリが。
■サンゲリア - Sanguelia -■
1979年/イタリア・アメリカ/91分
監督:ルチオ・フルチ
脚本:エリザ・ブリガンティ
製作:ウーゴ・トゥッチ 他
撮影:セルジオ・サルヴァティ
音楽:ファビオ・フリッツィ 他
出演:
イアン・マカロック(ピーター)
ティサ・ファロー(アン)
リチャード・ジョンソン(メナード医師)
オルガ・カルラトス(パオラ)
アウレッタ・ゲイ(スーザン)
アル・クライヴァー(ブライアン)
ステファニア・ダマリオ(ミシー)
■解説:
カリブ海に浮かぶ島で、発生した疫病によって死者が蘇り人肉を喰う。ゾンビがマンハッタンへ進撃するラストシーンまで正統派怪奇映画の定石を踏まえた造りで、数多ある「ゾンビ」の亜流の中では間違い無しの傑作。海中で人喰い鮫と死闘を繰り広げるゾンビというとんでもないシーンもある。ただしイタリア仕込みの残酷描写も過激で、辟易するかも。ビデオは劇場版と完全オリジナル版(95分)の2種ある。(allcinema)
■あらすじ:
ニューヨーク。ハドソン川を漂流するヨットを調べに入った湾岸警備隊が、潜んでいた男に首を噛まれて殺される事件が発生。このヨットの持ち主で連絡の取れない父親を探すため、事件記者ピーターと一緒にカリブの島へ向かったアン。だがその島では死人が蘇る奇病が発生、人々を次々に襲っていた ―
英題:Zombie 伊題:Zombies2
【ペラペラとネタバレしてます】
この映画のゾンビはどうやって発生したのか。
原因はよくある軍の秘密兵器開発によるものでは無くて、元々の基本に立ち返っている(と、言っても制作年は1979年)。
そう。「ゾンビ」と言えばブードゥー教。
この映画のゾンビはカリブに浮かぶ孤島、ブードゥー教の島で突然生まれた。事の始まりは「昨日、ヘンなもん、見ちまっただ。死んだ嫁が歩いていたべ」と話したある男。信じられないバカな話であったはずなのに、見る間に目撃者が多数となり、その頃には歩く屍に襲われて死人も多数。そして、その死人が起き上がる。
(ブードゥー教とゾンビについては『ゾンビランド』記事の後半「ゾンビとは!?」をご参照下さい)
この起き上がり方がいーんですよねー。
だいたい、ドラキュラが棺から起き上がるシーンが好きでワクワクするたちなものですから、ゆっくり、むっくり起き上がってくるゾンビに拍手してしまいそうに。それに本作のゾンビは、さっき死んだばかりの人がゾンビになるだけではない ゾンビ菌が島中に蔓延したのか、古い遺体、例えばコロンブスの時代の遺体なんかも、土の中から蘇る。
墓の土が下から崩れ始め、指から出てくる者あり、そのまま顔から起き上がってくる者あり。古い遺体だから、ぽっかりと空いた眼球のあった所にはミミズがうようよ。それをポタッと落としながら立ち上がる。
こんななりですから早くは歩けない。ボロボロさんも多いからそんなに強くない。それなのにゾンビに囓られ、食べられてしまうのは完全に人間側の油断によるもの。
とは言え、人間が食べられなきゃ話にならないので、島の住人は次々と餌食になっていく。魔の手はメナード医師が開いている診療所にまで。
そうとは知らずにこのゾンビ島にやって来てしまったのがアンたち4人のアメリカ人。確かに彼らは途中の海で妙なものを見かけた。それは海中でサメに飛びかかり囓りつくボロボロの男だった。そうなのだ。この映画のゾンビは泳ぐことさえ出来る。
水さえ、ものともしない生ける屍。
これが今回、文明社会に悲劇を起こす原因にもなった。
ゾンビと戦っている人達には悪いが、ここは幸いにもカリブの孤島。この島の中だけで始まり、終われば(終わりがあるのかは分からないが)、誰も気が付かないうちに収束したのかもしれなかった。最後に生き残った人間もそう考えたようだ。なんとか逃げ帰り、アメリカ本土で対策を考えれば、と。
しかし、船のラジオから聞こえてきたのは、この世の最後かとも思える絶叫だった。
そう。あらすじにあるように、最初にハドソン川の船に乗っていたボロボロの男は川に落ちたが、そのまま泳いで岸に辿り着いていたのだった。
絶望の音楽に乗せて、ニューヨークは、その他の都市も、既にゾンビに乗っ取られてしまっていた―
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コメント
コメント一覧 (10件)
ホラー好きを豪語しておりながら、この作品知らなかったんですよ。
地面から起き上がってくるところ、イイですよね!穴の空いた眼窩からしたたり落ちるミミズだかの虫が最高です。
でもホント、仰る通りサメとの対決はどうやって撮ったんでしょう?
見る限り、やってますよね、そのまま?ゾンビの衣装が防護服かなんかになっているのでしょうか。
お返事遅くなってスミマセン。また是非遊びに来て下さい<(_ _)>
momorex様
この作品、同じ監督の「ビヨンド」と並んで、マイ・フェイバリット・ホラー映画のベスト1なんですよね~(ホラー、そんなに沢山観てる訳じゃないけど[絵文字:i-201])。地面からゾンビがゆっくり起き上がる場面とか、食い荒らされた女の屍の周りにうずくまるゾンビ達の場面…最高です[絵文字:i-234]
ちなみに、冒頭に登場する新聞社の編集長はフルチ監督本人らしいですね(ウィキペディア情報)。そして、サメvsゾンビ…どーやって撮影したんだっ!?
また遊びに来ます!(*^-^*)ノ~~マタネー
マイケル・ジャクソンの「スリラー」を思い出しましたよ(・∀・)
まさかのサメとゾンビの対決も、きっと他では見ることが出来ないシーンですねー。
でもこの作品は裸とか囓られるとかのショックシーンだけでは無くて、最初がラストに繋がって話がきちんと作られているところにも交換が持てます。
これからも古い映画の発掘作業続けたいと思いますっ!
ゾンビの本来のイメージってこうだよね、を映像化された感じですよね
地中からズズズズ、ミミズとか蛆がわいてて腐ってるー感も半端ないです
私はサメと格闘するゾンビに爆笑してしまいました
サンゲリア
ルチオ・フルチ監督のゾンビ映画の金字塔ですね。
いやー色々な衝撃笑撃映像がいっぱいでした。低予算なんですよね〜これ。ゾンビっていうか「サング」なんだそうですが…まあなんでもいいです。
マツールという島で疫病がはやり…ってことはある意味でこれもウィルス系ゾンビにはいってしまうのかな?疫病で死んだものは2日後に甦って生きた人間を喰い求めるという設定。
ウジやミミズなんかの虫たちに巣食われた…
面白かったです。
特に海中のゾンビvsサメ!ゾンビ君の身体がバラバラにならないかとハラハラしましたよ。
最初は何してるのか分からなかった点、え?食って食われてしてるじゃないか!という^^; 全体的にのんびりした進行が古き良き時代のホラーを満喫させてもらいました。
ゾンビの基本をしっかりと押さえつつも、イタリアホラーらしさも忘れない。
新しいゾンビものを今更見つけた感じです。
お目々ぐさりは、そうですよねぇ。アップで時間をかければかけるほど、待っている感じに見えますね(・∀・)
タイトルだけではゾンビものと分からなくて、勝手に「サスペリア」を想像してました^^;
古い映画なのでゾンビの動き方だけじゃ無くて、食われる人間側も大人しく待っているかのような、全体的にのっそり進行なんですが、実はオープニングの船から続く最後のくだりと絶望的な音楽が良かったです!
合間に挟まるパンチの効いた尖端とかサメとか、(何故か)裸もありますしねー(・∀・)
ゾンビもドラキュラもゆっくりがいいです!
でました!
フルチおやじの、サンゲリア!
これ面白いですよね!
色々型破りなシーンばかりですが、ゾンビの基本は押さえてます。
お下劣ゾンビですが、どこか憎めない。
お目目ぐさりは、いまだに女性が刺さる気満々しか見えません(笑)
サンゲリア
『サンゲリア』
【製作年度】1980年
【製作国】イタリア
【監督】ルチオ・フルチ
【出演】イアン・マカロック/ティサ・ファロー/リチャード・ジョンソン/オルガ・カルラトス/アウレッタ・ゲイ/イアン・マッカロック
【イントロダクション】 by Amazon.co.jp
カリブ海に浮かぶ島で、発生した疫病によって死者が蘇り人肉を喰う。ゾンビ…
あれ?サンゲリアってこんな風でしたっけ?
何かだいぶ記憶と違ってるなあ…。
私もどっちかというと、ゾンビはのっそりだよね派、ですね。
ドラキュラの起き上がりスピードまでは意識してなかったが…。
本作、も一回観てみよかな久しぶりに。
けど、尖った系の痛そうなのが結構苦手だったりもする…。