『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』(2020)

ゾンビだらけの大暴れホテルでロックダウン!的なお話かとおもいきや、全く違ってた…(-.-)(また)。謎のウイルス感染のニュースが流れる中、そんなのまだまだ他人事な人々が利用している某ホテルで感染が始まる。だが、それはあまりに静かな、静かな広がり方だった ─

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染

■ ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染  Hall – ■
2020年/カナダ/80分
監督:フランチェスコ・ジャンニーニ
脚本:デリック・アダムス他
製作:タマラ・デュピュイ他

出演:
カロライナ・バルトチャク(ヴァル)
釈由美子(ナオミ)
マーク・ギブソン
ベイリー・タイ
ジュリアン・リッチングス

■解説:
釈由美子が出演し、謎の殺人ウイルスの感染爆発に襲われたホテルを舞台に描くカナダ製パンデミックホラー。監督はこれが長編デビュー作となる新鋭フランチェスコ・ジャンニーニ。

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Contents

あらすじ

とあるホテルに宿泊客として訪れた夫婦と娘。夫はすぐに暴力をふるう男で、その矛先が娘にまで及んだと知った妻ヴァルは娘を守るため夫が寝ている隙に逃げ出す覚悟を決める。同じ頃、こちらも支配的な夫から逃げるために臨月近いお腹を抱えてホテルに到着した日本人女性ナオミ。日本の母親に相談の電話をかけている間に体調がどんどん悪くなり床に倒れこんでしまった。

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染

テレビのニュースでは新種のウイルスによる死者が3倍、死亡率が急激にあがっていると流れている。それを見て恐怖におののきながらもヴァルは夫からの逃亡を決行。娘をホテルの非常階段に隠し荷物をまとめるため部屋に戻るが、眠っているはずの夫の様子がおかしい。顔色は青く血管が太く浮き出て、とても生きている人間の顔に見えない。廊下に出てみると、先ほど顔見知りになった臨月のナオミが夫と同じ様子で倒れていた ─

感想

日本の宣伝では釈由美子さんが大きく取り上げられていたから、どれほどの役になっているのだろうと思っていた本作『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』。だって邦題から受ける印象は、「ものすごいゾンビ大暴れvs軍」みたいなB級ホラーって感じだから。で、どうだったかというと、由美子さんは確かに大きくある二つの筋の一つではあるんだけど、「夫から逃げてきた臨月の日本人女性」「ホテルでウイルスに感染し、苦しんでいる」人でしかなかったように思える…(-“-)

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染

そしてもう一つの筋である夫から逃げ出そうとしている母親と娘。娘はどこか『エクソシスト』のリーガン(リンダ・ブレア)に似ていて、え~と何と表現していいのかわからないけど、いかにもホラー作品に出てくる少女って感じ。
母親ヴァルは娘のために夫から逃げようと頑張る人なんだけど、なんだろうなー、この中途半端感は(-“-)。夫に「ごめんな、妻よ。とっても反省してる。これからも三人でがんばろ」って言われると「私も同じ気持ちよ」って…。どうなってるんだ。逃げるための芝居なのか、夫への恐怖がそうさせるのか分からないけれど。
で、その後、娘の首筋に殴られたようなアザを見つけてやっぱり逃げなくては!ってなる。あまりの浅はかさにどうにも共感できない話の流れだ。

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染

この二つが軸になって進むお話に、ホテルの廊下に倒れこんでいる、もうすぐゾンビ覚醒しそうな人々。でも廊下を埋め尽くすってほどじゃない。ぱっと見、10人くらい。体調が悪くなった由美子さんは、そんな廊下に這いずって出ていく。そして這いずりながら進んで行く。

どうしたんだ!いったい、どこへ行きたいんだ!そんな大きなお腹を下にして赤ちゃんは大丈夫なのか!そんなか細い腕と足指でどれだけ進めると思っているんだ!?
・・・部屋にいたほうが良かったんじゃ・・・?
・・・私ならまずフロントに電話するよ・・・?

本編の1/3は由美子さんの這いずりと呻きなのでは?という流れで進む中(だから結構出番は多い)、どうやら今回のウイルスに関係するかもしれない、いかにもマッド・サイエンティストみたいな男も登場。人類の未来は真っ暗に。それでも娘を思い、ゾンビもどきをかき分けてホテル玄関まで(案外簡単に)たどり着いたヴァルと娘が見たものとは!?

ラスト

ラストの光景は、きっと何かの大きな効果を狙ってのことだったとは思うけど、2021年の今、本当のパンデミックを経験した今では、あまり面白く感じられなかった。あまり、というか全く感じられなかった。あり得ないと思ってしまった。
確かに身の回りに起きなければ他人事ではあるんだけど、さすがに2020年の作品としては、もっと違うラストの方が良かった気がする。じゃあ、どんな?と言われても困るけど…。
このラストで、いったい何が起き、どうなったのかがますます分からなくなり、こっちが混乱するはめに(もしくはどうでもよくなるはめに)。

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染

それにゾンビものは、大暴れゾンビが大挙して出てくるような「ザ・ゾンビ」みたいなのか、人間側の色々な物語ありきで進む「人間にちょっとゾンビ」みたいなののどっちかに振り切っていた方が面白い。本作はそれのどちらにもなっていなくて、いったい何に焦点を合わせて観ていけばいいのかが分からない。サスペンス・スリラー要素が無く登場人物たちに共感できない、ゾンビの造形を楽しむこともできない、寝たきりで襲ってこないから戦う要素が無い、そのうえ、心霊まで登場するなんて(-“-) 欲張りすぎたね。

日本で公開が始まった7月。実は楽しみにしていて劇場に観に行きたいな~とも思っていた本作だったけど、観に行ってたらきっと怒ってただろうな、よくあるように(‘ω’)

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