『オーメン』(1976) -The Omen- その前兆を見逃すな

『エクソシスト』『エイリアン』ときて決して外せないのが本作『オーメン』。1970年代を代表する正統派オカルトホラーであり、今なお色褪せない金字塔悪魔的ホラー映画の一つ。決して大きな音で驚かせるようなことのない筋の通ったドラマ性には、本作の根源的な恐怖を感じとることができる。

■ オーメン  The Omen – ■

The-Omen-1976

1976年/アメリカ/111分
監督:リチャード・ドナー
脚本:デヴィッド・セルツァー
製作:ハーヴェイ・バーンハード
制作総指揮:メイス・ニューフェルド
撮影:ギルバート・テイラー
音楽:スチュアート・ベアード

出演:
グレゴリー・ペック(ロバート・ソーン)
リー・レミック(キャサリン・ソーン)
ハーヴェイ・スペンサー・スティーヴンス(ダミアン)
デビッド・ワーナー(ジェニングス)
ビリー・ホワイトロー(ベイロック夫人)
レオ・マッカーン(ブーゲンハーゲン)
パトリック・トラウトン(ブレナン神父)

■解説:
6月6日午前6時に誕生し、頭に「666」のアザを持つ悪魔の子ダミアンを巡る物語。音楽を担当したジェリー・ゴールドスミスが第49回アカデミー作曲賞を受賞した。

Wikipedia

Omen:「前兆」の意


Contents

まえおき

とうとうこのブログに『オーメン』が…。
この世にあまたあるホラー映画の中で、ほとんどが遊園地のビックリお化け屋敷的作品である中で、しっかりした物語を持ち、予兆に次ぐ予兆(本作的には前兆に次ぐ前兆)を畳みかけるようにじっくり描きながら、その意味と共に惑わすことの無い“予兆の結果”を恐怖と共にきっちりと描き切る。

これこそが70年代の金字塔と言われる作品たちの醍醐味。これらの作品が単純な管理人に問いかけるのはこの一言のみ。

The-Omen-1976

ほんとに、あるかもよ

そして何故あれほど『シャイニング』の三輪車がドキドキして怖かったのか、その理由を再確認できる…

■あらすじ:

The-Omen-1976

アメリカ人外交官ロバート・ソーンとキャサリン夫妻。ある年の6月6日午前6時、二人にとって初めての子どもが任地先のローマで産まれるが、すぐに亡くなってしまう。夫ロバートは妻に真実を伝えられず、同時刻に誕生した母親が亡くなったばかりの子どもを妻には秘密に養子として迎え、ダミアンと名付け育てはじめる。
駐英大使に任命され、順風満帆な理想の一家。だが、ダミアン5歳の誕生日に乳母がパーティ会場で自殺を遂げるという不幸が起きてからというもの、その毎日に暗雲が立ち込め始める ─

見どころと感想

キリスト教的でありながら不穏で壮大なテーマ曲にのって幕開ける本作は、産まれ落ちてたった一息で亡くなってしまう赤子の不幸から始まる。夫はその悲しみを妻に伝えられないまま、教会で産まれた親の無い男児、それも全く同じ日の同じ時間に誕生した男児を自分の子として秘密に引き取り育て始める。

全く同じ日の同じ時間。
そう、それが皆さんご存じ「6月6日朝6時」。3つの6=【666】。思えば【666】が不吉な数字だと全世界に知らしめたのは、本作『オーメン』ではないだろうか。不吉な数字と言えば他にも【4】や【13】などがあるけれど、これら有名な数字に新たに加わったともいえる【666】。

666】(獣の数字)の意味

666
The number of the beast is 666

獣の数字(けもののすうじ)は、『新約聖書』の『ヨハネの黙示録』に記述されている。以下に引用すると、「ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。」(13章18節)この数字「666」の意味については、古来、様々に解釈されてきた。
・皇帝ネロ説
・ローマ教皇説
・ニーコン総主教
・エホバの証人

詳細はWikipedia「獣の数字」

本作内では「666=魔性のものの三位一体」で、それは「悪魔・反キリスト・偽預言者」と説明されている。

産まれてすぐに息を引き取ったと聞かされ、良くも悪くもすぐに次の行動(妻には言わずに養子を引き取る)を起こしたロバート。後になって分かるのだが、彼は実の子の亡骸を確認しなかったばかりか埋葬さえせずに次の赤子を腕に抱く。ここで初めて“666”は【666】としての意味を持ち始める。
もちろん敵はここに来るまでにあらゆる人間を値踏みしていたであろう。ロバートのそういった妻への愛情と行動力さえも計算のうちであり、全てが予兆の一つとなり今後に繋がっていく。

ダミアン5歳

イギリスの地ですくすく育ち病気一つしない健康なダミアン。父親は健康の証と喜ぶが、自分の息子に少し違和感を感じる母親キャシー。この母親の心の中の小さな薄いほわっとした黒い点。敵はこれを見逃さない。

まずは黒犬が屋敷に現れる。

The-Omen-1976

イギリスでは「ブラックドッグ (black dog) は、イギリス全土に伝わる黒い犬の姿をした不吉な妖精のこと」と言われているが、本作ではもっと直接的で、悪魔の使途、悪魔の僕、手先のような扱い方だ。『エクソシスト』でも不吉な前兆として喧嘩する黒犬が登場している。だが黒犬の本当の意味はまだここでは分からない。

乳母の自殺

黒犬にそそのかされたかのように、または命令されたかのように、5歳の幼児の誕生日パーティで自殺を遂げた乳母。この時、人々はまだ知る由もない。それが悪魔が降臨する前兆だとは ─

The-Omen-1976

攻撃するヒヒ

母子で訪れたサファリパークで、まるで恐れるかのようにダミアンの行く先々から逃げ出す動物たち。ヒヒのグループに至ってはキャシーとダミアンの乗る車を攻撃。あわててその場を逃げ出したキャシーは、ただ事ではない“何か”を感じ始める。

ローマのブレナン神父

The-Omen-1976

ソーン家の災難を報道で知ったローマのブレナン神父がイギリスに訪れ、ロバートに忠告する。「あなたの子どもの母親は“山犬”だと」。「あれが産まれた時、その場に立ち会った」とも。ロバートはまだ取り合わない。だがこれは、もう後戻りできないギリギリの場にいるという、神からの啓示だったのかもしれない。だが、もう遅かった。

新しい乳母ベイロック夫人

自殺した乳母の代わりにうまくソーン家に入り込んだベイロック夫人。まるでロッテンマイヤーさんみたいにしっかり者の夫人に見えるが、登場の仕方からして怪しさ満点。そしてそれは間違っていない。彼女も黒犬と同じ悪魔の手先であり、ダミアンを守るために使わされた。若い乳母の自殺もそのためであり、全ては計画通りなのだ。

カメラマン、ジェニングス

善人のカメラマン、ジェニングスの登場にロバートは多々助けられることになる。だが彼の存在さえも、敵にとっては邪魔なものであり排除あるのみ。だがその結果、ロバートは行動することになるが ─

前兆のあと、歯車が回り始める

The-Omen-1976

全ての準備が整い、あとは結果を待つばかりになる。
「前兆」として現れていた色々な事柄が、ここにきて悪魔の使いの手により一つにまとまり始めるのだ。それは三輪車であり、開いたドアであり、撮影されていた不吉な写真であり、いきなり起きた嵐であり、投げ捨てられたブーゲンハーゲンのナイフであった。それらには全て意味があり、悪魔の考えた通りに人は動いていく。

ユダヤの民、シオンへ戻る時、彗星空を裂き
神聖ローマ帝国が興り、あなたと私は死ぬ
永遠の海より彼は立ち、西岸に軍勢を揃え
人を相争わせ、人類滅亡へと導く

ブレナン神父が聖書の一説をロバートに伝える。この中の“神聖ローマ帝国”とはヨーロッパ共同体のことで、“永遠の海”とは政界を意味すると彼は考えた。すなわち歯車の行きつく先、悪魔の目指す最終形態は政界を牛耳り、人間を意のままに掌握すること。そうすれば、何も自分が直接手を下さずとも命令一つでお互いに争い、勝手に滅亡していくだろうと考えられたのだ、人間は。

ラストの微笑

The-Omen-1976

これはもう何もかも計画通り、周囲の邪魔な人間は命を落とし、今手を繋いでくれているのは現職の大統領。まずは一区切り。ここからまた新たな物語が始まるという、明るい未来に向けての歓びの微笑だ。隠しきれずに思わず出た微笑だ。
ここまでダミアンはむっつりしていることが多く、あまり可愛げのない子どもだった。けれどどう?このラストでとても魅力的な子どもらしいにっこり笑顔を見せてくれた。これからは溺愛してくれるだろう大統領夫妻には、この可愛らしい笑顔で接して、取り出せるものは全て取り出す。彼らの権力と富を使って自分ものし上がるために。

The-Omen-1976

そしてハルマゲドンがやってくる

1970年代の主なホラー映画

  • 血みどろの入江(1971) – マリオ・バーヴァ監督
  • 鮮血の美学(1972) – ウェス・クレイヴン監督
  • ゾンビ特急”地獄”行(1972) – ユージニオ・マーティン監督
  • ウィッカーマン(1973) – ロビン・ハーディ監督
  • エクソシストシリーズ(1974) – ウィリアム・フリードキン監督
  • 悪魔のいけにえシリーズ(1974) – トビー・フーパー監督
  • 拷問の魔人館(1974) – ピート・ウォーカー監督
  • フライトメア(1974) – ピート・ウォーカー監督
  • 暗闇にベルが鳴る(1974) – ボブ・クラーク監督
  • ロッキー・ホラー・ショー(1975) – ジム・シャーマン監督
  • ジョーズシリーズ(1975) – スティーヴン・スピルバーグ監督
  • 家(1976) – ダン・カーティス監督
  • オーメンシリーズ(1976) – リチャード・ドナー監督
  • ザ・チャイルド(1976) – ナルシソ・イバニェス・セラドール監督
  • 悪魔のしたたり(1976) – ジョエル・M・リード監督
  • スナッフ/SNUFF(1976) – マイケル・フィンドレイ、ロベルタ・フィンドレイ監督
  • キャリー(1976) – ブライアン・デ・パルマ監督
  • サスペリア(1977) – ダリオ・アルジェント監督
  • ラビッド(1977) – デヴィッド・クローネンバーグ監督
  • イレイザーヘッド(1977) – デヴィッド・リンチ監督
  • ハロウィンシリーズ(1978) – ジョン・カーペンター監督
  • エイリアンシリーズ(1979) – リドリー・スコット監督

このブログの70年代ホラー

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