人食い殺人鬼一家が砂漠にお出ましするウェス・クレイヴン監督作元祖『サランドラ 』。一作目にしてなぜ彼らが人を襲うのか元々の理由がわかるようになっている(あまり同情はできないが…)。その後の『ヒルズ・ハブ・アイズ』やX-ファイル「ホーム」よりは見やすいんじゃないだろうか(見た目的に)。
■ サランドラ
– The Hills Have Eyes – ■
1977年/アメリカ/89分
監督:ウェス・クレイヴン
脚本:ウェス・クレイヴン
製作:ピーター・ロック
撮影:エリック・サーリネン
音楽:ドン・ピーク
出演:
ラス・グリーブ(ボブ)
ヴァージニア・ヴィンセント(エセル)
スーザン・レイニア(ブレンダ)
ロバート・ヒューストン(ボビー)
マーティン・スピアー(ダグ)
ディー・ウォレス(リン)
ジョン・スティードマン(フレッド)
ジェームズ・ウィットワース(パパ・ジュピター)
マイケル・ベリーマン(プルート)
ジェイナス・ブライス(ルビー)
ランス・ゴードン(マース)
ピーター・ロック(マーキュリー)
■解説:
ウェス・クレイブン監督の初期傑作ホラー。06年にクレイブン製作によるリメイク版も公開された。映画.com
Contents
■あらすじ
警察を退職したのを機にLAを目指して家族でトレーラー旅行をしているボブ・カーター一家。道中に母親エセルの実家が持っていたとされる銀山があったことから立ち寄ることにしたボブ。そこは広がる砂漠に空軍基地と核実験場跡があるのみの場所。近くの古びたガソリンスタンドのオーナー、フレッドは「閉山して数十年経ち今は何もない。獣がいるだけだから行かない方がいい。どこにも寄らず国道に出て真っ直ぐLAを目指せ」とひつこく一家に言うのだった。
それでも元銀山を目指した彼ら。スタンドを出てほどなく爆音で低空飛行する軍の飛行機にびっくりして大騒ぎする家族に気を取られ、ボブがハンドル操作を誤り事故を起こしてしまう。皆怪我はなかったものの、車軸が曲がり車は動かなくなった。
彼らはすぐに、手立てを考え行動する。父親ボブは電話を使うため先ほどのスタンドへ、一番上の娘リンの夫ダグは助けを求めて空軍施設方面へ、残りの母親、娘リンとその子どもケイティ、二番目の娘ブレンダ、弟のボビーは待つことになった。二匹のシェパードも残った。
が、それをすぐ近くから舌なめずりをしながら観察していた者たちがいた ─
■感想
さて、お約束だからまずはこう言いましょう「郷に入っては郷に従え」。現地の、特にガソリンスタンドの親父さんの言うことは聞く方がいい。行くなと言われたら行かないに越したことはない。けれど、それではお話にならないから、大概のグループは行ってしまうんですね、ダメと言われた場所に。ていうか、この『サランドラ』の場合は、もうすでに彼らのテリトリーに入ってしまっていたから遅かったんだけど….。
明るいうちは、彼らはボブ一家の周りを徘徊し、観察し、計画を練っているだけ。けれどうまく家族をバラバラにし、まずは襲撃の邪魔になる犬から手を出し始める。そして暗くなった頃、おそらく夜目のきく彼らは容赦なく次々に雪崩のように都会の家族を襲いだす。
そうなんです。彼らはこんな砂漠で野獣のように生きているというのに、きちんと手作り風ではあるけれど服を着ているし、なんかちょっとセンチメンタルな名前も個々に付いている。戦略にも長けていて、チームとして動くことができ陽動作戦を使っては家族をバラバラにし、トレーラーに女子供だけになった所を一気に攻めてくる。案外彼らは知的なのだ。
その彼ら、パパ・ジュピター一家をご紹介する
パパ・ジュピター一家
あともう一人、きっと一番下の弟にマーキュリーがいるんだけれど、彼は今回の戦いが始まってすぐに命を…(-.-)
彼らは何故、人間らしい生活から離れた所で独自の文化を育てたのか?パパ・ジュピターが始めたのか?それとももっと前の世代からなのか?
その答えは物語途中でスタンドのフレッドじいさんが教えてくれる。聞き逃さないように(‘ω’)
本当にいた殺人鬼一家
さて、このような殺人鬼一家はアメリカの田舎(の方)で時たま出くわす。それは『悪魔のいけにえ(1974)』、『マーダー・ライド・ショー(2003)』、上にも書いた「X-ファイル 4-2ホーム」などなど。都会の方からのんきにやって来た若者を襲う殺人鬼一家。それは“殺す”ことを楽しむためだったり、“食す”ためだったりと理由も様々。けれど被害者の末路はどれも同じ、悲惨なものだ。
『悪魔のいけにえ 40周年記念版』 (1974) - The Texas Chain Saw Massacre
さぁさぁ、何年もさぼっていたから書きたいものが溜まっていますよ~。ということで、単純で大好きな『悪魔のいけにえ』。原題を直訳すると「テキサス・チェーンソー大…
『マーダー・ライド・ショー』(2003) - House of 1000 Corpses –
田舎に潜む殺人一家。よくあるパターンは見るからに恐ろしげな風貌で、出会ったその時に命の危険を感じるが、この町に住む一家は陽気で一見美男美女揃い。しかし出会っ…
こんなの、映画の中の作り話だよねって考えたあなた(-.-)
実は、これの元になる実話が過去にあったんです ─
教育を受けていない子どもたちではあったが、食料を得るための知恵には長け、チームとして行動できるところは本作『サランドラ』の一家と同じ。だがよくよく考えると「食料を得る」という行動に命を懸けることは生物として基本的な行動の一つだ。それはアフリカの野生動物の毎日と同じなのだ。言葉が話せる、話せない、学がある、無いは関係ない。
けれどもビーン一家もパパ・ジュピター一家も野生動物ではなく人間だった。ビーン一家は25年後に犯行が明るみに出て逮捕され全員が処刑された。
パパ・ジュピターの一家はどうなったのか?それは観てのお楽しみ。「食べる」ことは人間の本能の一つだが、自分と自分の家族の「命を守る」ことも、その一つなのだ。
他にもある殺人鬼一家、狂気の村
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『ザ・サスペリア -生贄村の惨劇-』(2013) - Jug Face –
なんとなく気持ち悪い映画。怖くもないし、それほどグロくもない。話はワケがあるような、無いような、よく分からない「不気味村」系。閉鎖された森の中で進められる生… -
『ザ・ビーチ』 (2000) - The Beach
もうすぐ公開のシャマラン監督『オールド』予告編を見て、あっと思い出したのが本作『ザ・ビーチ』。もしかして同じ場所?って思ったけどそれは違ってた(‘ω’) ディカプリオ的にはあの『タイタニック』の少し後の作品となる。印象的な音楽はMoby「Porcelain」。 -
『マーダー・ライド・ショー』(2003) - House of 1000 Corpses –
田舎に潜む殺人一家。よくあるパターンは見るからに恐ろしげな風貌で、出会ったその時に命の危険を感じるが、この町に住む一家は陽気で一見美男美女揃い。しかし出会っ…