とうとうこのブログに『女優霊』が。当時、WOWOW放送で観て、あまりの恐怖に(もう2回ほどだけ観て)今まで封印していたというmomorexさん超おすすめの和製ホラー。夜は嫌だから昼間に観たよ…(-“-)夜中に目が覚めたけどね…
■ 女優霊 ■
1996年/日本/75分
監督:中田秀夫
脚本:高橋 洋
製作:仙頭武則他
撮影:浜田 毅
音楽:河村章文
出演:
柳ユーレイ(村井俊男)
白島靖代(黒川ひとみ)
石橋けい(村上沙織)
大杉 漣(大谷)
サブ(関川)
高橋 明(六さん)
芹沢礼多(定岡)
染谷勝則(友保)
菊池孝典(葉山 勝)
根岸季衣(筒見社長)
李 丹(フィルムの女)
小島なおみ(フィルムの女優)
日比野玲(フィルムの男優)
■解説:
未現像だったフィルムの発見を機に、撮影所内で次々に起こる奇怪な出来事を描いたホラー映画。監督は劇場用としてはこれがデビュー作となる中田秀夫。脚本を高橋洋。“J・MOVIE・WARS・3”の中の1本として製作された。映画.com
■あらすじ:
監督デビュー作の撮影中、ラッシュフィルムに一本の未現像フィルムが混じっているのが見つかった。それには演技する女優が映っていたが、制作中止になったものらしく、古いフィルムを上書きで使ってしまったものと考えられた。昔気質のフィルム管理者は、このフィルムは縁起が悪いから使わない方がいいと頑なに言う。
それからというもの、スタジオ内での不気味な影や気配など奇妙なことが起こり出す。そしてある時、主演女優の一人が撮影中に事故死し、チームは騒然となる ─
先日の『ワーニング その映画を観るな』で紹介した本作『女優霊』。断然こっちの方が怖いよ、と書かせていただいた通り、久しぶりに観た本作はやはり背筋が震える。なんだろう、主人公の村井監督と同じで子どもの頃に暗い階段とか屋根裏部屋(家には無かったけど)に対するトラウマでもあるのかな。確かに家の階段は怖かった覚えがある。夜中は全部電気が消えていて、トイレに行こうにも階段の先が真っ暗だった…。だって今ほど電子機器があちこちに備わって無い時代だったからさ。今は、自分の部屋だけでもテレビ、レコーダー周りや電話機周り、Wi-Fi周りが1日24時間365日光ってるわ..、まぶしいわ(-“-)
『ワーニング その映画を観るな』 (2019)
久しぶりの「見たら死ぬ」系シリーズ。最近『アントラム』も観たけれど、やはりこれ系は『リング』に始まり、『リング』に終わってるな、と思う今日この頃(‘ω’) ■ ワー…
Contents
おはなし…
監督に昇進した村井は、戦時中の複雑な姉妹のお話で映画制作を進めていた。スタジオにセットが組み立てられ、決まった女優たちのカメラテストも始まる。そのテスト映像を皆で確認していた時に、今回の映像に被せて、他の知らない映像が始まった。暗い階段を上がっていく少年の後ろ姿。アップで何かを訴えるようにカメラに向かって話しかけている着物姿の女優が、途中で何かに怯えるようなしぐさで後ずさる。その後ろには髪の長い女が笑っているのがぼやけて映る。屋根裏部屋の扉がゆっくり開く…。
未現像の映像が残ったまま、今回の撮影を上書きしたものと考えられたが、村井はこれらの気味の悪い映像を見た記憶があると感じた。だが未現像ということは、制作中止になったということ。辻褄の合わない記憶に村井は首をかしげた。
それからというもの、村井の周りで奇妙なことが起き始める。撮影は順調に進んでいたが、ロケバスの窓に例のフィルムで映っていた笑う女が見えたり、スタジオの三重(さんじゅう/天井の作業ができる梁部分)に声や足音、人の気配を感じる。気にしないようにしてはいたものの、それらは頻繁に起こった。
そんなある日、自分の出番が終わった妹役の沙織が三重に上がり、転落死する事故が起きた。撮影中の事故でありチーム全員が目撃者に。警察が捜査に入ったものの事故という事で片付き、映画は制作続行と決まった。村井は撮影の終わったフィルムを確認中、そこにいないはずの女が映っているのを見つけ、やはりこのスタジオには何かあると確信。ずっと気になっていた例の映像について調べ始める。そしてそのドラマ作品も制作中に主演女優が三重から落ち、転落死していたことがわかる ─
感想…
作中で「なんか、ここ(スタジオ)って気持ち悪くないですか?」と言う女優に村井監督も言っていたが、映画というのは「嘘」を作るということ。虚構の世界を積み上げている。実際に存在しない場所や人を魂を込めて作っている。作品が完成した後、その魂はどこへ?
この「女優霊」というのは、そういった魂の寄せ集めなのではないか?と。俳優が仕上げた役の魂、俳優が演じている時の元の魂、出演できなかった俳優の魂…。これらは全て虚構の世界に飲み込まれる。それらが一体となり、怨霊となったのが「女優霊」なのでは。
例の制作中止になったドラマ作品の内容というのは、
あるところに母と幼い少年が暮らしていた。母親はしつけのために「夜になると知らない女が家の中を歩き回っている」という話を作って少年に聞かせていた。そうしているうちに母親に恋人ができ、母親は少年を暗い階段の上、その先にある屋根裏部屋まで追い立て閉じ込めるようになる。少年は泣いている…
というもので、ここまで出来ていたらしいが、母親役の女優は転落死、ここで制作中止となった。本作の中ではこの母親が作り出した「歩き回る女」が実体化したのでは?となっていたが、さぁ、どうでしょうね。
人の思いや念、喜びや悲しみ、怒りはいったいどこにいくのかな。スタジオ内にあるそれらを全て、この女優霊が吸収しているとすれば、恐ろしい怪物になっていることだろう。何せ、スタジオ内に渦巻くのは架空の人物の思いまであるから。
そして、すごい勢いで引っ張って行かれた村井監督の行き先は、いったいどこ……
追記:2022年5月半ば、ひっそりと、かつ唐突にamazon primeで配信が開始された『シェラ・デ・コブレの幽霊』。これは怖すぎるという理由で1960年代にお蔵入りになったまま、幻のホラー映画と言われ続けていたホラーファン垂涎の作品。私も時々思い出しては何とか日本語字幕で観れないものかとネット上をさまよい、もはや自分の方が何かに取り憑かれた幽鬼のような有様に(ちょっと大袈裟)。それがamazon primeに突如現れたものだから、びっくりしつつもすぐさま鑑賞。そしてもう一つ知ったことは、この『シェラ・デ・コブレの幽霊』は『女優霊』に影響を与えた作品だった事実。…あー、世界って本当に繋がってる…
幻のホラー映画『シェラ・デ・コブレの幽霊』(1964)を観た
きっと観れるはずがない、死ぬまで観られない…と思い込んでいたこの伝説のホラー映画が、なんと!amazon prime videoで配信が始まっていた(”ω”)。元祖(ではないかも…
ホラー映画ベスト10
さて、10年ほども前に書いた「ホラー映画ベスト10」という私momorexの記事。
ホラー映画ベストテン
人を恐怖のどん底にたたき落とすことを主題とした映画作品ベスト10。ホラーには限らないよ~
このベストテンの堂々2位に輝いているのが本作『女優霊』(ちなみに1位は『死霊のはらわた』。きちんと9位に『リング』も入れている)。どうも、女性のけたたましい笑い声が苦手なようで、それは今も変わってない。こういうのって、死ぬまで変わらないのかなぁ。
─ こういう恐怖の感情はいったいどこへ?あー、よく悪霊の好物だって言われるな、そういえば
『死霊のはらわた』(1981) - The Evil Dead - ★100レビュー記念作品
『死霊のはらわた』がB級ホラーとは知りませんでしたが、本作は1981年にサム・ライミ監督が長編映画デビュー作として、世にバンっとたたき出したホラー快作だ。
邦画ホラーの世界
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