『キャラクター』 (2021) ~ペンが殺人鬼に名前を与えた

小説家と殺人鬼の映画なんかは今までにもあったけど、漫画家と連続殺人鬼の絡みという設定に魅力を感じた邦画作品『キャラクター』。殺人の現場は結構隠さずに再現されていて、観る人をちょっと選ぶかもしれない「ホラー映画」のくくりになると思う。

キャラクター

■ キャラクター ■
2021年/日本/125分
監督:永井 聡
脚本:長崎尚志 他
原案:長崎尚志
製作:村瀬 健 他
撮影:近藤哲也
音楽:小島裕規“Yaffle”
主題歌:ACAね(ずっと真夜中でいいのに。)×Rin音 Prod by Yaffle
   「Character」

出演:
菅田将暉(山城圭吾)
Fukase(SEKAI NO OWARI)(両角 もろずみ)
高畑充希(川瀬夏美)
中村獅童(真壁警部補)
小栗 旬(清田巡査部長)
松田洋治(辺見 敦)
宮崎吐夢(本庄勇人)
橋爪 淳(山城健太)
小島 聖(山城由紀)
見上 愛(山城 綾)

■解説:
菅田将暉と本作が俳優デビューとなる「SEKAI NO OWARI」のボーカルFukaseの共演によるダークエンタテインメント。「20世紀少年」など数多くの浦沢直樹作品にストーリー共同制作者として携わってきた長崎尚志によるオリジナル脚本を、「世界から猫が消えたなら」「帝一の國」の永井聡監督のメガホンにより映画化。

映画.com


Contents

■あらすじ

絵はうまいのに登場人物に魂を入れるのが不得手だと言われてきた漫画家アシスタント山城。一本立ちした漫画家を目指すその彼が偶然にも本物の殺人鬼と殺人現場を目撃したことによって、今まで不得手だったリアルな人物を描くことが出来るようになる。

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実際に起きた「船越一家殺人事件」と目撃した犯人を題材にして創作されたサスペンススリラー「34(さんじゅうし)」は瞬く間に大ヒット。山城は売れっ子漫画家になる。だが「船越一家殺人事件」の第一発見者である山城は警察の事情聴取で犯人の顔は見ていないと証言。もちろん捜査を担当する清田は何かを隠していると鵜呑みにはしなかった。だがすぐに犯人が捕まる。

「34」の連載が続く中、船越一家の事件からちょうど一年後、「原一家殺人事件」が起きる。船越一家の現場が自宅であったのに対して、原一家が殺されたのは神奈川県と山梨県の県境近くの林道で、運転していた車中で起きた悲劇だった。林道の崖から転がり落ちた車内には船越一家と同じように儀式のように手足を縛られた四人家族の遺体が。その状態を見た清田はある漫画の場面を思い出す。山城の「34」だ。

すでに犯人が捕まっている事件に似た形で起きた新たなる四人一家殺人事件。山城の描く漫画をそのまま再現したような事件であったため、清田ら捜査官はすぐに山城の元へ。だが理由は分からない。そんな中、またも「34」の中の事件を模倣した一家殺人事件が起きる。そして現実の連続殺人鬼・両角(もろずみ)が山城に接触を図りはじめる ─

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■感想

清田ら捜査官と山城がそれぞれの立場で殺人鬼を追い、描いていくここまでは、非常に緊迫感にあふれ目が離せなくなる。基本的に彼らは善人で自分の仕事をしているだけに見えるのだが、顔の見えない真犯人が姿を現すようになってからは、山城は自分の中の綻びに苦悩するように。

おそらくそれまでも血の関わる犯罪めいたことはやっていただろう犯人。満を持して起こした「船越一家殺人」は彼の中のバラバラだった何かが一つにまとまった瞬間だ。もちろん殺人は独りで孤独に行ったものであった。が、そこに目撃者が現れ、それを題材にした作品を世に大々的に放出した。名前の無かった犯人に名前を与え、個性を与え、行動させる。そして何百万人もの読者がそれを読む。犯人両角はこの時初めて「自分」というものを具体的に発見したとも言える。山城が彼に形を与えたのだとも ─

だから山城の描く創作の事件に沿って両角は殺人を犯していく。創作の事件と実体のなかった両角とが一つになって初めて「事実」になるのだ。両角が山城との共作だと考えるのももっともなことだ。

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「笑む顔のある部屋」とも表現できる両角の住まい。人が描く「絵」にはその人の思いや考え、性格などが出ているという。きちんとした学校に通っていたならば、彼はきっと幼児の頃に何か問題があると目を付けられていたはずだ。だが彼の生い立ちは特殊で不幸。この赤い部屋で名も無き彼は何を思い、どうやって今まで生きてきたのだろうか?

「笑む顔のある部屋」 元ネタ

笑む窓のある家

笑む窓のある家』(1976/イタリア)
監督:プピ・アヴァティ
狂人によって殺された作者が描いたと言われているフレスコ画の修復に北イタリアの寒村を訪れた若い画家。だがすぐに画家の周りで殺人事件が起こり始める ─

両角が「四人家族」にこだわるのには理由があるが、それは彼の勝手な言い分で、あまりこちらには響かない。四人である必然性が感じられない。両角にとって、というより彼が幼少期にいた場所では幸せな家族の象徴が「四人家族」ということだったが、何か意味の無い違和感を感じる。「四人家族」に恐ろしさや幸せさを感じない。まぁ、何か動機づけが必要だったんだろうけど…。

それと終盤、山城の実家に刑事が多数来ることになるが、当然、同時に山城の自宅にも警察がはりつきませんか?念のためっていうやつです。それだとラストの展開に邪魔になるからだろうけど、ここ、すごく気になった。冴えてる清田が不在だったからかな…。
それと当然、血を浴びたまま自分の部屋に帰ることが出来た両角や、山城夫婦には簡単にとどめを刺しに行かない両角も気になったけど…。

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邦画にしては結構、血液描写あり、残忍な殺害現場ありな作品。欲を言えば連続殺人鬼の儀式的要素をもっとすごいものにして欲しかったかな。両角は「殺人って、その後2日ほど寝込むほど体力を使うんだよ」って言っていた。これを聞きながら、私は殺す順番はどうだったんだろう?ってまたもや疑問に思い始めた。だって、確か殺してから身体にポーズを付けてロープで結んだみたいなことを警察が言っていたと思うんだけど、順番に殺される間、四人ともじっとしていたのか?待っていたのか?逃げなかったのか?それほどこの男の見た目に恐怖感はあるか?

ナイフや包丁での殺人は自分も怪我を負うことが多いらしいが、そこは表現されていた。だが、やはり本作は解説にもある通り、エンターテイメントなんだ。連続殺人鬼のリアルを描いたものではなかった。どちらかというと漫画家のリアルを少し描いたものだ。

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