幻のホラー映画『シェラ・デ・コブレの幽霊』(1964)を観た

きっと観れるはずがない、死ぬまで観られない…と思い込んでいたこの伝説のホラー映画が、なんと!amazon prime videoで配信が始まっていた(”ω”)。元祖(ではないかもだけど)恐怖のお蔵入りフィルム、元祖アメリカの足の無い幽霊などなど、和製ホラー『女優霊』『リング』にも影響を与えたという本作をとうとう管理人momorexは観た─(‘Д’)!

■ シェラ・デ・コブレの幽霊  – The Ghost of Sierra de Cobre – ■

The-Ghost-of-Sierra-de-Cobre

1964年/アメリカ/115分
監督:ジョセフ・ステファノ
脚本:ジョセフ・ステファノ他
製作:ジョセフ・ステファノ
撮影:ウィリアム・A・フレイカー他
音楽:ドミニク・フロンティア

出演:
マーティン・ランドー(ネルソン・オライオン)
トム・シムコックス(ヘンリー・マンドール)
ダイアン・ベイカー(ヴィヴィア・マンドール)
ジュディス・アンダーソン(パウリナ)
ネリー・バート(メアリー・フィンチ)
レナード・ストーン(ベネデイクト・スローン)

■解説:
1964年に公開予定だったアメリカ合衆国のホラー映画。日本では1967年にNETテレビ(現:テレビ朝日)の『日曜洋画劇場』で放送されている。

Wikipedia

別題:The Haunted


ぃゃ、英語が出来る人ならば観る方法はあるんだけれど、英語出来ない者が下手に観て中途半端に理解しても…って思ってあきらめてた。ところがある日のamazon prime videoのお勧め(例によってホラーがずらり)からの関連タイトルに目を疑うような事象が起きる。私はこの日を決して忘れないだろう。感謝の気持ちと共に…

Contents

あらすじ

有名な建築家でもある心霊調査員ネルソン・オライオンのところに舞い込んできたある依頼。それは資産家マンドール氏に最近かかってくるようになった死んだ母親からの電話の調査。ただ泣いているだけの電話で妻のヴィヴィアはきっと悪戯だろうと笑ったが、気味悪がったマンドール氏はその道でも有名なネルソンに調査を依頼したのだった。
早速調査を開始したものの、ある理由で亡くなった時から母親の霊廟に置かれている電話機、調査のために訪れたネルソンとヴィヴィアの目の前に現れた女の幽霊など不気味な事実の発覚と、それに呼応するように心霊現象が起き始める。さらに調査していくうち、ネルソンはメキシコのシェラ・デ・コブレ(コブレ山)で起きたアメリカ人教師殺害事件に行き当たるが ─

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幻の映画『シェラ・デ・コブレの幽霊』

ゴーストでもお化けでもなく“幽霊”っていうところが日本人にはぐっと来ますね、いい恐怖の意味で。そのうえ聞いたこともないエキゾチックで、いかにもな地名“シェラ・デ・コブレ”(地名じゃなくてコブレ山という意味だそう)が付いてホラーとしては完璧なタイトルになっている『シェラ・デ・コブレの幽霊』。

モノクロ作品、1964年アメリカ公開予定だったのにお蔵入り。もうここまで聞くだけで、ホラーファンとしてはゾクゾクしてくるわけですが、実は本作、元は54分のテレビシリーズだった(タイトル:The Haunted)とのこと。それを81分の映画に編集し完成したというのにお蔵入りになり、上映も放送もされなくなった。中止の理由は(後に尾ひれがついて)あまりの恐ろしい映像描写のために試写会で体調を悪化させた者が続出したとかなんとか、、。今となればありがちな「観たら死ぬ」系作品となり、フィルムはたった2本が現存確認できるだけの希少なものに。

もう このストーリーだけでいったい何本の作品が作れることか(”ω”)。だって実際あるよね?だからなのか、これ系の話を聞くとゾッとするのと共に、必ず絶対観たくなる。どうしても観たくなる。何が何でも観たくなってくる…( これ自体が呪いと言える)

見どころと感想

─ と、前置きはこのくらいにして

実際この作品を観てどうだったかというと、一言で言うなら「建築家の探偵もの」ミステリー。探偵対象が心霊現象で、ついつい深入りしやすい探偵ネルソンには現実主義の相談相手(家政婦フィンチさん)もいるというセオリー通りの作り。おそらく一話完結のテレビドラマとしてシリーズ化する予定でもあったんじゃないかってほど、起承転結込みできちんと作られている。テレビシリーズのありがちなタイトル「The Haunted」(憑りつかれた)も分かりやすい。

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で、肝心の内容ですが、
当時の映像作品らしく、時々はさまる各俳優のアップや大袈裟な演出、探偵が主人公、目の見えない資産家、謎がある資産家の美貌の妻、分かりやすい悪役、頼りになる相棒。事件は何を意味するのか?お金か?裏切りか?そんなミステリー仕立ての中に本物の幽霊もお出ましに。

幽霊自体はなんでしょう。この頃にはおどろおどろしい“幽霊”の表現方法が確立されていなかったのか、実際のところ全く怖くありません(‘Д’)っ。日本の幽霊ほどどろどろしてないし、貞子(『リング』は1998年)はまだだし。とにかく幽霊だというのに「手」の動きがなんだか不自然で普通の人にしか見えない。よく言われるけれど「掌」を見せてはだめだね、恨みを持っているならやっぱり隠さなきゃ。
それと今思えば貞子の動きは画期的だったのがわかる。白いドレスにあの独特の動きは全世界(の映像作品)のゴーストもしくは魔物の動きに影響を与えていると言っても過言ではない(よくホラー観てると「あっ、また貞子や」っての多いよね)。

幽霊描写はあまり怖くない(幽霊というより死神っぽい)けど、作品初っ端から流れる恨み節いっぱいの泣き声は、割と不気味(この映画を観た夜にベッドに入っていたら、いきなりギィッってドアが勝手に動いた(きっと風のせい)のにビクッ(;O;)となったことは内緒です)。

とは言えモノクロの古い作品ってことでざっくり観るのは大間違い。作品冒頭の屋外の電気ケーブル(実際は電話線だった)がなんでこんなに長い事クローズアップされてるのかな(・・? なんで家政婦さんがうろうろしてるのかな(・・? みたいな違和感を感じたところにはきっちり理由があるのです。探偵に説明してもらわないとわからないけどね。

たった81分の作品だけど幽霊仕立てのミステリーとしては面白く、起承転結と悲劇、さわやかなラストに至るまで普通に観ていく分には十分な作品(余談だけどテレビシリーズと映画ではラストが全く違う)。
観終わって割と面白かったなっていうのが感想。
…そこでふと思い出した。

ちょっと待って。“あの幻の”とか“一生観れない”とか“行方不明の”とか“怖すぎる”とかはいったい…

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