Netflixで配信が始まったばかりのドラマ「地獄が呼んでいる」。前半と思われる第1話~第3話までを鑑賞したので忘れないうちに書いとこうっと。1~3は地獄の使者と新興宗教の教祖の話。
■ 地獄が呼んでいる – Hellbound – ■
2021年/韓国
監督:ヨン・サンホ
原作・制作:ヨン・サンホ、チェ・ギュソク
出演:
ユ・アイン
キム・ヒョンジュ
パク・ジョンミン
ウォン・ジナ
ヤン・イクチュン
キム・ドユン
キム・シンロク
リュ・ギョンス
イ・レ
■解説:
この世のものではない”何か”が突然現れ、人間たちを地獄へと突き落とす…。人々が恐怖におののく中、この現象を神の裁きだと主張する宗教団体が台頭し始める。Netflix
「地獄」とタイトルにあれば引き寄せられる病を患っている管理人momorex。本作の英題である「Hellbound(意味:地獄行き)」といえば、名作『ヘル・レイザー』に通ずるものがある(原作タイトルが「ヘルバウンド・ハート」クライヴ バーカー著)。ということで、あらすじと感想を(ネタバレあるかも(‘ω’))。
後半4~6話の感想はここ
Netflix「地獄が呼んでいる シーズン1/4~6話」 (2021)
「地獄が呼んでいる」シーズン1を最後まで観終わったー!やはり大きく1~3話の前半と4~6話の後半に分かれており、主人公が変わる。けれど通しで出演している物語の軸に…
Contents
あらすじと感想
ある昼下がり、お客で混んでいるカフェに一人の男が座っていた。男は落ち着かない様子で脂汗をかきながら、じっとスマホの時計を睨んでいる。その時計が13:20を表示した時、突然、地響きのような音と揺れがはじまり、それと同時にガラス窓が破られ3体の得体の知れない大型な獣が躍り込んできた。逃げる時計の男を暴れながら追いかけ、外の通りを走って行く。信号で止まっていた車もめちゃくちゃに壊され街はパニックに。
捕まった男はズタズタになるまで殴られ、振り回され、最後には目がくらむような眩しい光を照射され焼かれて死んだ。この様子は警察が駆けつける前に全てスマホで動画が撮られ、すぐにネットにあがった。話を一通り聞き、 ネットや監視カメラの映像を見たもののとても信じられない刑事ギョンフン。この一連の騒ぎについて以前から説教として話していた新興宗教「新真理教」議長チョン・ジンスを尋ねる。
ほとんど前情報を入れずに観始めたものだから、最初の数分で目が釘付けに。
この3体の黒い雪男のような生き物(のようなモノ、微妙に顔つきが違う)は「地獄の使者」と呼ばれている。地獄に引きずり込むのだけがお仕事の黒い雪男たち。吠えたり、ましてや話したりなどしない。突然この世に現れて地獄行きの対象めがけて突進し、とにかく半殺しの目に合わせたうえで焼き殺す。後に残るは炭と化したかのような被害者の骨だけだ。
どうやって対象は選ばれるのか。そしてなぜ対象者は時間を知っていたのか?
行き先が「地獄」とあるだけあって、どうやら何かの罪を犯したらしい。人をだましたのか?傷つけたのか?殺したのか…?それなりにたくさんいそうな罪びとの中から、何故時計の男が選ばれたのかは分からないが、まず本人に地獄行きの告知がある。これは新真理教のチョン・ジンスさんが言っていたのだが、まず天使が本人に伝えに現れるらしい。「〇日後の〇時〇分に地獄の使者が現れ、お前は死ぬ」と。
このあたり、さすが英題「Hellbound」。『ヘルレイザー』に似ているじゃありませんか。でも『ヘルレイザー』の方がもっとねちっこいよ。“パズルボックス”をいじって地獄の使者をそうとは知らずに呼んでしまうのは本人なんだけど、そもそもパズルボックスを手にしたというのが地獄行きの第一歩。普通の善人の一生ではパズルボックスを見ることさえない。そして呼ばれて登場するのがピンヘッドをリーダーとする魔導士たちだ。ここで地獄に落ちた人間は身体がズタズタになってもなお、痛みと快楽を求め永遠に地獄をさまようことになる。
究極の快楽へ『ヘル・レイザー』(1987) -Hellraiser-
彼らが案内するのは単なる地獄でなく痛みによる「究極の快楽」の世界と拘束された中での「道徳」の世界。それを「地獄」と感じるか「至福」と感じるかは本人次第。それにより悪魔にも天使にもなる。
だから本作の方があっという間に焼かれて灰と化してしまうからましかな(そういう問題じゃない気もするけど…(-.-)。
新真理教のチョン・ジンス議長がやたらと今回の事件に詳しく怪しいとにらんだ刑事ギョンフンは、話をききに行くうち、自分の娘がこの新興宗教でお手伝いをしていることを知る。ギョンフンの妻は数年前に薬に溺れた男に殺されており、娘とは二人暮らしで年頃の娘を持て余し気味。娘に言い返されたら二の句が継げないのだった。
ところでチョン・ジンスさんの新真理教。
ここの教えは悪い心を持ち、悪いことをすれば天使(という名の悪魔)が現れて地獄行きを告知され、地獄の使者に嬲り殺されてしまう。だから清い心で”正義感を持って生きよう”というものらしい。いまいちピンとこなかったんだけど、宗教というものは傾倒する者あってこそ。議長チョン・ジンスには大勢の信者と、ちょっと困った「矢じり」と呼ばれる特攻隊みたいな若者たちがいた。で、このチョン議長はもう10年も前から、今回の地獄の使者による成敗を預言していたのだ。なのに人々は耳を貸さない。今回始まった地獄行きは、もう待つことが出来なくなった神の裁きが始まったのだと言うのだが。
そんな中、2人目、大々的な3人目の地獄行き被害者が出て、本当に神の裁きなのか地獄の使者なのか、チョン議長そのものが地獄の住人で操っているのでは?とか考え始めていると、3話目になる頃には地獄の使者より酷くて怖い人間がこの世には大勢いることに気が付いてくる。女老人かまわず、バットを持ってこんなことするの!?って唖然となる。地獄行きの女性をテレビ中継して、それも大金払ってすぐ目の前のかぶりつきで(自分たちは顔を隠して)人が死んでいくのをスマホ片手に見物するとは…。さすが韓国作品は過激だ。
そして第3話ラスト。
なぜ議長が一連の事件に詳しかったのかが判明する。その話は娘を人質にとるようにしてギョンフン刑事を呼びつけ、勝手に語りだすんだけれど、ちょっと意味が分からなかった。何も悪いことはしていない、みたいに言っていたけど、いやそうか?手は下さずとも娘をそそのかして、まるで自分が神になったかのごとく顔色一つ変えずに裁いていたよね?テレビインタビューの時にわざと娘の服を映したよね?だいたい娘を人質にとって、みたいに思わせる、そういうところだと思うんだけどね。
そりゃ20年もの間、秘密を抱えて大変だったとは思うけど、そもそものこの新興宗教の立ち上げは、自分を助けたいために人々に改心して欲しいって感じがしてくる。表向きは穏やかで善意の塊のようにみせかけつつも、心に何か冷たい塊が挟まっているように見える。ずっと親を恨んでいたんだろうなって。
ここの刑事と議長のやり取りは、あの『セブン』のラストを思い出させる。(セブンの犯人とは違って本作には本当の地獄の死者が現れたが)刑事と娘のこれからの生き方にあれこれ指示するところね。自分の手は汚さない議長に、いや、あなた何様?って思いながら観てたけど。罪を犯した娘は、この時のために議長に誘導された。それがまだ分からないこの時の娘の表情は秀逸で、恐怖と母への感情が悦びに昇華する瞬間を捉えている。悪魔が乗り移ったかのようだ。本作の中で1番の見どころと言っていい。それだけに地獄が見過ごすわけないよね、、と思ったが、この娘が本作の最終的なカギになる予感が…(゚ロ゚)
ということで1~3話は終わり。4話からはまた新しい話になるのかと思ったので、ここでいったん書き留めた。
『ヘルレイザー』の魔導士にしろ、ゴジラにしろ、カイジュウにしろ、大きな害をもたらすモノの行動を理解しようとするのは難しい。本作の顔だけ天使や雪男3体も今のまま、謎の物体という事で最後までいってほしいと思う。特にエイリアン系に走るのはやめて。
後半に続く
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