これでいいのか!?『パラドクス』(2014) - El Incidente

大阪ではまさしく今、上映している作品で観に行きたいなーって思ってた。結果、混乱しながらも自宅でゆっくり観てよかったと思う。じゃないと、足下をふらふらさせながら映画館を出て、街を彷徨う羽目になっていたかも・・・ずっと、、、35年間・・・

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■ パラドクス - El Incidente – ■
2014年/メキシコ/100分
監督・脚本:イサーク・エスバン
製作:サロモン・スケナシ 他
撮影:ロドリゴ・サンドバル 他
音楽:エディ・ラン

出演:
ラウル・メンデス
ナイレア・ノルビンド
エルナン・メンドーサ
ウンベルト・ブスト
マグダ・ブルゲンヘイム

解説:
無限に繰り返される空間に閉じ込められた人々を待ち受ける予測不能な運命を描き、世界各地の映画祭で注目を集めたメキシコ製スリラー。出演は「アモーレス・ペロス」のウンベルト・ブスト、「父の秘密」のエルナン・メンドーサ。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。

あらすじ:
刑事に追われる犯罪者の兄弟が、とあるビルの非常階段に逃げ込んだ。刑事もその階段に足を踏み入れるが、1階の階段を下りると何故か最上階の9階が現われ、何度下りても9階にたどり着いてしまう。そんな不可解な状況の中、兄が刑事に足を撃たれ、瀕死の状態に陥る。一方、車で荒涼とした大地を横断していた家族4人は、一本道なのに何度も同じ場所を走っていることに気づく。やがて、娘が持病である喘息の発作を起こし ―
(映画.com)

英題:THE INCIDENT


時たま、エラい物を引き当ててしまうのが内容を調べずに観る映画作品の面白いところ。これもきっとよくある系の、それでも自分には混乱するだろう的なパラドックス(矛盾)ホラーだと思ってた。ところがどっこい、本当に本格的なタイトル通りの難解パラドクス・スリラーな内容。原題でもあり英題にもなっている“INCIDENT”とは“出来事”というような意味で、タイトルを直訳すると「ある出来事」。邦題もこっちの方がより興味心をくすぐるが、ま、わかりやすいのは正式に付いた邦題でしょうかね(-ω-)

どんなお話かと言いますと
自宅に踏み込んできた刑事を突き飛ばして逃げた犯罪者兄弟は、あるビルの階段室に逃げ込む。追ってきた刑事と階段を下りながらの逃走劇となったが、刑事が発砲、兄が負傷する。怪我が思いの外酷く、観念した2人は刑事に投降、3人で1階の出口を目指すことに。
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ところが、下っても下っても階段は続くばかり。階数の表示は8階→7階→6階・・・1階となり、その下はまた元の9階になり延々と続く階段地獄。フロアに出る分厚いドアは開かず、階段を上っても同じ事の繰り返しに3人は混乱する。そうするうちに兄の容態が急変、息を引き取ってしまう ―

一方、こちらは上の3人とは全く関係無い一家。
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母と離婚した父親の経営するホテルに母親、継父、妹と4人で6時間のドライブに出発した少年ダニエル。継父のことはまだ信用ならなかったが、旅は順調に進んでいた。ところが半分ほど過ぎたところで妹が喘息の発作を起こしたうえ、持っていたはずの吸入薬が無いことが発覚。慌てて自宅に引き返すことに。
だが走れども走れども、道はなお続き、同じガソリンスタンドや看板が何度も行き過ぎる。ようやくおかしな事に気が付いた一行だったが、時既に遅く、妹は息をしていなかった ―

この何の関係も無い2つの出来事。このどちらもが、事の始まりに少し離れた場所らしい所から爆発音が聞こえてくる。とは言え、この2つの出来事に関連があるのか、時が同じなのか、場所は近いのか、それとも全く違う時の事なのか、、、全て分からない。
ただ一つ分かるのは、彼らが奇妙な空間に閉じ込められたという事実のみ。時間は過ぎ、身体は年齢を重ねていくものの、この空間から出られない。
そう、彼らは脱出出来なかった。35年もの間 ――
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ま、ぱっと見、何の関連も無いこの2つの出来事だけど、場所は違えど同じ設定に「はは~ん、何か関連があるな?」とは素人にも分かること。
素人といたしましては、「異次元が繋がっていた」とか(意味はあまり分かっていない(-.-))、何かの実験だったとか、『ヒューマン・レース』みたいにアレに支配されているとか?とかとか考えてみたりしつつも観ていましたが、まぁ、なんと、お客さん!終盤の怒濤の展開と、とても1度では理解できない種明かし(のようなもの)に、あの『ソウ』のラストにも似た戦慄が身体中を駆け巡ることに・・・(バックに流れる音楽が『ソウ』に似ていた(-ω-))

ここ icon-arrow-down からは【ネタバレ】になっているかもしれませぬ。未見の方はお気をつけを

 

Contents

ネタ解明らしい部分を2度観て得た結果とは、、

人の人生は大まかに2つに区切ることが出来る。前半は「若者」と呼ばれる時代で後半は「年配者」と呼ばれる。その流れは以下のように表わすことが出来る。
●若者時代・・・肉体的にも精神的にも向上心を持って鍛錬し、未来に備える時代。
●年配者時代・・・過去に囚われ、回想と後悔に支配されながら過ごす時代。

この奇妙なパラドクスの無間地獄では、それぞれが35年間あり、ある乗り物に乗る事で切り換えられる。その乗り物とは地獄の種類によって違っていて、階段室ではエレベーター、無限道ではパトカーだった。
そしてその乗り物に乗るや否や、自分の名前を忘れ、中に用意され指示されている次なる行動のための器(エレベーターボーイや警官)になりきり、後半の年配者時代35年を過ごすことになる。もちろん無間地獄の中で
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各地獄の登場人物数は色々であるが、爆発音がして地獄の釜が開き、1人が持病で死ぬ事がルール。故に残された者は死んだ大事な人のことで確執が起きるようになっている(らしい)。道のお母さんはすぐに精神崩壊を来していたので、きちんと意識を持って状況を分かりつつ地獄を生きていくのは2人なのだろうか。そしてそれはいつも若者と年配者の組み合わせになるのだ。

そしてもう一点。とても分かりにくいのが地獄にいる自分たちは「現実のための偽りの装置」という説明だ。自分たちがこの地獄で苦しんでいるのは、現実に生きるもう1人の自分のためであり、その自分が幸せに暮らすため自分たちはここで苦しんでいる、と。
・・・・へ?

確かに、上記に登場した人々が普通の人生を歩む映像も(ソウのBGMと一緒に)流されていたけれど、もう、そんな事言われても自分の頭じゃ処理できませんので、地獄のもう1人の自分に託します。私のためによろしく
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―― ということで、お分かり頂けましたでしょうか?
また何か思いついたら追加しようと思いますものの、しばらくの間はきっと再見しないと思いますので、時間はかかると思います。
35年後?もう死んでいるかもしれませんから

では
「未体験ゾーンの映画たち」について詳しくは下 icon-arrow-circle-down

パラドクス [DVD]

未体験ゾーンの映画たち2016

未公開な作品ばかりを集めて公開してくれる毎年楽しみな映画祭。
今年はあのハリウッド版『マーターズ』なんかもラインナップされていて、もう足がうずうずしているんだけど、仕事との兼ね合いでなかなか行けません・・・ 仕方なくDVDレンタルを待っている日々・・・
(-ω-)

そんなmomorexさん今年のオススメは
・ライアー・ハウス(テキサスの片田舎のある家。妻ローナは夫デイルが銀行から強盗した10万ドルの行方を聞き出そうと夫を監禁。しかしカッとなりつい夫を殺してしまった!10万ドルの行方と夫の処理。次から次へと起こる難題に彼女はあることを思いつく…。)
・アフターデイズ・ボディ 彼女がゾンビと化した世界(彼女はなぜ生ける屍となったのか?さらに広がる感染の脅威!美女がゾンビになるまでの3日間を描いた「スリーデイズ・ボディ」のその後を描く、驚愕のサスペンス・ホラー!)
私はゴースト [DVD]・私はゴースト(成仏できない霊魂に隠された死の謎が、声しか聞こえない霊媒師との奇妙な交流を通じて徐々に解き明かされてゆく、哀しくも恐ろしい心霊ホラー。) 感想『私はゴースト
・グッドナイト・マミー(美容整形の手術で別人のように冷たい人格になったママは、本当にママなのか?!目を背けたくなる展開の恐ろしさに、席を立つ観客が続出!シッチェス・カタロニア国際映画祭グランプリの衝撃作!)
・アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ3(あれから数年、名前も変え密かに生きるジェニファー。刻まれた忌まわしき惨劇の記憶を消すことのできない彼女は、血に飢えた復讐鬼へと覚醒めていく!衝撃のサーガ再始動!)
・INFINI/インフィニ(宇宙にある沢山の基地で調査員が働く近未来。ある時“インフィニ”基地で1人を残し全員が死亡。原因を探るべく救助チームがインフィニへ向うと、そこには驚くべき“何か”が誕生していた…。) 感想『INFINI/インフィニ
マーターズ [DVD]・マーターズ(史上最凶の残酷映画がハリウッドリメイクで蘇る!「モーテル」、ディカプリオ主演「レヴェナント 蘇えりし者」の公開も待たれる天才ホラー作家マーク・L・スミスが脚本を担当、地獄の苦痛を世界に再び投げかける。) 感想『マーターズ/2015リメイク版
 icon-arrow-right フランス版の感想『マーターズ
・死の恋人ニーナ(ロブに恋をしたホリー。二人がベッドで愛を交わす度、死んだロブの元彼女、ニーナが血だらけで姿を現す・・・。その独創性で各映画祭を席巻、悪夢的なホラー・ラブストーリー。)
スウィート・ホーム [DVD]・スウィート・ホーム(若いカップルが忍び込んだ古いアパート。そこは、残虐な殺し屋たちが蠢く「魔の巣」だった―。「REC/レック」のプロデューサーが放つ、戦慄のスリラー・アクション!!)
・カリキュレーター(『ナイト・ウォッチ』のティムール・ベクマンベトフの再来ドミトリー・グラチョフが、驚異の惑星でのサバイバル・バトルを未曾有のヴィジュアルとVFXで描いたSF超大作!)
・ザ・ハロウ/侵蝕(地元民から神聖化された不気味な森には子供の生贄を求めてうごめく恐ろしいクリーチャーたちがいた。サンダンス映画祭で暗闇の映像美が評判になった、キッドナッピング・森林ホラー!)
・スナッチャーズ・フィーバー -喰われた町-(「ゼイリブ」×「28日後…」の衝撃!映画学科の学生4人が取材に訪れた町で遭遇する、極限の恐怖。彼らは気付いてしまった…何かが確実にこの世界を乗っ取ろうとしている!)
公式サイト:未体験ゾーンの映画たち2016

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