11/3からNetflixで配信が始まったジェーン・ウー監督による復讐に燃える侍のかなり見ごたえのある血なまぐさいアニメーションドラマ「ブルーアイ・サムライ」。アニメでは珍しいmomorex超おすすめ作品。全8話構成の今回はおそらくシーズン1に当たっていて、いい感じのところで8話目が終わっていった…(-.-) ベンッ(三味線のBGM)
■ 碧眼 BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ ■
2023年/アメリカ/全8話
監督:ジェーン・ウー
脚本:アンバー・ノイズミ、マイケル・グリーン
製作総指揮:アンバー・ノイズミ、マイケル・グリーン
出演(声):
- マヤ・アースキン(水)
- ジョージ・タケイ(関)
- マシ・オカ(林檎)
- ケイリー=ヒロユキ・タガワ(刀鍛冶)
- ブレンダ・ソング(明美)
- ダレン・バーネット(泰源:たいげん)
- ランドール・パーク(新堂)
- ケネス・ブラナー(アバイジャ・ファウラー)
エピソード
- 鍛錬のかけら(62分)
- 予期せぬもの(48分)
- 限られた道(45分)
- 特殊な性癖(47分)
- 浪人夫婦の物語(46分)
- 邪悪な夢よ、怒りの言葉よ(35分)
- 滅びることはない(45分)
- 明暦の大火(49分)
■解説:
江戸時代の日本で世間から見捨てられ、忌み嫌われてきた若き剣士。そんな人生を強いた者たちへの仇討ちを誓う剣士は己の定めを全うすべく血塗られた道を突き進む。Netflix
2023年秋 ─
ここにきて見ごたえのある作品が次々と出てきたように思える今日この頃。先週は『ゴジラ−1.0』を観に出かけ、続いて『ヘル・レイザー』(2022リブート版)をワクワクと観終わり、次にすぐさま観始めたのが本作Netflix「碧眼 BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ」。
外国人による侍アニメは結構あって今までもちょくちょく観ては感心したり、ふ~んと思ったりしていた。なので本作もNetflixリストで見つけ休みの午前中から観始めたのだった。結果、それは良かったと言わざるを得ない。理由は途中でやめることが出来なくなり8話最後まで一気見したからだ。本作はしっかりしたお話を中毒性のあるキャラクターたちがぐいぐいと引っ張っていく日本の物語。それも日本人好みの仇討ち物語。さすが文化の日に配信が始まった作品である(‘Д’)
あらすじ
見どころと感想
観始めた初っ端、主人公の出自がどうとか、自分を醜く感じこんな自分を生み出した全てを呪っているとかみたいなことよりも、主人公の「水(みず)」という変わった名前と特徴のある顔付に苦手意識からかどうしても彼の瞳(青いことではなく、その形状)に目が行って、最初はなかなか話が入ってこなかった。
流れていずれ消えてしまうかのような「水」という命名に(本当の意味はわかりませんが(-.-))、母親がどういう思いで名付けたのかとつい考えてしまう。そこに水の置かれた状況、与えられた環境、受けた仕打ち…などが表現されているようで、これがアメリカの作品ということにまずは唸ることになる。
確かに江戸時代では碧眼ということ(=父親が欧米人。母親は遊女。その結果この世に産み落とされた混血という悪魔)は、それだけで村八分に合う宿命を負うことになった。見たことが無いものに対する“恐れ”という感情は、それに対して憎み、忌避させ、排除する行動を起こさせる。
水は虐め排除した村人ではなく、もっと大元の無理やり母親を拉致して手籠めにしたあげく、身籠った母を犬のように捨てた4人の異国人を復讐の対象とした。水の生きる日々は仇討ちのためだけにある、とても冷たいものになっていったのだった。

けれど人は一人では生きられない。
旅に出てすぐに出会う蕎麦屋の息子“林檎”は、例えるなら『ロード・オブ・ザ・リング』主人公フロドの旅を支えた“サム”のような存在だ。サムと同じく水の復讐の道中を陰になり日向になり支えていくことになるのだが、本作はどの登場人物についてもその人となり、行動原理となる考え方や過去を詳しく描写してくれる。なので、どんな小さな存在の登場人物に対しても感情移入ができる作りとなっている。
なので水の弟子となっていく林檎についてもただの食べ物好きな体の大きい愚鈍な男なんてことはなく、観ている私たちには最初から愛すべき存在であることが分かっている。水はなかなか認めないけどね。
そういえば「ゲーム・オブ・スローンズ」にも次女アリアと共に行動し後に上手なパンを焼くことになった男がいたなぁ。名はなんといったっけ…
他にも水の周囲には、それぞれ置かれている環境の中で懸命に生きようとしている人々が登場する。彼らは大名の娘や家老、名を上げたい剣士、置屋の女将、置屋に売られてきた娘にいたるまで、自分ができることをやりながら日々を精一杯生きている。
彼らは自分が何者であるのかを知っているのだ。
何者であり、何をしたいものであり、何を成し遂げるべきなのか
それは誰かのせいでも誰かのためでもなく、自分のための生き方。後になって決して後悔しない生き方。人がなんと言おうと自分自身で誇ることができる生き方。そんな生き方は彼らが何者であったとしても日本の誇り高い「侍」に通ずるものがある。このような生き方はもちろん西洋にもあるのだろうが、この誉れ高き武士たちの物語がアメリカ産ということに驚きを隠せない(-.-)
そんな彼らに揉まれながらも自分の成し遂げることを決して曲げない水。もはやこれは水の運命であり、宿命だと言える。
本作は敵の一人ファウラーを追い詰めたところでシーズン1の終幕となる。そういうと本作のヴィランともいうべき水の敵の一人ファウラーに関してだけは感情移入できませんでした(-.-) それはもちろんそうであるべきなのだろうけど、彼は徹底的な悪役に徹しており、それは見事というほどだった。ちなみに声は名優ケネス・ブラナー氏です。
さて。
これでシーズン1であろうNetflixアニメ「碧眼 BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ」を最後まで観たことになるのであるが、ラストで「ぅぇ~い、ここで終わっちったよ~~”(-“”-)”」と悲痛な叫びが漏れた管理人momorex。この時には水の顔付がどうとか好き嫌いがどうとかなんてものは全く頭の中から消え去り、水を応援、というか水の生き方、生き様を最後まで見たいという思いだけが残ったのでありました。
それは“応援”などというような軽い今風の言葉では決して表すことができない気持ちで、それほどこの作品の登場人物たちの重い生き方に感動した私。それは の水のバックにいる敵側の私刑軍団たちにさえ感じられ、彼らのプロの動きにいたく感動したのでした。

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