夫が自殺し、一人残された湖畔の家に何かの気配がする ─
残された妻の感情が悲しみから怒りへと移っていく。その怒りの爆発は不気味な気配を、夫の秘密を調べずにはいられない。今回、頑張って解き明かしたのは『アウェイクニング』のレベッカ・ホール。
■ ナイト・ハウス – The Night House – ■
2021年/イギリス・アメリカ/108分
監督:デビッド・ブルックナー
脚本:ベン・コリンズ他
製作:デビッド・S・ゴイヤー他
製作総指揮:セバスティアン・レボ他
撮影:エリーシャ・クリスチャン
音楽:ベン・ラベット
出演:
レベッカ・ホール(ベス)
サラ・ゴールドバーグ(クレア)
ステイシー・マーティン(マデリン)
エヴァン・ヨニグケイト(オーウェン)
ヴォンディ・カーティス=ホール(メル)
アンバー・アン(ブライドメイド)
■解説:
亡き夫が設計した湖畔の一軒家で不可解な出来事に襲われた女性が謎を解き明かすべく奔走する姿を描いたサイコスリラー。映画.com
またもやDisney+でひっそりと始まったホラー作品『ナイト・ハウス』。同時に配信された『アントラーズ』や少し前に配信開始した「アメリカン・ホラー・ストーリーズ」などのおよそディズニーらしくない作品のチョイスは、管理人momorexを非常に驚かせ楽しませている(‘ω’)
Contents
■あらすじ
湖に浮かぶボートで拳銃自殺をした夫オーウェン。彼の建てた湖畔の家に一人残された妻のベスは、あまりの突然の出来事に悲しむことよりも怒りに身を任せる。なぜ?どうして?一体何が?私たちは幸せに日々を過ごしていたはずなのに?
ついついお酒に手が出るようになったベスは夜もうまく眠れない。そうするうちに夜になると家の中で足音が聞こえ人の気配がするように。気配は小さな音だけに限らず、突然大音量で鳴り出すオーディオや、自分に語り掛ける声さえも聞こえるようになってくる。お酒のせいなのか、精神的に不安なせいなのか、友人のクレアは心配して自分の家に泊まりに来るようベスに声をかけるが、ベスはこの不思議な出来事は夫オーウェンの霊のせいなのではと思い始めていた ─
■感想
物音や気配だけなら、愛する人を突然失った悲しみからの現実逃避なのかとも考えられるところ、ベスの場合は違ってた。足音や人影、銃声が響く、電気が点く、オーディオの電源が入る、スマホの着信音が鳴る、などなどあまりにもその「何者」かがベスに対して、自分の存在を証明するかのようにあの手この手で派手に見せつけてくる。
自殺した夫の霊がこんなことするか?
と、思い始めた頃、夫のスマホに残された画像一覧に妙なものを見つけるベス。画像に残されていた自分に少し似た感じのたくさんの女性たち。いったいこれは?彼は浮気をし続けていたのだろうか?
この時には家の中の何者かはベスの夢にまで入り込み、不気味な自宅や、ぼそぼそ話す夫の姿となって現れるようになる。彼は精神に異常をきたしていたのだろうか?
このあたりの夢と現実を行き来するベスの精神的錯乱状態一歩手前の様子はとても丁寧に描かれる。彼女を翻弄する何者かの力を見るに、だんだんと只モノではないように感じられてくるつくりだ。ようやく安らかに眠りに入ったその時に大きな音で揺り起こされ、開けた自宅のドアの中で自分の寝姿を発見させられ、目を覚ます。これらの場面の切り替えは秀逸で、ホッとしたところでバンッとやられるからベスと同様こちらもびっくりして安心できない。
けれどベスは錯乱の一歩手前でなんとか踏みとどまり、夫の荷物の中に奇妙な書物「カエルドロイア」を見つけ、自宅とは反転間取りで作られたもう一軒の家を森の中で発見する。その家にあったものは、とても正気の沙汰とは思えない「ルーヴル人形」だった。そしてその後、もっと驚くものがベスを待っていた。
カエルドロイア -Caerdroia
カエルドロイアはウェルシュ芝の迷路で、通常は7つ折りのクレタラビリンスデザインです。それらは丘の頂上で羊飼いによって作成され、明らかに儀式の踊りの舞台でした。各カエルドロイアの中心には、ウェールズのtwmpathにある小さな丘がありました。ウェールズでのフォークダンスの集まりは、今でもtwmpathの夜明けと呼ばれています。
Wikipedia
ルーヴル人形
エジプトで発見された4世紀の呪術人形。
恋する女性を自分のものにするために、呪いの儀式と共に13本の針を人形に打つというもの。
4世紀の本物はルーヴル美術館に所蔵されている。
儀式を行うための自宅と全く同じ造りの反転した家、呪いの人形、そして反転した家の床下に放り込まれていたモノたち。もうここまで来たら、愛する夫の幽霊話ではないことはベスでなくても分かってくる。いったいこれらの出来事の黒幕は何者なのか?
それは観てのお楽しみ。ラストできっちり明らかにされるのでご安心を。
「アメリカン・ホラー・ストーリーズ S1」 (TV/2021)
ディズニープラスでひっそり(?)と始まった「アメホラ」スピンオフドラマ、その名も「アメリカン・ホラー・ストーリーズ」。タイトル最後に“ズ”が付いているのが違い…
『アウェイクニング』(2011) - The Awakening –
『アザーズ』好きなので美女と少年の幽霊・ゴシックホラーという内容に思わず飛びついた。観終わっての感想はいろいろな作品の良いところを詰め込んだな、というもの。まぁそれでも主演のレベッカ・ホールの美しさにあっという間に最後まで観終えることが出来たが。