『処刑!血のしたたり』(1989) ~ライミのスーパーマーケット

赤字続きの大型スーパーマーケットを舞台に、店員のサム・ライミ兄弟やチャーリー・シーンの妹が謎の殺人鬼に次々とえらい目にあっていくスプラッターホラー『処刑!血のしたたり』。サム・ライミとブルース・キャンベルの名前が出たところで、仕上がりが名作『死霊のはらわた』を彷彿とさせるのは当然だ。

処刑!血のしたたり

■ 処刑!血のしたたり  – Intruder – ■
1989年/アメリカ/87分
監督:スコット・スピーゲル
脚本: スコット・スピーゲル
原案:ローレンス・ベンダー、スコット・スピーゲル
製作:ローレンス・ベンダー
撮影:フェルナンド・アルゲレス

出演:
エリザベス・コックス(ジェニファー)
レネ・エステヴェス(リンダ)
ダニー・ヒックス
サム・ライミ
ブルース・キャンベル
テッド・ライミ

■解説:
『死霊のはらわた』の脚本家、スコット・スピーゲルの初監督作。深夜に残業中のスーパーの店員たちが、謎の殺人鬼に次々と惨殺されていく様をタイトル通りの血まみれで描いたスプラッターホラー。サム・ライミやブルース・キャンベルが出演。

キネマ旬報社


Contents

■あらすじ

赤字続きの大型スーパー“ウォルナット・レイク・マーケット”。
閉店間際のある夜、レジにいた店員ジェニファーのところに一人の若い男がやって来る。男の名前はクレイグ。1年ほども前に2か月ほど付き合って別れたジェニファーの元カレだ。ジェニファーは薬物も絡んだクレイグの異常な行動に嫌気がさして別れたのだったが、クレイグはいまだにジェニファーに付きまとい復縁を迫って来る。この夜も、同じでストーカーと化したクレイグが復縁してくれないジェニファーを殴り、慌ててスーパーの店長や店員が大暴れしているクレイグを取り押さえた。

処刑!血のしたたり

同僚のリンダが警察を呼ぶもなかなか来ない。そうしているうち、取り押さえられていたクレイグが広いスーパーの奥へと逃げこんだ。慌てて皆でクレイグを探すが見つからない。
だが、今夜のトラブルはこれだけで収まらなかった。本当の惨劇はここから幕が上がる。大きな肉切り包丁を持った何者かが店員の一人に近づこうとしていたのだ ─

みどころ

物語はジェニファーを中心に、割と複層的なお話で進んで行く。逃げ出した元カレが見つからない中、一人ずつ殺されていくスーパー店員。元カレが殺人鬼なのか、殺人鬼が他にいるのかは最後まで分からない。
それをジェニファーの叫び声や、走り回って逃げ、声を潜めて隠れ、見つかり、、の様子を軸に、もっと悲惨に、もっと残忍に刺され、斬られ、バラされ、吊るされ、ポイっと捨てられ、、のありとあらゆる方法で殺されていくスーパーマーケットの店員たちがじっくりと時間をかけて描かれる(被害者の中にはライミ兄弟やチャーリー・シーンの妹も含まれる)。

こうしてよく見ると、スーパーの中には危ない機械や物があふれてる。
肉切り包丁やその他のナイフはもとより、店員が常備しているカッターナイフ、食パンやその他の食材を切り分けるスライサー、もっと大きなものをカットしていく装置、肉をミートにするアレ。商品棚にはありとあらゆるナイフやハンマー、のこぎり、チェーンソーまでも…(-.-)

これらは殺人鬼の道具になるが、反対に考えると逃げ回る普通の人々の反撃の道具にもなる。

処刑!血のしたたり
だが使い方が素人だ・・・

こうやって、可愛いお嬢さん店員も、親切な店員も、音楽好きな店員も、オタク見た目の店員も、イケメンな店員も皆、平等に殺られていく本編。監督や製作が名作『死霊のはらわた』の人たちだから、殺られ方も、その後の姿も 『死霊のはらわた』 セオリー通り(今回の注目ポイントも切り離された“手首”)。

このままラスト近くまで突き進み、殺人鬼のお顔を拝見することになるが、それはここでは(もったいぶって)伏せておきましょう。けれど1980年代当時というのは、簡単に予告編などで肝心の犯人を見せるのが流行っていたのだろうか…?

そしてラスト。ようやくブルース・キャンベル警官が到着し、全て終わったとみせたラストのラストで可愛いお嬢さん店員の叫び声がまたもやスーパー駐車場にこだまする。いったい何があったのか…。哀れ、お嬢さん店員…。
観ているこちら側には、なかなか面白い最後だったけど(‘ω’)


サム・ライミと言えば「手首」「リンダ」「スーパーマーケット」だ。本作を観るにあたり、これらのチェックも欠かせない。
サム・ライミさんは、スーパーマーケットと“リンダ”という女性に何か手首が絡んだ特別な恨みでもあるのだろうか?(本作監督は違う人だけどね)

名作『死霊のはらわた』シリーズ

処刑!血のしたたり

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