『闇のバイブル 聖少女の詩』(1969) - Valerie a tyden divu

自由と束縛、愛と裏切り、瞑想と妄想・・・ こういった表裏一体の出来事を感受性豊かな少女が頭の中で繰り広げる物語、、といった内容のお話『闇のバイブル 聖少女の詩』。なので、筋も辻褄も何もありゃしません。そういった意味では「不思議の国のアリス」とも言えるけど、もっと直接的に性的でサディスティックです(なんのこっちゃ・・)

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■ 闇のバイブル 聖少女の詩 - Valerie a tyden divu – ■
1969年/チェコスロバキア/74分
監督・ 脚本:ヤロミール・イレシュ
原作:ビーチェスラフ・ネズバル
製作:ジリ・ベッカ
撮影:ヤン・クリーク
音楽:ヤン・クルサーク 他

出演:
ヤロスラバ・シャレロバ
ヘレナ・アニェゾバ
ペートル・コプリバ

解説:
チェコ・シュールレアリスムグループの創始者でもある詩人ヴィーチェスラフ・ネズヴァルの同名小説を“チェコ・ヌーヴェルヴァーグ”の映画作家として知られるヤロミル・イレッシュが映画化。主演は本作での美しさが伝説化している美少女、ヤロスラヴァ・シャレロヴァ。
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あらすじ:
両親のいない黒髪の美少女、ヴァレリエ。厳格な祖母に育てられた彼女はある日、村にやって来た旅一座に不気味な怪物を見る。それ以来、奇妙な悪夢にうなされるようになったヴァレリエは、不思議な光景を次々と目撃しながら迷宮の世界を彷徨っていく ―

英題:Valerie and her week of wonders


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初潮を迎えた少女がふと陥った、これからへの不安と期待の入り交じった世界・・ それはいつも歩く道のすぐそばに大きな穴となって落ちていた。
――みたいなお話です(ますます分からんですね(-.-)

両親はなく、厳格な祖母に育てられたヴァレリエ。ある日、結婚式のお祝いに村へやって来た旅芸人一座。その中に不気味な仮面を被った化け物の姿を見つけた彼女は、恐怖のあまり不思議な世界へと入っていく。
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実際は不気味な仮面を被った、歯槽膿漏で血色の悪いただの老人というだけの人なんだろうけど、夢見る少女はこの人を見てあらゆる妄想の世界へと旅立つことに。

それはどんな場所と言うと、妄想型近親相姦的な存在の兄、実は淫乱だった祖母、自分に言い寄るスケベな司祭、結婚して幸せなはずの新妻の苦悩、それらの間を跋扈する吸血鬼。そして彼らの目的と愛情は全て自分ヴァレリエに向かう。
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囚われの身と解放、自由と束縛、逃亡と帰宅、愛と裏切り、与える者と奪う者、瞑想と妄想・・・ 彼女ヴァレリエが感じ、考えるこれら相反する世界がワンカットで、又は流れに沿って映像となり繰り広げられる世界。
そして全ての帰結は我が身を差し出し焼かれ死ぬ恍惚の世界に―
・・・そう言えば、前に観た同じような作品で『小さな悪の華』も同じようなラストだったわ・・・

綺麗で麗しい素敵なヴァレリエが写真や8mmフィルムの一コマのようにどんどん映し出されていくけれど、結局は自己中心的な「自己愛」とそれを支える「その他」の比較映像にすぎない。外見も中身も美しいヴァレリエと汚らわしい存在の他者。この世で認められるは自分だけで、他は全てなんてことのないつまらない存在に過ぎない。だから皆がヴァレリエを欲する。それぞれに無いものを求めて。か弱い、たった一人の存在でしか無いヴァレリエは、だから最後は天に身を捧げるしか無くなるのだ ―
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ま、ラストは何のことも無くアリスのように目を覚ますのだが、、
ホントに大丈夫ですか、この娘は・・・ 妄想するだけなら何の罪も無いですけどね。

もっといる「悪い少女」「美少女」たち

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