『ドライヴ』(2011) - Drive –

大都会で修理工として働く孤独な男。寡黙な彼は強盗の逃がし屋としての裏の顔を持っていた。卓越したドライビング・テクニックで警察の網をかいくぐり、確実に仕事をこなすプロのドライバーである彼が、都会の砂漠で見つけたオアシスのような女性。しかし関わった闇社会は彼にオアシスを持つことを許さなかった。それが孤独に生きることで仕事をしてきた彼の運命だったのだ。
 

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■ドライヴ - Drive -■
2011年/アメリカ/100分

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ホセイン・アミニ
原作:ジェイムス・サリス
製作:マーク・プラット、アダム・シーゲル 他
製作総指揮:デヴィット・ランカスター、ゲイリー・マイケル・ウォルターズ 他
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽:クリフ・マルティネス
出演:
ライアン・ゴズリング(ドライバー“キッズ”)
キャリー・マリガン(アイリーン)
ブライアン・クランストン(シャノン)
ロン・パールマン(ニーノ)
アルバート・ブルックス(バーニー・ローズ)
オスカー・アイザック(スタンダード)
クリスティナ・ヘンドリックス(ブランチ)
 
解説:
ジェイムズ・サリスのクライム・ノベルを基に、闇の稼業に手を染めたハリウッドの孤独なスタント・ドライバーが、愛する女性のために裏組織に戦いを挑む姿を、クールかつスタイリッシュに描き出したクライム・アクション。主演は「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング、共演にキャリー・マリガン、アルバート・ブルックス。監督は異色のバイオレンス映画「ブロンソン」で注目を集めたデンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン。本作でみごとカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞。
 (allcinema)
 
あらすじ:
大都会ロスで暮らす孤独な男、通称“キッズ”。彼は自動車修理工場で働きながら、持ち前のドライビング・テクニックをいかしたカースタントで活躍する一方、強盗の逃がし屋として裏社会の仕事も請け負っていた。そんなある日、同じアパートに住むアイリーン親子と親しくなり、徐々にアイリーンに惹かれていく彼。お互い心が通じ合うようになり親密になり始めていたが、服役中であったアイリーンの夫の出所が決まり-

 


いつものごとく、詳細や他の方のレビューを読まずにまず観てみた。
トランスポーター(2002)』みたいな話なのかなーと思ってたけれど全然違った。アクションというよりバイオレンスよりで、かなり暗めの少し変わったトーンを持つ作品。
 
Drive_34“キッズ”と呼ばれている、ある男。
凄腕のドライバーで、自動車修理工場に5年前から勤めているが、時々アルバイトで映画作品のカースタントをこなす。アルバイトはそれだけではなく、強盗の逃がし屋(表で待っていて仕事を終えた強盗を車で逃がす役)も裏家業としている。強盗そのものには関わらず、強盗が出てくるのを待つ時間も「きっかり5分」というルールを決め、冷静に仕事をこなすプロ。若いのに度胸と落ち着きがあり、いつも爪楊枝をくわえていて、まるで金で仕事を請け負う“荒野の用心棒”か“流浪武士”みたいな感じだ。何か理由があるのか、いつもさそり柄のジャケットを大事に着ている。
 
そんな彼が同じアパートに住む親子と知り合う。
Drive_14可愛い女性アイリーンと息子ベニシオ。車の故障がきっかけで一緒に出かけるようになり、少しずつ打ち解けてあっていく2人。そんな時に服役中の夫スタンダードの出所が決まり、距離を置かざるを得なくなる。元の孤独な生活に戻ったキッズだったが、ある日、スタンダードが2人のやくざっぽい男に殴られ倒れているところを発見。刑務所内で作った借金のために強盗を強要され、やらなければ家族にも危害を加えると脅されたのだった。
キッズはアイリーンとベニシオを心配し、彼女たちのために自ら逃がし屋の仕事を引き受けスタンダードの力になることを決めた。そして決行。仲間のブランチと一緒にスタンダードは白昼、質屋を襲い金を強奪。そのまま逃げるはずだったが、質屋の返り討ちに遭いスタンダードは銃殺。弾が飛び交うなか、キッズとブランチは逃げ去る。
盗んだ金が聞いていた額と違い100万ドルもあったことから、これには何か裏があると察したキッズだったが-

 
甘いマスクのライアン・ゴズリングが優れたドライビング・テクニックを駆使して車を運転するシーンが非常にかっこいい。特にどうみてもヤクザな2人をじっと見ながら、片手でハンドルを回し駐車するところ(要するに駐車先も駐車位置も確認せず車庫入れしている)は、ごく一般的な技量しか無い自分などから見て、すごい!と思ってしまった。車とハンドルが自身と一体となっている感じ(もちろんこの作品の注目すべきところはここではないのですが..)。
そしてその見た目とは相反する寡黙さ。あわせて優しい子供とのやり取り。アイリーンじゃなくても心惹かれるのは当然だナー。アイリーンとベニシオのために夫スタンダードの借金返済の手助けをするのもよかった。
が、しかし、彼女を守るために次にとった行動があまりにも暴力的で限度が無く、あまりにも慣れすぎていることで、今までの彼がわからなくなる。それはアイリーンも同じでかなり引いていた様子。
 
Drive_37どうやら彼が得意とするのは運転だけではないらしい。格闘や銃、反撃の仕方などを見るに、元は鍛えられた軍人かその道のプロか。彼の過去については一切触れられず、着古したサソリのジャケットが何かを語りかけるのみだ。何があったにせよ、その世界から抜けたのだろう。しかし逃がし屋の裏家業が闇の世界と繋がり、守りたい人が出来たときに弱みとなって、その世界にどっぷりと自らはまり込んでしまう。最初のイメージであったクールさが無くなってしまったのは残念だった。
 
反対に彼の敵となるバーニーはヤクザものだが一本筋を通しているところがあり、「彼女には手を出さないがお前はそうはいかないよ」と話す内容は納得できるものに感じた(ロン・パールマン演じるニーノは最低だったけど)。
アイリーンについては、ちょっとアレだけどまぁよくある行動パターン。夫スタンダードは服役しているということで最低なヤローなんだと思わせておいて、出所パーティでは猛反省した妻子を愛する男として演出。また妻と何かあったのでは、とキッズに対してちょっと疑りの目を向けるも大人の対応をさせている。
元カースタントマンのシャノンには終始小物感が漂う。
 
ということで、いい人なのか悪い人なのか、というのが時間の経過と共に変わっていく登場人物達にちょっととまどい、応援していたキッズが途中から暴力男になってしまってどうしようかと悩んだが、人は善悪両方持ち合わせているんだよ、という監督の教えなのかなと、観終えることにしたのであった。