サスペンス・コメディ『ザ・メニュー』(2022)

どんなひねりがあるのかと楽しみにしていたアニャとニコラス・ホルト出演『ザ・メニュー』。オープニングから前半は軽~いタッチの分かりやすいアガサ・クリスティー短編風。でもすっきりと終わったような終わってないようなラストには今風サスペンスの味付け。全体的な感想は“アニャ可愛い”、ニコラスお〇カ

■ ザ・メニュー  – The Menu – ■

The-Menu-2022

2022年/アメリカ/107分
監督:マーク・マイロッド
脚本:セス・リース他
製作:アダム・マッケイ他
製作総指揮:マイケル・スレッド他
撮影:ピーター・デミング
音楽:コリン・ステットソン

出演:
レイフ・ファインズ(ジュリアン・スローヴィク)
アニャ・テイラー=ジョイ(マーゴ)
ニコラス・ホルト(タイラー)
ホン・チャウ(エルサ)
ジャネット・マクティア(リリアン・ブルーム)
ジュディス・ライト(アン)
ジョン・レグイザモ(映画スター)
リード・バーニー(リチャード)
ポール・アデルスタイン(テッド)
エイミー・カレロ(フェリシティー)
アルトゥーロ・カストロ(ソレン)
ロブ・ヤン(ブライス)
マーク・セント・シア(デイブ)

■解説:
孤島にある高級レストランに隠された秘密が明らかになっていく様を描いたサスペンス。HBOのドラマシリーズ「メディア王 華麗なる一族」で注目されたマーク・マイロッド監督がメガホンをとり、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「ドント・ルック・アップ」のアダム・マッケイがプロデューサーを務めた。

映画.com


Contents

あらすじ

孤島ホーソンにあるなかなか予約の取れない超高級レストランに集まって来た男女12人。予約が取れたことに人生のステイタスを感じるような人々が鼻高々に店に入っていく。有名シェフのスローヴィクが案内する中、フルコースのメニューが一品ずつ客のテーブルに届けられる。だがメインの料理の頃にはシェフの説明に危険な話が盛り込まれ始め、孤立したレストランの中に不穏な空気が流れ始める ─

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感想

孤島のレストランに集められたのではなく、自らいそいそと自身のプライドを高め、それを見せつけるためにやって来た11人の男女(12人目の登場人物もいるんだけど、この人がこの物語のカギになっている)。このくだりがアガサ・クリスティー作品みたいで、サスペンスとともに一人ずつ殺されていくのだろうか?でも待てよ、タイトルは『ザ・メニュー』。ありがちに共食いさせられるのか(-ω-)/などと考えながら観始めた。

上のあらすじにはメイン料理の頃に不穏な空気がって書いたけど、実際はメイン料理の前にシェフによる意表を突く演出が盛り込まれていて(‘ω’)、その演出でこの映画がどんな方向に向かっていくのかがよく分かり、ある意味安心して観ていける。

でも物語的にはサスペンスなだけにどこにも安心素材は無い。客の中心人物である若い二人(アニャとニコラス・ホルト)の関係性でさえ、え?恋人同士?違うの?ってくらいの嚙み合わなさ。ホルト演じるタイガーはその噛み合ってないことにも気が付かず、自分の気分の高揚のみを追い求めている。それは他のグループにも言える。どのカップル、グループも各々自己中心的で人の話なんか聞いちゃいない。シェフが話し始める前にパンッ!って大きく手を打ちたくなるのもわかるね。

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1人前のお代が1250ドルもするコースメニューが進んで行く。途中で何が起きてもシェフは最後まで出し切る気らしい。全てはシェフの計画通り、全てが進行していくメニューの素材になってる。そこに一人、予定にはなかったいてはいけない人物が紛れていたからシェフは困ったんだね。用意周到に考えあげられたメニューに欠けと異物が盛り込まれてしまったから。

この辺りのアニャによる異物描写がとても上手くて、周囲の金持ち然とした客たちとも堂々とうまく溶け合ってる。それは大事なことは何もわかってないお〇カなタイラーも同じで、若い二人がそこにいてもあまりおかしな感じがしないのは、逆に周囲の登場人物たちのおかげなのかな~。どの登場人物に対しても詳しい説明は無いものの、大体こんな立ち位置の人ってことは分かるくらいには説明されていて、一言で言い表すとすれば、どいつも人でなしってこと。異物のアニャの素性だけが分からないままで、可愛らしいミステリーが最後まで隠されている。

シェフのやりたかったことはラストまで観ると分かるんだけど、動機が分かりにくい。でもそれはきっと12人目のお客様がキーなんだろうな。シェフのキーパーソンに対する「この夜のための特別な罪の贖いフルコース」。なんなら自分が知りえた罪も一緒に持っていくぜ的な、壮大な贖い劇が本作『ザ・メニュー』なのかと。

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でも一つ分からないのは、どうしてそこにスタッフまでも巻き込んだのか。巻き込む必要があったのか?もしあったのだとすれば、料理を作ることに対する気持ちに純粋さが足りなかったのか、有名になりたいという気持ちに含まれている邪念のせいなのか、そもそも既にそれが罪なのか。彼らを巻き込むことそのものに“罪”としての罪を付け加えたのか ─
どうだろう?

アニャと言えば『マッドマックス』

ところでアニャ・テイラー=ジョイとニコラス・ホルトと言えば『マッドマックス』。少し前に撮影は終わったという報があったけど、公開はいつかな~ 待ち遠しいよー(ニコラス・ホルトは出てないけど)

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