『プレデター  ザ・プレイ』(2022)~コマンチ族少女戦士vs宇宙最強の捕食者

1987年シュワルツェネッガー版『プレデター』の原点に戻った、原野での1対1の戦いを描く本作『プレデター  ザ・プレイ』。今回のヒーローは女性差別を受け付けず、一度決めたら決して諦めない少女戦士ナル。タイトルのプレイ(Prey)とは“獲物”の意味。ディズニープラスで2022年8月5日配信開始

■ プレデター ザ・プレイ  – Prey – ■

Prey-2022

2022年/アメリカ/100分
監督:ダン・トラクテンバーグ
脚本:パトリック・アイソン
製作:マーティ・ユーイング
製作総指揮:ローレンス・ゴードン他

出演:
アンバー・ミッドサンダー(ナル)
ダコタ・ビーバーズ(タアベ)
デイン・ディリエグロ(プレデター)

■解説:
1987年公開の第1作を皮切りに、クロスオーバー作品も含めてこれまで6作品が製作されてきたSFアクション「プレデター」シリーズに連なる一作。300年前のアメリカを舞台に、ネイティブアメリカン最強の部族に生まれ育ち、自身も戦士である女性ナルが、宇宙から飛来した高度な科学技術を有する危険な戦士プレデターを相手に、壮絶な戦いを繰り広げる。

映画.com


今回の『プレデター』は300年前のアメリカが舞台。ちょうどネイティブアメリカンがヨーロッパからの侵略を受け始めている時代で、その上さらに宇宙船から降り立った一人の凶悪エイリアンまでもが彼らを攻撃する。このプレデター(捕食者)にはネイティブ、スペイン人の区別は無いが…

Prey-2022

最強の部族コマンチ族の若き戦士たちが日々、鍛錬している美しい北アメリカに、突如現れた一機のUFO。その船から一人のエイリアンが地上に降り立つ。彼は何も言わないが私には聞こえた。

ど~れ、今回はここで腕を磨こうか。え?一人で?そうだよ、仲間なんて必要ない。孤高の戦士たる自分が一人でこの辺りの生物を根絶やしにしてやる。自分にはそれだけの力があり、ここでの行動はただの力試しにすぎない。
私は狩るために生きている

今回、森の様子がいつもと違うことに気づき、光学迷彩で姿を消しているプレデターの存在をいち早く知り、戦いを挑んだのはうら若き少女ナル。彼女はコマンチ族の兄や青年たちと同じように日々鍛錬を欠かさず、母譲りの薬草の知識をも持ち、一番の相棒である犬のサリイまで従えている。持ち前の観察力、洞察力、行動力、決して諦めない自分を信じる力。これらが彼女を後押しし、見たこともない凶悪な敵に挑んでいく。

Prey-2022

でも決して無理はしないんだな。
何度も危険な目にあって、そのたびに慎重になるものの、けれどここはという時に繰り出す攻撃力にはマックスの力を降り注ぐ。その戦い方は1987年のダッチ少佐(シュワルツェネッガー)を彷彿とさせる。ダッチ少佐はプレデターの弱点(赤外線を通してしか物を見ることができない)を知り、泥に覆われた身体で息を潜め、タイミングを見計らい攻撃したものだ。

その300年前に生きるナルも敵の弱点を知り、自分の身体の体温を下げる術を使う(今回は泥ではない。泥と思わせといてからの他の物質を使用)。最高の戦士は最強の武器を持ち操る者ではない。いつだって相手の弱点に合わせてその場にあるものを使って工夫して戦う。決して最後まで諦めない者こそが一人最後に立っていることができる勝者なのだ。

『プレデター』だから大体の話の筋は決まっているようなもの。それを2022年にどのように目新しく見せていくかが本作のキモだ。男女差の無いように少女を主人公にしてプレデターと戦わせ、ありがちな内容のみにせずにどうやって最後まで観客の集中力を持たせるか。

従順な相棒サリイの力も手伝って、きっと本作は成功している。最後まで一気に観ることができた新たな『プレデター』の物語の出発に。
ただ一つ、作品内で使われるほとんどの言語が英語だったことが残念だったよ…

Prey-2022

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Contents