『マリグナント 狂暴な悪夢』 (2021) ~ 新ヴィラン誕生か

公開初日に劇場で鑑賞したホラー映画『マリグナント 狂暴な悪夢』。今までホラーを劇場で観る!がなかなか実行できていなかったけれど、本作はジェームズ・ワン監督らしく謎を解いていくホラーな見どころが最後まで怒涛のように続くから、大きな画面で集中できて見応えがありました。お客は二人だったけど(‘ω’)

マリグナント 狂暴な悪夢

■ マリグナント 狂暴な悪夢  – Malignant – ■
2021年/アメリカ/111分
監督:ジェームズ・ワン
脚本:アケラ・クーパー
原案:ジェームズ・ワン他
製作:ジェームズ・ワン他
撮影:マイケル・バージェス
音楽:ジョセフ・ビシャラ

出演:
アナベル・ウォーリス(マディソン)
マディー・ハッソン(シドニー)
ジェイク・アベル(デレク)
ジョージ・ヤング(ショー刑事)
マイコール・ブリアナ・ホワイト(モス刑事)
ジャクリーン・マッケンジー(ウィバー博士)
マッケナ・グレイス(マディソン子供時代)

■解説:
「死霊館」ユニバースを生み出し、「ソウ」や「インシディアス」シリーズなど数々のホラーを手がけながら、「ワイルド・スピード SKY MISSION」「アクアマン」などアクション超大作も大ヒットさせているジェームズ・ワン監督が、オリジナルストーリーで描くホラー。

映画.com


途中あまりあれこれ考えないで、怒涛の展開に身をゆだねたまま観ていくのが正解な本作『マリグナント 狂暴な悪夢』。ネタバレせずに最後まで書ききれるか分からいけど、始めてみよっと…(-.-)
ネタバレ出る時はちゃんと注意喚起しますね(‘ω’)ノ

Contents

あらすじと感想

夫婦二人暮らしのマディソンは妊娠中。今まで何度も流産の経験があり、今度こそは我が子と対面を、と切望している。だというのに、今日も夫のデレクはちょっとした言い争いからカッとなり、マディソンの頭を壁に叩きつけた。倒れこむマディソン。後頭部からは出血していた。
そのままその日はベッドで横になり、翌日目が覚めて夫がいないことに気が付いた彼女は階下へ。そこで無惨な姿に変わり果てた夫の遺体を発見する。そして彼女自身も侵入したままの暴漢に襲われ、失神してしまう。

気が付くとそこは病院。妹がベッドわきで心配そうにこちらを見ていた。夫が殺されたうえ、またもや流産してしまったマディソンは失意の中、自宅に戻る。引っ越した方がいいのでは?しばらくうちに来る?と妹シドニーは声をかけるが、マディソンは自宅まで失いたくないと、一人寂しく家に入っていくのであった。

マリグナント 狂暴な悪夢

そしてその頃から、大きな家に何かの物音が聞こえるようになる。そのせいか寝覚めの悪い夢を見るようになったマディソン。その夢は徐々に悪夢となり、記憶に残るように。その悪夢とは、目の前で繰り広げられる殺人事件。それもありったけの憎悪と力を振り絞って行われる、惨殺の現場であった ─

家でのんびりベッドでテレビを見る夫のデレク。身重の身でバタバタと仕事から戻るマディソン。彼女の制服から看護師さんかな?って思ったんだけど説明はなかった(ように思う)。その後すぐに夫の暴力により後頭部にケガを負い出血した彼女は、頭にやった手が血濡れになってるのを見ておののくんだけど、病院にも行かず、手当てをするでもない。看護師さんなのにな?って不審に思ってしまったが、実はこれが伏線の一つになっていく。

これからマディソンは恐ろしい悪夢に苛まれるようになっていくのだが、この彼女を心配し世話を焼いてくれる妹シドニー。二人はとても仲が良く、お互いを助け合っているが、実はマディソンは養子だ。養子になる前の8歳までの記憶がないとマディソンは妹に説明した。養子になってからのマディソンは、愛情深い養父母と産まれた妹に囲まれて幸せに暮らしていた。・・はずだった・・・

アメリカのホラーを観ていると、時々出てくるイマジナリーフレンドの存在。イマジナリーフレンドとは「想像上の友だち」のこと。10歳ころまでの子どもにみられることのある現象で、やがて消えていくというのが普通だ。
が、時にこれがずっと消えずに残り、悪さをしだすとホラー映画の登場となる。古くは『シャイニング』(1980)、最近なら『ダニエル』(2019)。こうなってくると、もうそれはフレンドみたいなものじゃなく、そのものずばり“悪霊”となる。本作のマディソンも子どもの頃にソレのことを“悪魔”と指摘している。

子どもの頃、マディソンにはイマジナリーフレンドがいた。だがあまりの悪行にマディソンはそれを悪魔と感じる。マディソンの悪魔は“ガブリエル”と呼ばれていた。マディソンは養子になるまで、そのガブリエルにひどく苦しめられていた。最初は友だちのような話し相手だったのに次第に彼女を支配するようになり、決して子どもの悪戯では済まないほどのことをやらせる。だがそれは、養子になった後も続いていた。養父母は環境の変化や、下に妹が生まれることへの不安などから起きているんだろうと、より愛情深く彼女に接し育てていった。決して彼女を見捨てはしなかった。

子供の頃の記憶がなくなり、すっかり忘れていたマディソン。しかし大人になった彼女は本当の血のつながりを求めて自分の子どもを持つことを切望していた。だが、それも果たせず、精神的にどんどんと不安定になっていく。それと同時に見続けている殺人の悪夢がよりリアルに、何度も彼女を苦しめる。
そしてある日のニュースで彼女は知るのだった。その殺人が本当に起きたことを ─

マリグナント 狂暴な悪夢

あらすじが書けるのはここまでだー。そのガブリエルが夢の中で、次第にマディソンの前にまで現れるようになってくるんだけど、ガブリエルとは悪霊の類なのか、あくまでもマディソンの想像の産物なのか、、。ガブリエルの正体はきっと今まで無かった新しいものになると思う。

が、、一つ近いのがあった。あ、二つかな、知っている限り…。これを書いちゃうとネタバレになってしまうから、この記事の下の方に関連記事と一緒に置いておくことにしよう。本作未見の方はお気を付けを。


で、マディソンが夢の世界に入る時に周りの部屋や家具が溶け出すように崩れ、見知らぬ家の部屋に入れ替わっていく光景が出現する。これを見ながら思い出していたのが、これも大好きなホラー映画『サイレントヒル』(2006)。サイレンが鳴り、地獄の底から湧き出る魑魅魍魎の世界に移り変わる時に街並みや建物が溶けるように変わって行っていた。『マリグナント』とはちょっと表現が違うけど、よく似ている。どちらも好きなシーンで、これから起きる恐ろしい出来事を思ってワクワクしてくる。何度も見せてくれるんだなー、これが。

そういえば、もう一つ 『サイレントヒル』 に近い設定が、 『マリグナント』 の舞台シアトルにある地下の旧市街。それは1989年に起きた大火で焼失した部分をそのまま埋め立てて、その上に新たな街が建設された結果できたというもの。地下には空間もあり、現在、見学できる場所もある。いまだにくすぶり続ける灰の町 『サイレントヒル』 を彷彿とさせるじゃありませんか。思わず咳き込むようなお話ですよね。

マリグナント 狂暴な悪夢

本作中にもこの地下の街は登場しガブリエルが逃げ込んでいくんだけど、それをどこまでも追っていくショー刑事がひどい目に合うんじゃないかと気が気じゃなかった。だってガエル・ガルシア・ベルナルに似てるからさ(要するに、お気に入り系の役者さんってことですかね(‘ω’)

それともう一つのお気に入り。それは初っ端に出てくる、海辺?湖畔?に建つ大きな病院の映像。これがまた大好きなホラー映画『TATARI タタリ』(1999)の舞台である廃病院のイメージと重なる。 『TATARI タタリ』 の方がもっと近代的な建物だったと思うけれど、建っている場所が人里離れた、というより人を寄せ付けない場所で、病院というにはあまりに大きく、きっとどこかの部屋でとんでもない非人道的なことが行われているんだろう・・・と想像させるには十分なビジュアルを持つ建物。本作『マリグナント』の方もご多分に漏れず、マディソンが苦しんでいる現在では廃病院になっていて、あろうことか、この化け物屋敷ならぬ廃病院を夜中に突撃した勇者がいるとか、いないとか・・・(全て映画内での出来事です)。

マリグナント 狂暴な悪夢

ワン監督は「今までにないホラー」と仰っていて、確かに新しいヴィラン(悪役)の登場なのかとも思うけど、要所、要所に感じられるホラー過去作へのオマージュ的なイメージはどうしても付きまとってくるというか、大事な普遍的な世界観っていうか、重なる部分もあるってことですね。
・・・あ、、まさかガブリエル君は続く?続くのかな?もしかして・・?

このブログのジェームズ・ワン監督作品

では最後に大事に残しておいたネタバレ的関連作などのご紹介をしたいと思います。知りたくない方は、このまま右上かどこかの×をクリックしていただくか、弊ブログの他のページに速やかにお移りください。お勧めは上のワン監督作品、もしくは少し上の『サイレントヒル』です。

ネタバレと関連作

ネタバレです】
未見の方はご注意を

『マリグナント』を観て思い出したのは下二つ。特に『悪魔のシスター』はお気に入りの映画で、「シャム双生児」「切り離し手術」「シスター」などのキーワードが、恐怖と共に何か生暖かい血潮のようなものを感じさせてくる作品だ。
バスケット・ケース』の方はもう少しコミカルであるものの、 『マリグナント』 と同じように切り離され醜いからと捨てられてしまった兄の悲しみと怒りが爆発する。

それと、もう一つあった。忘れてはならない『インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜』。これは岩井志麻子さん原作の短編を映像化したもので、『マスターズ・オブ・ホラー』シリーズの中のひとつ。内容はある遊郭の醜い顔をした女郎の話だ。話に出てくる拷問シーンが痛々しく、舞台が日本で場末の遊郭であるのもあり、なかなかこちらの神経にクル作品となっている(キングみたいに原作者も出演)。これも記事にしよう、しようと思いながらまだできていない。理由はもう一度観る勇気がなかなか出ないからなんだけど…(-.-)

これら三本からも分かるガブリエルの正体。身体は一つに繋がっていたとしても二つある心。それを無理やり切り離し、どうしようもなく残った部分は一つに押し込んだことから、起きた今回の一連の事件。けれどもガブリエルの立場に立ってみれば、やはり同情の余地はある。切り離し手術の時に博士が言い放った「腫瘍」という言葉は、いたく本人を傷つけたであろう。たとえ、おそるべき力の持ち主で暴力的で性格は悪く、電気を操れる人間離れしたモノだとしても。

今回の教訓は、

人と話すときは、少しは言葉を選ぼう

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