「棲む」というのは「住む」に比べて、“生活している”というよりも“土着している、潜んでいる”的なイメージがする。本作の主人公ミーガンが訪れた別荘のある湖畔の森は、アメリカ南部らしく垂れ下がる柳などがうっそうとしていて確かに何かが潜んでいるようだ。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の監督の一人ダニエル・マイリックがこんな場所でホラーを撮った。英題タイトル直訳は「至」。冬至と併せて夏至は死者と話すのには最適な日ということだそうです。
■死霊の棲む森 – Solstice -■
2008年/アメリカ/91分
監督:ダニエル・マイリック、ダン・マイリック
脚本:ダン・マイリック 他
製作:ジェームズ・D・スターン
製作総指揮:ダグラス・ハンセン 他
撮影:M・デヴィッド・ミューレン
音楽:ジェーン・アントニア・コーニッシュ
出演:
エリザベス・ハーノイス(ミーガン)
ショーン・アシュモア(クリスチャン)
ヒラリー・バートン(アリシア)
アマンダ・セイフライド(ゾーイ)
タイラー・ホークリン(ニック)
マット・オリアリー(マーク)
R・リー・アーメイ(レナード)
■解説:
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ダニエル・マイリック監督が構想に10年を費やした本格オカルトホラー。 TSUTAYA DISCAS
■あらすじ:
半年前に双子の妹ソフィーを亡くしたミーガンは、友人達とともに湖畔の別荘で休暇を過ごすことに。そこで知り合った青年ニックが妹ソフィーと対話できるという降霊会を開くが、前後してミーガンの周りで奇妙なことが起き始める-
solstice :太陽が赤道から北または南に最も離れた時。冬至・夏至のこと
そこで、ふと一つのキーホルダーを見つけた彼女。小さなマスコットの付いたその鍵はどこにも合わなくて、片付けた荷物の箱に放り込んだミーガン。しかし、そのキーホルダーはその後、何度捨ててもミーガンの目の前に現れることになる。
半年前に双子の妹ソフィーを亡くした傷心のミーガンは、気分転換に友人達男女5人で湖畔に建つ別荘を訪れる。その別荘はミーガン家のもので、部屋にはソフィーの思い出の品々が一杯..。よけいに落ち込む自分を友人達に気遣われ、こんなことでは、と奮起して部屋を片付け始める。
着いたその夜から、ミーガンの周りで奇妙なことが起きるようになった。
勝手にライトが点灯する車、ミラーに映る何者かの影、ひねった蛇口から出る泥まみれの黒い水、爪の剥がれた泥だらけの手の幻影、森の中の人影、そして捨てても捨ててもあらゆる所で見つかる謎のキーホルダー・・。
別荘近くの古ぼけたコンビニでバイトするニックと出会ったミーガンは、彼が降霊術を遣えると知り別荘の夕食会に招く。奇妙な出来事は死んだソフィーが何かを訴えていると思ったのだった。
降霊会で何かを訴えようとする少女の幻影を見たミーガンは、ソフィーが何を訴えたいのか分からず苦しむが、別荘を取り巻く森に何かがあると確信し、湖の反対側に住む奇妙な老人の家に忍び込み、過去を探ることにする。そしてそこで半年前に失踪した老人の孫の存在を知る-
半年前に自殺した妹ソフィーと少女の失踪。
少し微妙な友人達との関係、見るからに怪しい対岸の老人、いきなり現れた降霊術を遣える青年、消えては現れる何かの影。特に対岸の老人レナードは『テキサス・チェーンソー』シリーズのR・リー・アーメイが出で立ちもそのままに演じており、怪しさ怖さが半端ない
蛇口の黒い水や泥だらけの手、落ちれば上がってこられない沼などホラーな味付けも一杯あるが、残念かな、時折現れる謎の人影が前回の記事『ホーンテッド』同様、怖くなかった..。見える見えない関わらず、やっぱり大事なラスボスの恐怖度が大事なのを実感。
最後にキュートなアマンダ・セイフライドと『フレイルティー/妄執』子供時代のフェントン役マット・オリアリーが友人として出演しているのを書いておこう。
ダニエル・マイリック
監督の一人
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』監督の一人。■主な監督作
・ブレア・ウィッチ・プロジェクト (1999)
・ブレア・ウィッチの呪い (1999/TV)
・ビリーバーズ (2007/OV)
・死霊の棲む森 (2008/OV)
・オブジェクティブ (2008)
・ザ・プレゼンス (2010/製作総指揮)