『アリス・スウィート・アリス』 (1976) - Alice Sweet Alice

「アリス」に惹かれてやってきました、、こうやってアリス系作品を何本観たことか…。本作に関していうと「アリス味(み)」は少なく、普通にヒッチコック風のサスペンス。スラッシャー映画の隠れた名作とも言われ、マスターフィルムが失われていたことから幻の作品とも。

■ アリス・スウィート・アリス - Alice Sweet Alice – ■
1976年/アメリカ/107分
監督:アルフレッド・ソウル
脚本:アルフレッド・ソウル他
製作:リチャード・K・ローゼンバーグ
撮影:ジョン・フライバーグ チャック・ホール
音楽:スティーブン・ローレンス
出演:
リンダ・ミラー(キャサリン・スペイジス)
ポーラ・シェパード(アリス・スペイジス)
ナイルズ・マクマスター(ドミニク・スペイジス)
ブルック・シールズ(カレン・スペイジス)
ジェーン・ロウリー(アニー・デロレンツェ)
ゲイリー・アレン(ジム・デロレンツェ)
キャシー・リッチ(アンジェラ・デロレンツェ)
ルドルフ・ウィルリック(トム神父)
パトリック・ゴーマン(パット神父)
ミルドレッド・クリントン(トレドーニ夫人)
アルフォンソ・デノーブル(アルフォンソ)
マイケル・ハードスターク(スピナ刑事)
トム・シニョレッリ(ブレナン刑事)

■解説:
建築家から映画監督に転向したという異色の経歴を持つアルフレッド・ソウルが手がけ、1970年代スラッシャー映画の隠れた名作とも言われる一作。事件の発端となる最初の犠牲者を少女時代のブルック・シールズが演じており、彼女のデビュー作としても知られる。
1976年に製作され、当時日本で劇場未公開。その後、マスター等の紛失により長らく幻の作品となっていたが、2019年にオリジナルネガが発見され、2Kスキャンでデジタル修復された。それにより、2020年8月に日本でも初の劇場公開が実現。
■あらすじ:
教会で聖餐式のさなかに1人の少女が殺され、12歳の姉アリスに疑惑の目が向けられる。そして、その疑いが晴れないまま、次々と殺傷事件が起き -

映画.com

両親の離婚で小さなアパートに母、妹と暮らす12歳のアリス。多感な年頃に両親の離婚が重なり、やり場のない怒りが彼女の毎日の言動に棘となって現れる。特に皆に可愛がられている妹に対しては、いじめとも取れるような意地悪をしてしまう。その都度、母やおせっかいな叔母に小言を言われ、よけいに家族から浮き、孤立していくアリス。

ある日、妹カレンの聖餐式が教会で執り行われることに。妹に用意された白いドレスやベールにまで嫉妬するアリス。自分も少し前に用意してもらって聖餐式に出ただろうに…。妹の何もかもが気に入らない彼女は、式の当日、落ちていた白いベールを隠し持った。妹を困らせたかったのか、ただただ欲しかっただけなのか、、。
厳かに式は始まったが、用意が終わっているはずのカレンが登場しない。心配した叔母が裏方に見に行き騒ぎを聞きつける。大きく聞こえたその悲鳴は、まだ幼いカレンの遺体が見つかったことによるものだった -

日頃から妹をいじめ、学校でも問題ばかり起こし、とんでもない娘とされているアリス。警察の捜査は、まっすく彼女に向かう。そうこうしている内に、叔母アニーまでもが黄色のコートを着た少女らしき者に襲われ、犯人はアリスと証言したことから、アリスは重要参考人として警察で噓発見器にかけられる。その結果は、「両親に対する敵意の抑圧あり」「統合失調症の所見あり」等々、彼女を精神科病院に入院させるには十分な内容だった。


ここまで、教会で配られた黄色のコートを着た少女たちが多く登場する。犯人も犯行時に着ているのだが、このエナメルのような原色のレインコートがある作品を思い出させる。

この『赤い影』ではタイトル通り、赤いレインコートが要所要所で使われている。幼い娘が着ていた赤いレインコート。その姿で亡くなった愛する娘。傷心の滞在先で度々見かける赤いレインコートを着た少女。夢の中に浮かぶような赤いレインコートを追う父親。並行して起きる連続殺人。夢と現実が交錯する一風変わったサスペンスに仕上がっている。
対して本作『アリス・スウィート・アリス』は、悪い少女物と見せかけて、実はヒッチコック風の殺人鬼もの。タイトルに「アリス」と入れ、さぞかし少女に翻弄させられる大人を描きたかったのかもしれないが、ぃゃ、悪い少女物は、これも「アリス」と同様、いろいろ観てきた私としてはちょっとというか、かなり物足りない。

「悪い少女」たち

ちょい悪からめちゃ悪、実話まで、よりどりみどりの悪い女の子たち。これらに比べればアリスはただの反抗期やん!って観ていたんだけどね。
ひねくれたことを考えているから外見にそのまま出ていて、建物の地下に大事な宝箱を置いて、その中に妙なものを大事そうにしまっておくなんて女の子にはありがちだよね。その一つ、大きなアメリカのゴ〇〇リで悪戯するくらいも、どうってことないよね(もっとひどくて口に入れるのかと想像して見てた。よかった……)。

その彼女よりもヒステリックな話し方の叔母や、素行の悪い巨体大家のほうがよっぽどイライラしてくる。離婚した両親もちょっとアレはいかんのでは?子供のことを理解しようともしない大人のほうに罪があるように思えるがいかがでしょうか。

などと考えている内に、映画も終盤。黄色いコートが血で赤く染まる頃、犯人もわかってエンディングを待つばかりの時、「ん?なんだこの笑みは。もしかして、あんた、悪魔?」みたいなことをこちらに思わせるアリス。
あら、いやだ。何かこの少女に最後の最後で突き落とされたような気分になったのは私だけじゃないはず。ぃゃ、もう忘れて美少女ブルック・シールズを記憶にとどめて、この作品を観終えることにしようっと

 

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