熱く夢を追い求めていたあの頃。それから何年も経ち、平凡に埋没した男と形を変えて青春を続けている男が久し振りに再会する。互いの理想と現実が合わせ鏡のように対峙した時、爆発する本音。キャッチコピーの『激突!』『ヒッチャー』『ブレーキダウン』はちと違うと思うけど、ありきたりの中盤に負けない面白いラストが待っていた。主演は意外なことに『トランスフォーマー』の男前レノックス大尉。
■デッド/エンド - Scenic Route -■
2013年/カナダ/86分
監督:ケヴィン・ゴーツ、マイケル・ゴーツ
脚本:カイル・キレン
製作:ブライオン・ハンベル 他
製作総指揮:ジョシュ・デュアメル 他
撮影:ショーン・オディー
音楽:マイケル・アイジンガー
出演:
ジョシュ・デュアメル(ミッチェル)
ダン・フォグラー(カーター)
ピーター・マイケル・ゴーツ
クリスティ・バーソン
ミラクル・ローリー
■解説:
Oricon
『激突!』『ヒッチャー』『ブレーキダウン』に続く、戦慄のロード・スリラー。
■あらすじ:
学生時代の親友2人が旅に出る。2人はミュージシャンを目指していたが、いつの間にか違う道を歩んでおり疎遠になっていた。そんな2人が久し振りに再会し、アメリカの広大な砂漠で車を走らせていたが、途中で車が故障、立ち往生してしまい ―
疎遠になっていた学生時代の親友カーターに誘われ2人旅に出たミッチェル。
2人は若い頃、ミュージシャンを目指していたが途中で挫折、ミッチェルはサラリーマンになり結婚して子持ち家持ち、カーターは売れないライターで住むところも無い車暮らし。あれほど夢を熱く追い求めていた2人はいつの間にか疎遠になっていたが、久し振りにカーターからミッチェルに連絡が入ったのだった。
形を変えて成功することを夢見るカーター。若い頃の熱い思いが今も燻り続けている、家も無く金も無いその日暮らし。反対に夢を諦めて就職し、結婚。子供も出来て家を持ち、絵に描いたような生活を手に入れたミッチェル。あれほど大事にしていたギターを処分し、嫁の尻に敷かれているような彼をカーターは歯がゆい思いで見ていた。反対にいつまでもフラフラして無責任な毎日を送っているかつての親友にミッチェルはいらついていた。
そんな2人が疎遠になっていたのも無理はないが、何故今回カーターはミッチェルを誘ったのかというと、昔のように色々なことを話したかったのだ。もしかしたらカーターは今の自分に疑問を持ち、自信が無くなり始めていたのかもしれない。そんな自分をミッチェルが励まし応援し、昔の熱い思いを語り合いたかったのかもしれない。
もう彼らは30歳を超えていたのだ。
だというのに、ミッチェルは助手席でいびきをかいている。
そこでカーターは車を路肩に停めた。小さな町から100キロ以上も離れた砂漠の真ん中で。
車が故障したと言い、ゆっくりミッチェルと語り合いたかったカーターの嘘はすぐにバレる。その上、車は本当に故障。40度を超える車もほとんど通らない砂漠の真ん中で、自分を責めるミッチェルへの怒りが爆発する。友人と音楽と家族を見捨てて、つまらない毎日を送っているのが人生か?
ミッチェルも負けてはいない。いい加減で無責任なカーターに対するミッチェルの怒りが爆発する。車暮らしの売れない物書きをいつまで続けているつもりなんだ?
この後、取っ組み合いになった2人。だが勢い余って、非常事態が起きる ―
割とありふれた感じでここまで進む。
昔のわだかまりを持ったままでいた2人が再会して反目する。事故が起きて一体どうなるんだろう?と思わせるが、この後もありがちではあった。レノックス大尉もすごく頑張っていたと思う。けれども、あまり目新しいものがなくて少し退屈に。
でもこのお話はここでは終わらなかった。この後、大きく展開するが、そこでも終わらなかった。意外なことにラストがとてもよくて、感動さえしてしまった。
話はこうだ。
本作の兄弟監督がハリウッド版リメイク『マーターズ』を監督しているんですね!楽しみに待つとしましょう。
『マーターズ』(2008)〜「8mm」を凌駕するラストが待っている
これでもかと言うほどのスプラッター描写と、ただのホラーに止まらないオチと後味の悪さが(一部の人に)オススメできる点である。かもしれない・・・
『マーターズ』(2015/アメリカ) - Martyrs (リメイク版)
本家フランス版の感想を書いた時には、簡単に人にはオススメできない、と冒頭に注釈を入れたものだが、こちらアメリカはハリウッド様リメイク版はどうかというと、まぁ、スプラッターの練習がてら観てみたら?てな感じ。
【 ここからはネタバレに】
無事に自宅に戻ることが出来たミッチェル。彼はカーターを自宅に住まわせることにした。ミッチェルの妻とも打ち解け、執筆もうまく進み、以前と違う大人の男性になったように見えるカーター。ミッチェル自身も妻への愛を再確認した。
2人はそれなりに夢の生活を手に入れたかに見えた。だが、最後のあの電話は?そしてミッチェルは全てを悟る。一筋の涙を流しながら彼の脳裏によぎる記憶は、砂漠のうち捨てられた小さな町で横たわる自分たちの姿だった。自分たちは助からなかったのだ。こんなに全てうまく事が運ぶはずが無い。もしかしたらカーターはあのまま死んでいたのかもしれない。
自分は掴みきれなかった夢をモヒカン頭にこめて、そのまま砂漠で死んだのだ。きっと誰にも見つからない。自分の夢と同じように、自分自身も儚く消えてしまうのだ。
だから涙が出た。今のこの幸せはただの幻影でしかないから。今まさにこの時、死への扉を開いているのかもしれないのだ。
カーターの死は、自分の夢の死でもあった。カーターはもう一人の自分であったのだ。
・・・ カーターは実在したのだろうか?
コメント
コメント一覧 (3件)
口論長かったです。
分かるんですが、退屈になりました。仲直りするのは親友だし、あるんだろーなーとは思いましたが..
結末は邦題通りでしたが、主人公の涙を見て退屈だったのは全て許そう、という気分になりました。
単にジョシュ・デュアメルが好きなだけかもしれませんが^^;
私はこれダメでした。
口論は長いし、挙げ句には殴り合いの喧嘩し出すし、かと思えば仲直りしているしで、展開に苛々しちゃいました。
最後は良い形で終わるのかと思いきや、邦題通りな結末でしたね。
デッド/エンド
SCENIC ROUTE
2013年
カナダ
86分
サスペンス/アクション/ドラマ
劇場未公開
監督:
ケヴィン・ゴーツ
マイケル・ゴーツ
出演:
ジョシュ・デュアメル:ミッチェル
ダン・フォグラー:カーター
<ストーリー>
車でふたり旅に出掛けた元ミュージシャンのミ…