痛快娯楽タランティーノ・ウェスタン!映画館に行けなかったのでレンタルをとても楽しみに待っていた本作。この監督だから長いんだろーなーと思いつつ遅い時間から観始めたけれど、途中でやめられなくなって165分があっという間。普通ならザクザクと切り落とされる監督らしい長々とした会話を堪能しました。楽しかったー。勧善懲悪万歳!!
■ジャンゴ 繋がれざる者 – Django Unchained -■
2012年/アメリカ/165分
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:レジナルド・ハドリン 他
制作総指揮:シャノン・マッキントッシュ 他
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:
ジェイミー・フォックス(ジャンゴ)
クリストフ・ヴァルツ(Dr.キング・シュルツ)
レオナルド・ディカプリオ(ムッシュ・キャンディ)
サミュエル・L・ジャクソン(執事スティーブン)
ケリー・ワシントン(ブルームヒルダ)
ドン・ジョンソン(ビッグ・ダディ)
ウォルトン・ゴギンズ(ビリー・クラッシュ)
ローラ・カユーテ(ララ)
フランコ・ネロ(アメリゴ・バセッピィ)
ジョナ・ヒル(ランディ)
■解説:
「キル・ビル」「イングロリアス・バスターズ」のクエンティン・タランティーノ監督が、南北戦争直前の黒人奴隷制を真正面から取り上げつつ、マカロニウエスタンへの愛を爆発させた痛快バイオレンス・アクション。■あらすじ:
南北戦争勃発2年前のアメリカ南部。賞金稼ぎのドイツ人歯科医キング・シュルツは、お尋ね者三兄弟の顔を知る黒人奴隷ジャンゴを見つけると、彼の鎖を解き放ち、三兄弟の追跡に繰り出す。その後、ジャンゴの腕を見込んだシュルツは、彼を賞金稼ぎの相棒にして2人で旅を続けることに。しかし、そんなジャンゴが真に目指す先は、奴隷市場で生き別れた最愛の妻ブルームヒルダのもと。やがて、彼女が極悪非道な農園領主カルビン・キャンディに売り飛ばされたことを突き止めたジャンゴとシュルツ。2人はキャンディに近づくため、ある周到な作戦を準備するのだが- (allcinema)
西部劇って観始めるとやめられなくなる。ストーリーは単純で「いい者」と「悪者」と「困っている人」がいて最後に悪者がやっつけられる勧善懲悪劇。主人公に悩みがあったりする場合でも、ウェスタン・ハットを目深に被った苦み走る横顔の頬が少しピクリと動くだけで、ごちゃごちゃ説明、台詞は無い。
本作も基本はこれだが、プラス黒人の奴隷問題とタランティーノらしい長々台詞が盛り込まれる。とは言え、ジャンゴは寡黙だけれど。西部劇の時代と奴隷制度の時代は被るが、ウェスタン作品では、ほとんど奴隷については語られていないそうだ。それをフィクション、ノンフィクション織り交ぜて真っ向から描いたタランティーノ。問題視する声も一部あったそうだが、ここでは単純にタランティーノと西部劇を楽しみたいと思う。
奴隷商人に連れられテキサスを移動していたジャンゴ。前の主人に嫌われ妻とはバラバラに売られてしまったのだ。そこへどこからともなく現れた歯医者のドクターシュルツ。ジャンゴの持つ情報を手に入れるため、ジャンゴを力尽くで買い取り自由の身とする。
このドクターシュルツはドイツ人医師であるが、ここ数年は賞金稼ぎとして生きている。一見、人良さそうな紳士に見えるが、悪者には情け容赦の無い賞金稼ぎだ。賞金をもらうのに対象の生死は関係ないから、最初から殺すのを前提にアウトロー達を追い詰める。口がうまく、前もって準備も怠らないので、これと決めたアウトローは必ず仕留める知恵と勇気と腕がある。
演じたのはクリストフ・ヴァルツ
オーストリア出身の俳優。現在はイギリス・ロンドン在住。
ウィーンのマックス・ラインハルト演劇学校とニューヨークのリー・ストラスバーグ演劇研究所で演技を学んだ。
2009年、『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ監督)のハンス・ランダ役で第62回カンヌ国際映画祭男優賞、第82回アカデミー賞助演男優賞を受賞した。タランティーノ作品でアカデミー賞を受賞した俳優は彼だけである(2013年現在)。クリストフについて、タランティーノは「ランダ役は今まで生み出した中で最高のキャラクターの一人だったから、クリストフと同等の俳優がいなければ『イングロリアス・バスターズ』は作れなかったよ」と言わしめた。
本作で二度目のアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
■主な出演作
・トルスタンとイゾルデ(1982)
・私が愛したギャングスター(2000)
・TEN(テン)(2008)
・イングロリアス・バスターズ(2009)
・グリーン・ホーネット(2011)
・恋人たちのパレード(2011)
・おとなのけんか(2011)
・三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船(2011)
・ジャンゴ 繋がれざる者(2012)
(Wiki:クリストフ・ヴァルツ)
『イングロリアス・バスターズ』で冒頭の山小屋のシーンから最後の額を切られるまで、達者な台詞回しと、滑稽さを醸し出しつつも尊大な態度のナチス将校さに、素晴らしい役者を発見した喜びを感じた人も多いはず。でもこの人、何度見てもティム・ロスに似てる。タランティーノ監督作にはよく出ていたのに、最近は出ないな..。
今回のドクターシュルツは優しさと厳しさと冷徹さを併せ持ち、同時に人に偉そうにするヤツが大嫌いという奴隷制度反対論者だ。今回も口達者ですよー。
シュルツと出会ったことにより、持ち前の知恵と勇気をもって、奴隷だった身からどんどん腕の立つ賞金稼ぎになっていく男ジャンゴ。しかし彼の最後の望みは、奴隷市場で生き別れになった妻ブルームヒルダを捜しだし、助け出すことだった。
演じたのはジェイミー・フォックス
アメリカ合衆国テキサス州出身の俳優・ミュージシャン。
祖父母に育てられ、3歳からはピアノを習い始めた。高校時代にはアメリカンフットボールのクォーターバックとして活躍。大学では音楽を専攻し、ジュリアード音楽院でピアノも学んだが、卒業後はコメディアンとしての道を歩み始めた。
1996年から2001年までテレビでシチュエーション・コメディ『ザ・ジェイミー・フォックス・ショー』に出演、広く人気を博した。
2004年、レイ・チャールズの伝記映画『Ray/レイ』でレイを演じきり、アカデミー主演男優賞を受賞した。アフリカ系アメリカ人俳優としては史上3人目の受賞である。このとき、『コラテラル』での演技に対しても助演男優賞にもノミネートされていた。
■主な出演作
・トイズ(1992)
・好きと言えなくて(1996)
・エニイ・ギブン・サンデー(1999)
・ワイルド・チェイス(2000)
・ALI アリ(2001)
・シェイド(2003)
・コラテラル(2004)、・Ray/レイ(2004)
・ステルス(2005)
・ジャーヘッド(2006)、・マイアミ・バイス(2006)、・ドリームガールズ(2006)
・キングダム/見えざる敵(2007)
・路上のソリスト(2009)、・完全なる報復(2009)
・バレンタインデー(2010)
・ブルー/初めての空へ(2011/声の出演)、・モンスター上司(2011)
・ジャンゴ 繋がれざる者(2012)
・ホワイトハウス・ダウン(2013)
・アメイジング・スパイダーマン2(2014)
(Wiki:ジェイミー・フォックス)
感情を表さない、この冷たく乾いたような目と、その下からのぞく善良さ。『コラテラル』も良かったけれど、『ジャーヘッド』の曹長役も好きだなー。
ドクターシュルツは最初の約束通り、ジャンゴの妻捜しを手伝い、ようやくある農場にいることを突き止めるが、その農場主こそ悪名高い非道の男ムッシュ・キャンディだった。
さぁ、悪者登場です!この悪者にはご多分に漏れず、目利きのきくナンバー2や手下どもがわんさといます。そこにたった2人で乗り込んだドクターシュルツとジャンゴ。無事に妻を取り戻すことが出来るのか?
・・・― 勧善懲悪万歳!
ところで
1966年のイタリアの映画でその名も『Django』というマカロニ・ウェスタン映画があって、日本では『続・荒野の用心棒』というタイトルで公開されている。これは、有名なあの棺桶をひきずったガンマンの話で、主演はフランコ・ネロ。その彼にどうしても出演して欲しかったタランティーノ。はじめはムッシュ・キャンディ役の予定にしていたが、結局、他の役に(←どの人か分かっていない管理人)
他にもドン・ジョンソンが、ある農場主役で出てくる。これが、まぁ、あなた、いつものこってり感が全く消え去って、爽やかな感じさえ醸し出している壮年役。
どうしてシュルツは賞金稼ぎになったのか、ジャンゴを見つけることが出来たのか。どうしてジャンゴは銃の扱いがうまいのか、一発で妻を見つけることが出来たのか。いーんです、こんな細かいことは(だってマカロニ・ウェスタンだし)。
遠景から急に俳優のアップにカメラがズームされる西部劇でよく見るカメラワーク、らしい音楽、そして何より西部の男達のガンさばきをとくとお楽しみ下さい。プラス、タランティーノらしいグロ描写もおまけで付いています。
ではまた
このブログの西部劇
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『3時10分、決断のとき』(2007) - 3:10 to Yuma –
人は元来、善と悪を併せ持つ。個々人で善悪の価値観があり、バランスを持っている。 小さな嘘をついたとき、そのバランスが崩れて罪悪感を持ち、善で補うことで自分を許すことが出来る。 -
『カウボーイ & エイリアン』(2011) -Cowboys & Aliens-
実はすごく楽しみにしていたこの映画。 世間での評価はあまりよろしくないみたいだけど、今の時代、珍しいほど単純明快な勧善懲悪ウェスタンとしてみれば最高の出来。 -
ヘイトフル・エイト(2015) - The Hateful Eight
監督がタランティーノさんだから、鳴り止まぬ銃声、次々吹っ飛ばされる男たち、最後に立つ者さえいない・・・みたいに終わるんだろうと思いながらも、いつものように出…
コメント
コメント一覧 (9件)
コメントありがとうございます!
映画館に私も行きたかったんですよねー。
タランティーノ爆死は何もそこまでせんでも、、と笑ってしまいました。
監督業を引退するとかいう話もあるようですが、ぜひぜひこれからも
制作し続けてほしいと思います。
ジャンゴ 繋がれざる者
JUGEMテーマ:アクション映画全般 「ジャンゴ 繋がれざる者」原題:Django Unchained監督:クエンティン・タランティーノ2012年 アメリカ映画 165分 R15+キ
これは劇場で見ましたが、とにかく時間を忘れて楽しみました。
いつ出るかな~と思っていたら、タラちゃんが最後に登場して見事な爆死を遂げましたね。
おもしろかった。
「dは発音しないんだ。」
ジェイミー・フォックスがだんだんかっこよくなっていきました。
レオ様の悪役とその上を行くサミュエル・L・ジャクソンのワルぶりが大好きです。
勧善懲悪、ダークヒーローで分かりやすい物語にタランティーノ節。気分爽快になって久しぶりにスカッとしました。
仰る通り、ジャンゴ~でテンション上がりますよね。
それにしてもキャンディ一家皆殺し。容赦ないですねー。
オープニングの ジャンゴ~~♪ でテンションあがりました
西部劇は苦手気味なのですがこれは楽しかったです
キャラ立ちもそうですが、あの袋に穴をあけた「前が見えねえ」のくだりとか、飄々としたシュルツの態度とか立ち回りが面白く、逞しく成長したジャンゴのかっこよさ、南部の黒人奴隷たちの現状なんかは実際そうだったんだろうなあと「ヘルプ~」でも思ったとおりの描写でした
なにより、タラちゃんらしい大作になりきれないB級のノリが楽しいですよね
ジャンゴ 繋がれざる者
ストーリーは概略の通り。いつもの長尺のタラちゃん映画、ただし西部劇です。西部劇ってところであんまり見る気がしなかったんですけれど、ブロガーさんの評価が割りと高いのでみる…
面白かったですねー。
久しぶりに「映画」を観た感じがしました(しばらく酷いホラーが続いていたので)。
私もタランティーノ監督は大好きです。
今回も出演されて、見事に爆発していましたね。何もそこまで、と笑ってしまいました。
仰る通り、ジャンゴ・シュルツコンビが格好良かったです。男の友情っていいなー。
最後、復讐に戻るとき、馬の鞍を外して裸馬で向かった場面にしびれました。
ジャンゴはシュルツの跡を継いで生きていくんですね。
これはかなり面白く観れました。
タランティーノ監督は私の期待を裏切らないなぁと改めて作品作りの上手さに感心させられました。
因みに私が一番好きな監督がタランティーノです。
ユーモアもあり、血飛沫まみれの銃撃戦あり、絶妙な会話劇もありとタランティーノらしさを隅々まで感じさせてくれました。
キャラクターそれぞれも味が合って良かったです。
ジャンゴとシュルツコンビがカッコ良かったですねぇ。
ジャンゴ 繋がれざる者
DJANGO UNCHAINED
2012年
アメリカ
165分
アクション/ドラマ/西部劇
R15+
劇場公開(2013/03/01)
監督:クエンティン・タランティーノ『イングロリアス・バスターズ』
脚本:クエン