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オムニバス作品だったとは。3作+@を通しての主役はあの色んなホラー映画で有名な「死者の書/ネクロノミカン」。その書物をラヴクラフト自身が読み解いていくという話の進め方。雰囲気は同じオムニバス作品の『クリープショー(1982)』みたいな感じで、不可思議、不気味で不条理な恐怖世界のお話。

■ ネクロノミカン - Necronomicon – ■

Necronomicon

1993年/アメリカ/97分
監督:クリストフ・ガンズ、金子修介、ブライアン・ユズナ
脚本:ブレント・V・フリードマン、ブライアン・ユズナ、クリストフ・ガンズ、伊藤和典
原作:H.P.ラヴクラフト
製作:サミュエル・ハディダ 他
製作総指揮:一瀬隆重
撮影:ジェリー・リヴリー 他
音楽:ジョセフ・ロドゥカ 他

出演:
ジェフリー・コムズ
ブルース・ペイン
リチャード・リンチ
ベリンダ・バウアー
マリア・フォード
デヴィッド・ワーナー
ベス・メイヤー
デニス・クリストファー
シグニー・コールマン
オッバ・ババタンデ
ミリー・パーキンス

解説:
独自の宇宙観に基づく暗黒神話体系『クトゥルー神話』を創出し、後世に多大な影響を与えた20世紀最大の怪奇幻想作家、H・P・ラヴクラフトの世界に、日・仏・米の映画人が挑んだホラー・オムニバス。ラヴクラフトが創造した書物『ネクロノミカン』を彼自身が読むという設定で、3つの物語が展開する。
(Movie Walker)  


Necronomicon_13ある寺院の図書室奥深くに禁断の書「ネクロノミカン」が隠されていると知ったラヴクラフトが、僧の目を盗んで書物を手に取りこっそり読み始めると、、、的なストーリー。
「ネクロノミカン」には禁断の呪文なんかが書かれていると思っておりましたが、ラヴクラフトが読んでしまった物には、かつて起きた不可思議な物語が記されていた、ということで、それらの再現フィルムがここから始まる。物語は3つ。
 


Contents

第1話 ザ・ドラウンド

Necronomicon

岬に建つホテルを相続したエドワードは、かつての家主、叔父ジェスロが残した手紙から、かつてここで起きた忌まわしくも悲しい惨劇を知る。それはジェスロが船の事故で亡くした妻子を蘇らせるため、死者の書「ネクロノミカン」に書かれている儀式を行った事に端を発する。妻子は確かに蘇ったのだが、それは人とは程遠い怪物であった。ジェスロは絶望のあまり身投げする。
これを読んだエドワードは、事故で車と共に海に沈んだかつての恋人を蘇らせるため、「ネクロノミカン」を見つけ、叔父と同じように儀式を執り行うが ―

Necronomicon

“海”にまつわる呪いの物語。愛する人を儀式で蘇らせたものの、使ったのが死者の書だったために“心”を持たない怪物として蘇る。あの映画『ペット・セメタリー』みたいなお話だけど、どの人も海で死んだということで、蘇る際には髪や肌が濡れている。
 

濡れているだけじゃなく、エドワードの恋人なんかは長く水に浸かっていたから、ね、よく見るとドロ~っとしてるんですよ、肌が。今にもズル剥けそうに。と同時に妖精のような美しさも併せ持っていて、魅力的でもある。
けれどお話はこれだけでは終わらない。きちんとラスボスが出てきたり。

第2話 ザ・コールド

Necronomicon_24新聞記者デイルは、40年もの間続いている連続猟奇殺人事件を追ううち、その中心にいるマデン博士という存在を突き止める。博士が住んでいたアパートを訪れたデイルは、オーナーでもないのに住み着き管理しているエイミーに会う。その事で半ば脅すように彼女から博士の話を聞き始めたデイル。
このアパートには昔、エイミーの母エミリーが住んでいた。お隣さんである博士とエミリーは親しかったが、博士は見た目以上にかなり年を取っていたことが分かる。何故博士は若く見えるのか。その理由は、手に入れた「ネクロノミカン」に書かれていた方法で永遠の命を手に入れたためだった。だがそれには冷気と人間の髄液が不可欠で、必要にかられ次々と殺人を犯していた博士。だがデイルは気が付いていた。今いるこの部屋も異常に寒いことに ―

3話しかないオムニバス作品に日本の監督が参加しているのも珍しいのでは。監督は『Death Note デスノート (2006)』の金子修介氏。作品自体に出演しているのは海外の役者さんだし、日本人が作った作品とは気が付かなかった。が、今思えば、“髄液”っていうところが日本ホラーらしいかも。

第3話 ウィスパーズ

Necronomicon_16逃走車を追跡中に事故を起こした警官サラ。助手席に乗っていた相棒であり恋人のポールが何者かに引きずられていった事にに気が付き、血痕の後を追う。古びたビルまで続くそれを追ってきたサラは、そこで奇妙な老夫婦に出会う。彼らは、この街は悪魔ブッチャーが支配しており、それはエイリアンかもしれないと言う。そのブッチャーの巣くう地下にポールが連れて行かれたと知ったサラは、古代の迷宮のような地下に降りて行こうとするが、老夫婦にいきなり穴に突き落とされた。落ちた穴の底には人間のバラバラになった死体や骨が大量に散乱していた。この老夫婦こそがブッチャーだったのだ ―

Necronomicon_20比較的、しっとりと、じっくりと進められる前2作に比べてとてもアクティブ。女性警官サラが恋人を追ってどこまでも突き進んでいく力強さがある。登場人物も個性豊かで、不気味な老夫婦は元より、恋人ポールの成れの果てもなかなか見応えが。夢だったのかと思わせて、その後すぐに主人公をどん底に突き落とす手法も古いようでいて楽しめる。
1話目の妖精のような恋人も捨てがたいけど、この3話目が一番面白かったかな。


Necronomicon_26背後に不気味なものを感じながらも、ここまで夢中で読み進めたラヴクラフト氏。しかし、その彼をも人ではない何者かが狙うのだった。

それほど古さも感じられない。何より今まで原作者として紹介してきたラヴクラフト自身が登場したから驚きました。80年代もオムニバス・ホラーは色々あったけど、最近もよく作られていますよね。一度でいくつも観られる形式は、なかなかお得だと思います。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • ネクロノミカン 【1993年製作:映画】

    H・P・ラヴクラフトのクトゥルー神話を元にした映画「ネクロノミカン」です。
     
    まぁ、タイトルを見れば、
    その手の映画だとは思いますが、
    邦題の場合、
    まったく関係なくてもそれっぽいとかイメージがそれっぽいとか、
    なんでそのタイトルなのというのがあるので、
    ありのまま受け取るわけにもいかないケースがあったりするんですよね。
     
    まっ、今回の「ネクロノミカン」に関して言うと、

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