『キャリー』(2013) - Carrie –

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デ・パルマ監督作のリメイクというより3度目の映画化ということらしい。だから1976年の作品と比べるというのは無粋というもの。・・けれどもねー、1作目がいろんな意味で衝撃的だっただけに、本作が強烈映像の羅列となってしまったことが非情に残念。登場人物の個性は際だったけど、ちょっと弄りすぎだよね..(注:原作は読んでませーん)
 

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■キャリー – Carrie -■
2013年/アメリカ/100分
監督:キンバリー・ピアース
脚本:ロバート・アギーレ=サカサ 他
原作:スティーヴン・キング
製作:ケヴィン・ミッシャー
製作総指揮:J・マイルズ・デイル
撮影:スティーヴ・イェドリン
音楽:マルコ・ベルトラミ

出演:
クロエ・グレース・モレッツ(キャリー)
ジュリアン・ムーア(マーガレット)
ジュディ・グリア(デジャルダン先生)
ガブリエラ・ワイルド(スー)
アンセル・エルゴート(トミー)
ポーシャ・ダブルデイ(クリス)
アレックス・ラッセル(ビリー)

解説:
スティーヴン・キングの同名小説を基に、一人の少女が引き起こす惨劇を描いたブライアン・デ・パルマ監督による76年の傑作学園ホラーを、「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツ主演で完全リメイク。共演は「キッズ・オールライト」のジュリアン・ムーア。監督は「ボーイズ・ドント・クライ」のキンバリー・ピアース。極端に信心深い母親のいびつな愛ゆえに学園で孤立を深めていくヒロインが、凄惨なイジメの末に辿る戦慄の顛末を、女性監督ならではの繊細な感情描写と迫力のバイオレンス演出で描き出す。
(allcinema)
 
あらすじ:
狂信的な母親に偏った育てられ方をされ、内気で陰気な高校生となったキャリー。ある日、学校でのキャリーに対するイジメが度を超して、関わった学生が処罰を受けたことから逆恨みされる事態に ―


Carrie(2013)_12初っ端から異常なショッキング映像が叫び声とともにやって来る。
今までジュリアン・ムーアはちょっと苦手だったけど、この映画の彼女は鬼気迫るものがあって非情に怖い・・・
痩せた顔、虚ろでありながら一点を見つめる鋭く冷たい目。自傷を繰り返すのは他人から自分を守るためなのか。
自分の無知と過ちを具現化した娘の存在を、愛しながらも否定する狂信者。しかし娘は自分自身を罰するために必要な存在となっている。
 
Carrie(2013)_18そんな母親に育てられた娘キャリー。
幼い時は、そんな母親の全てを信じていただろうが、学校に通って知識を得、社会に触れる機会が増えれば、何が真実で、何が正しいのかを考える力も付いてくる。
それでもキャリーは母親とはまともに話せても、他人との接し方が分からず下手な少女。とは言え、先生とのやり取りを見る限りは他人をシャットアウトしているわけでは無いのだ。普通になりたいと切望している。それを邪魔しているのは虐める級友だけでは無く、母親だとも知っている。
 
Carrie(2013)_26そんな心の奥底に貯まった自分でも気が付かない不満や鬱屈した思い。
プロムの誘いを受けた時、自分のためのドレスを縫っている時、初めてお洒落をして「綺麗だよ」と言われながら豪華な車に乗った時。鬱屈した思いは少しずつ溶け出した。舞台に上がり、皆の拍手を受けていた時に、それは全て流れ出そうとしていた。だが豚の血を全身に浴びることによって、流れ出そうとしていたものは彼女にぴったりと堅く張り付き、代わりに中から噴出したのは人を攻撃する怒りの“力”だった。

・・・なんですよ。あの“力”はここで初めて出てこなくちゃいけなかった。
この映画の一番残念な所は、キャリーに超能力を練習させた事だ。途中で母親に使いすぎた事。これでは怒りが爆発したというより、復讐を練習していたように見えかねない。虐められ復讐した、ただの超能力少女物語に。これはキャリーが可愛すぎるとか、健康的すぎるとかの問題以前。
それに加えてその他の登場人物達がそれぞれ個性があるのはいいけれど、強すぎてキャリーがそれらに埋没、ただの構成員の一人に過ぎなくなってしまっている感じが。
 
Carrie(2013)_movieそんな中、母親マーガレットの異常性はよく描かれていて際立っていた。それゆえ、キャリーとの関係性がイマイチ伝わってこず、キャリーが単なるわがままな娘に見えてしまった点もあったり。大虐殺の後に母親の元に帰るところも唐突だったし、母親を殺してしまった後の心情の揺れも分かりにくい。そこにスーの再登場は必要だったのだろうか。
 
ということで、『キャリー』については、やっぱりデ・パルマ作の方に1票。
この監督の『ボーイズ・ドント・クライ』は好きなんだけど