『ハイテンション』(2003) - Haute Tension –

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さて、2013年大取はフレンチ・ホラー三部作の金字塔であるこの作品をレビュー。フランスのスプラッターって凄いんだ・・と教えてくれた映画でもあります。昨年は『死霊のはらわた』シリーズで終わらせた事を思えば、ただのスプラッターホラーでは終わらないこの作品は、なかなかいいチョイスだと思う
 
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■ハイテンション - Haute Tension -■
2003年/フランス/91分
監督:アレクサンドル・アジャ
脚本:アレクサンドル・アジャ、
   グレゴリー・ルヴァスール
製作:アレクサンドル・アルカディ 他
撮影:マクシム・アレクサンドル
音楽:フランソワ・ウード
出演:
セシル・ドゥ・フランス(マリー)
マイウェン‎(アレックス)
フィリップ・ナオン(殺人鬼)
フランク・カルフン(ジミー)
アンドレイ・フィンティ
ワーナ・ペリーア

解説:
壮絶な残酷描写が話題を集めたフランス産スプラッター・ホラー。女子大生のヒロインが友人の家で惨劇に遭遇、殺人鬼によってさらわれた友人を救出するため決死の戦いを挑む。主演は「スパニッシュ・アパートメント」のセシル・ドゥ・フランス。監督はフランス期待の新鋭アレクサンドル・アジャ。
 (allcinema)
 
あらすじ:
大学生のマリーは親友アレックスの実家へ試験勉強のために彼女と共に出発する。夜遅く田舎の家にようやく到着した2人は、荷物を解きベッドへ。しかしその夜、見知らぬ男が現れて、アレックスの両親や弟を惨殺。アレックスもトラックで連れ去ろうとしていた。息を潜めて全てを目撃していたマリーは、アレックス救出のためこっそりとトラックに乗り込むが ―

英題:High Tension


Haute Tension_27トウモロコシ畑に囲まれた元農家の一軒家。この静かなアレックスの実家でじっくりと試験勉強をするために彼女と共にやって来たマリー。2人は親友だが、マリーの目にはアレックスが特別な存在に映っている。長いドライブでの2人の時間は至福であったことだろう。
 
アレックスの両親への挨拶もそこそこにベッドに入ったマリーだったが、なかなか寝付けない。そうするうちに、深夜だというのに家のベルが鳴る。応対に出たアレックスの父親が、いきなり謎の訪問者に切りつけられた。ただ事では無い物音に怯えたマリーはベッドの下に隠れるが、その男はアレックスの母親を襲い、続いてまだ幼い弟を追い詰める。アレックスの家族は皆殺しであった。
 
Haute Tension_21隙を見てアレックスの部屋に駆け込んだマリーは、太い鎖に拘束されたアレックスを発見。だがすぐに男の戻る足音が聞こえ、マリーは隠れる。男はアレックスを抱え上げて乗ってきたトラックの荷台に放り入れる。慎重なこの男は、その後も家に誰か隠れていないか探し回るが、それをうまくかわしたマリーはアレックスの乗せたれたトラックへと乗り込み、アレックスを何とか助けようとするが鎖は切れない。
そのまま出発したトラックは、ガソリンスタンドに立ち寄り、男がガソリンを入れている間にマリーは脱出。そして併設されているコンビニに助けを求めるが―
 
 
 
Haute Tension_16詳しく書いちゃったー。もうここまでドキドキなんですよね。いきなりトラックに乗って現れた殺人鬼から身を隠すマリーの動きが、目の前で起こっているようで。なんの非も無いアレックスの家族が次々と惨殺される。父親の時はマリーには物音だけだったのが、母親の時には目の前で。そして弟は窓から見てしまう。
その合間にマリーは必死で電話線を探したり、部屋を移動してはクローゼットに隠れたり、階段を降りていったり。すんでの所で殺人鬼から身を隠す。拘束され話せないアレックスは泣き叫び、何かを訴えているようだが分からない。そんな緊迫感はコンビニに行ってなお、続く。男にはマリーの存在は知られていないはずだが、この男、やたら慎重で、コンビニトイレに何かを感じて、一つ一つドアを開けて調べ上げていく。ホラーにはよくあるシーンだけれどマリーの恐怖の息づかいがすぐそこでしているかのような臨場感。
 
Haute Tension_28汚いトラックを運転するこの男は何者なのか。
冒頭で窓からポイッと捨てるものを見て、非道な殺人鬼であることは分かるが、それ以外の情報が全く無い。でもそれはマリーも同じなんだなー。彼氏のいない大学生で、どうやらアレックスに恋しているらしい、くらいしか分からない。愛情深いアレックスの両親や可愛らしい弟を見て、居心地悪そうにしているマリー。

 
 
 
【ここからはネタバレが】未見の方はご注意を
  オチを知ってから観る場合、面白さは1/30くらいになってしまいます
 
 
 
 
 
Haute Tension_29孤独を抱えているらしいマリーの唯一の慰めはアレックスの存在。そんな彼女を独り占めしたい。彼女は自分だけのもの。そういった気持ちが高まった時に現れるもう一人のマリー。
それがあのごつくて不細工な親父というのもビックリだが、その親父が殺人を繰り広げている間にもマリーは別物として存在している。ここが、よくある多重人格なんかとは違う点。一人の人間の中に複数人格が存在するのではなく、マリーの場合は分裂するかのように描かれている。
母親殺害の時にはクローゼットから、アレックス誘拐の時には暗闇の中で息を潜めるマリー。
でも身体は一つ。
 
Haute Tension_25親父が行動している間のマリーの行動は、本来のマリーの心の動きなんだろうか。殺人は悪い事で殺人鬼を恐れ、見つかりたくないと逃げ、アレックスをなんとしても助けたいという思い。その思いを映像化しただけだと。殺人鬼と戦ったシーンは一つの身体の中での葛藤なのかと。
では、何故コンビニのジミーは男を知っていたのか?「マリー」として見えていたとしても、あそこはアレックスの地元にあるコンビニで、マリーは来たことがないはず。ぃや、もしかしたらストーカーのように、以前からマリーの実家近くまでもうろうろしていたのだろうか。そう言えばトラックには犠牲者らしい多くの女性の写真が記念品のように飾られていた。何度もこの地に現れては殺人を犯していたのだろうか。クビをポイッとしたのも、そういうことなのかなー。
 
Haute Tension_17でも一つ説明が付かないことが。
マリーが血だらけだったのは、男のトラックを車で追いかけて事故ったからだが、一つの身体では同時に二台の車を運転することは出来ない。ということは事故は無かった。では、マリーの血は男を有刺鉄線付棍棒で殴った時に出来たもの?自分で自分を打ったことになるが、・・ぅ~ん..。
それともあの血は被害者のものなのか.. 華奢なマリーが殺人鬼と化している間に無茶なことして出来た傷なのか..
 
冒頭とラストはマリーの病院での様子が映される。「自分から逃げている自分」の夢を見たと話す彼女。マリーは精神的な病を患っているのだから同情する点もあるが、やはり一番可哀想だったのはアレックスに間違いない..

 


今回、久しぶりに観て一番驚いたのは、マリー役がセシル・ドゥ・フランスだったということ。あまり知らない女優さんだけど、唯一観ていたのが『ヒア アフター』で、落ち着いた大人の女性のイメージがあったから、本作との落差に一人で“おぉおーー!?”と叫んでしまった。
 

 icon-film  監督アレクサンドル・アジャ
Alexandre Ajaフランスの映画監督、脚本家、映画プロデューサーである。父のアレクサンドル・アルカディも同じく映画監督で、妻はモロッコの映画監督のレイラ・マラケッシュである。
18歳の時に Over the Rainbow(1997年)で監督デビューし、カンヌ国際映画祭の短編部門で上映される。その後、フリオ・コルタサルの短編を原作とした『フリア』で長編監督デビューも果たす。
2003年公開の『ハイテンション』がヒットし、ウェス・クレイヴンの『サランドラ』をリメイクした『ヒルズ・ハブ・アイズ』でハリウッドデビューした。その後も『P2』(2007年、脚本・原案・製作)、『ミラーズ』(2008年、監督・脚本)、『ピラニア3D』(2010年、監督)などホラー映画を作っている。
2011年時点では『コブラ』の実写映画を企画している。
1978年生まれ
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■主な監督作
・Over the Rainbow(1997)
・フリア(1999)
・ハイテンション(2003)
・ヒルズ・ハブ・アイズ(2006)
・ミラーズ(2008)
・ピラニア3D(2010)
マニアック(脚本、製作)(2012)
(Wiki:アレクサンドル・アジャ)

 
レンタルしたDVDにメイキング映像が付いていて初めて監督のお顔を拝見したんだけど、若くてビックリした。“アジャ”という名前からなのか、ごついパンクなおじさんをイメージしていたもので..
「コブラ」実写化はどうなっているのかなー。早くして欲しいなー
 
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それでは2013年最後のレビューを終わります。最後まで読んで下さってありがとうございました。
来年も一つ、一つとぼちぼちレビューしていると思いますので、又のぞいてください。よろしくお願いいたしまーす。
momorex