『トゥルー・ロマンス』(1993) - True Romance –

entry-image_283
出会うべくして出会った男女。二人には計算も駆け引きもなく、お互いを命をかけて守りあう。それは自然に出る当たり前の行動で、そこには謝罪も要求も存在しない。自然の愛―。ラブストーリー物はあまり観ない自分だけれど、そんな中でも一番好きな作品。

True Romance_07
■トゥルー・ロマンス - True Romance -■

1993年/アメリカ/121分
監督:トニー・スコット
脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:サミュエル・ハディダ 他
製作総指揮:ジェームズ・G・ロビンソン 他
撮影:ジェフリー・L・キンボール
音楽:ハンス・ジマー

出演:
クリスチャン・スレーター(クラレンス・ウォリー)

パトリシア・アークエット(アラバマ)
デニス・ホッパー(クリフォード・ウォリー)
クリストファー・ウォーケン(ココッティ)
ジェームズ・ガンドルフィーニ(ヴァージル)
ゲイリー・オールドマン(ドレクセル)
サミュエル・L・ジャクソン(ビッグ・ドン)
マイケル・ラパポート(ディック・リッチー)
ブラッド・ピット(フロイド)
ソウル・ルビネック(ドノウィッツ)
ブロンソン・ピンチョット(エリオット)
トム・サイズモア(刑事コーディ)
クリス・ペン(刑事ニッキー)
ヴァル・キルマー(助言者エルビス)
 

解説:
クエンティン・タランティーノ脚本によるアクション・バイオレンス。極限状態の中で生きる若い二人が織り成す愛と逃避行をシャープに描く。ストレートな表現により、目まぐるしく展開するストーリーに、息つく間もない極上のスピード感。アークエット演じるキレたヒロイン。ギリギリで生きる若者を演じたスレイター。ホッパー、キルマー、ピット、ウォーケンなど、主役級の個性派達の繰り広げる攻防。全編がパワーに溢れ、見どころは満載である。

あらすじ:
ビデオショップに働く青年クラレンスは、ある日の誕生日、店長の差し向けたコールガール、アラバマと出会う。互いに一目で恋に落ちた二人はさっそく結婚。彼女の元ヒモの所に出向いたクラレンスだが、そこでヒモの男に殺されかけ、逆に男を殺害。しかも彼女の衣装ケースと思って奪ってきたカバンには大量のコカインが-
 (allcinema)


True Romance_29頭にエルビスが住む青年クラレンス。エルビスは彼に助言を与え、決して彼を否定も拒絶もしない。クラレンスはしがないビデオ屋店員だが、エルビスのように太く短く生きて死ぬのが理想。そんな彼がアラバマと出会う。
彼女は新人コールガール。いつもなら退屈な様子で結局はフラれてしまうクラレンスだったが、アラバマは彼のエルビスの話や、ソニー千葉主演のカンフー映画3本にも付き合ってくれた。それも心から楽しげに。
 
True Romance_21この2人の出会いとアラバマが彼にコールガールだと告白するシーン。この作品の中でも一番好きなシーンだ。
彼女が彼にコールガールだと告白したのは、その職業を恥じてのことではない。そしてそれを聞く彼も、職業のことで彼女の見る目は変わらない。彼女が心配したのは出会うきっかけが作られた物で、それによって彼に嫌われてしまうのではないかと思ったこと。彼が心配したのは、この出会いは作られた物だから、愛情は無いのではないかと思ったから。ここでアラバマがクラレンスに言う台詞に泣かされる。
「私は好きな男のためなら100%尽くす女なの。一人の男に尽くす女よ。二度と嘘は言わないと誓うから。」
 
きつい化粧にショートの金髪をフワフワさせた、赤いドレスのコールガール。今は化粧も落ち、毛布をまとった姿で泣きながら自分を見つめている。ピーチの味がする少女のような不思議な女。
このパトリシア・アークエットのなんと魅力的なこと。 泣きながら笑っているような独特の舌足らずな話し方。少女のように小柄でありながら豊満な肉体。誰が彼女を追い出すことが出来ようか。
2人は結婚する。
だが一つ、クラレンスには気にくわないことがあった。それは自分の可愛い妻を殴ったというポン引きのドレクセル。彼は、妻のコールガール足抜けという落とし前と、ドレクセルが妻を殴ったことに対する落とし前を付けにポン引きのアジトへ向かう。
 
True Romance_27さて、ここで出ましたポン引きドレクセルこと“ゲイリー・オールドマン”。最悪ですよ。『レオン』の悪徳刑事も大概だったけれど、こんな最低なポン引き見たことないってぐらいの最低さ。大男の用心棒もいる、そんなアジトに一人で向かったクラレンス。これでアラバマを引き取るからとドレクセルに渡した封筒は、なんと空っぽ。怒ったドレクセルにボコボコにされながらも泣き言一つ言わない。そして殺されそうになった時、隠し持っていた銃でドレクセルと用心棒を射殺。慌てて持って出たアラバマの物と思われたスーツケースには、麻薬がぎっしり入っていた。
血だらけのクラレンスが家に戻り、起きたことを聞いたアラバマの反応がまたキュート。
泣きながら「殺したなんて、殺したなんて、、ロマンチックだわ・・!」
クラレンスはさらにメロメロに。
 
こうして2人は偶然手に入れた麻薬を金に換えるため、役者志望の友人をつてにハリウッドに向かう。しかし、この大量の麻薬はマフィアのものだったことから、殺し屋を含む追っ手が2人に迫る。あわせて、ハリウッド業界の麻薬汚染を捜査する警察までが絡み、2人はとんでもない状況に追い込まれていく。
2人はその純愛を成就することが出来るのか―


 
この作品はビックリするぐらい豪華な俳優がクラレンスとアラバマの脇を固める。
デニス・ホッパーはクラレンスの父親で元警官。息子夫婦がハリウッドへ向かう途中に寄ったことから、2人を追うマフィアがやって来る。そのマフィアの1人にクリストファー・ウォーケン。パリッとしたスーツに身を固め、冷徹でいかにもマフィアなウォーケンに対峙するホッパーは、息子を愛する父親であり、元警官の図太さも見せる。いつもの変な親父ではない(すごくまとも)。この2人のやり取りに、とても時間が割かれており、タランティーノらしい長めの会話もあって見所の一つでもある。

True Romance_24 True Romance_25 True Romance_26 True Romance_23

マフィアの殺し屋はジェームズ・ガンドルフィーニ。いつもの人の良さは消え、殺しに美学さえ持っている殺し屋。相手が女でも子供でも容赦は無い。クラレンスの友人と共同生活を送る男にブラッド・ピット。いつもいつもラリっている、目の焦点が合わないほどのジャンキー。そんな彼のところにクラレンスとアラバマが来たり、殺し屋が来たりする。殺し屋が自分を見る眼差しに「哀れむように見やがって。人をバカにするなよ」と殺し屋が去った後、ぽつりとこぼす台詞が印象的。
他にもエルビス役にヴァル・キルマー、刑事役にトム・サイズモア、『レザボア・ドッグスクリス・ペンと、彼らを見ているだけでまるでショーでも観ているように豪華だ。
 
True Romance_18そんな彼らの印象的なシーンは多いが、中でもアラバマと殺し屋の対決シーンは素晴らしい。愛するクラレンスを守るため、大きな身体の殺し屋に立ち向かうか弱いアラバマが最後まで諦めない様は、真実の愛ゆえの行動なのだろう。ここまで出来るかな…
 
タランティーノが書いた脚本とは違うエンディングになったため、ちょっともめたようだが、最終は監督の意向通りとなり、タランティーノが折れたということ。なんか『ナチュラル・ボーン・キラーズ』でもそんな事があったような..。