『ブラッディ・パーティ』(2010) - Wir sind die Nacht –

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■ブラッディ・パーティ - Wir sind die Nacht -■
2010年/ドイツ/100分
監督:デニス・ガンゼル
原案:デニス・ガンゼル
脚本:ヤン・ベルガー
製作:クリスティアン・ベッカー
撮影:トルステン・ブロイアー

出演
カロリーネ・ヘルフルト(レナ)
ニーナ・ホス(ルイーゼ)
ジェニファー・ウルリッヒ(シャルロット)
アンナ・フィッシャー(ノラ)
マックス・リーメルト
アルヴェト・ビルンバウム
シュテッフィ・クーネルト
ヨヘン・ニッケル

解説:美しいものを全てとし、男の鮮血を貪り食らう美女集団の破滅と再生を描いたヴァンパイア・スリラー!
監督は、前作『THE WAVE ウェイヴ』(08)でドイツの国内興行収入NO.1の大ヒットを記録したデニス・ガンゼル。過去の系譜に基づき、かつ、新しい現代のヴァンパイア像を創りあげ、妖艶な女ヴァンパイアの世界を描く。
(キネマ旬報社)

あらすじ:
Wir sind die Nacht_18ドイツ、ベルリンの街角で、スリや盗みをしながら刹那的に生きていたレナ。ある夜、母親から逃げるように家を飛び出したレナは、何かに誘われるように秘密クラブへと足を運ぶ。
そこで出会ったのは妖艶な女性ルイーゼ。挑むようにダンスをするルイーゼに目を奪われたレナだったが、そのルイーゼに突然、首を噛まれてしまう。驚き家に逃げ帰ったレナ。
しかしその夜からレナの身体は急激に変化。日の光に当たると燃えるように熱く、冷蔵庫の生肉からしたたる血をむさぼるようになる-


英題:We Are the Night


8月に入りました。
8月と言えば、真夏。真夏と言えば暑い。暑ければ「ホラーで涼もう」ということで、8月の記事第1弾はドイツのヴァンパイア作品『ブラッディ・パーティ』。

Wir sind die Nacht_07ベルリンの裏町に住むレナ。母親と住んではいるが、生活の糧は盗みやスリで得たお金。その手口はプロそのもので、街角にあるATMに携帯を仕込み、客が押す暗証番号を撮影。その後、その客から財布を盗み、安々と金を引き出す。見た目も女の子であることならず、世を捨てたような格好で街をうろつく、薄汚いレナ。
ある夜、母親の様子に嫌悪し、家を飛び出したレナは、引きつけられるように遊園地廃墟にある秘密クラブへと向かう。

そのクラブのオーナー、ルイーゼ、シャルロット、ノラ。
Wir sind die Nacht_22彼女達はヴァンパイアであり、特にリーダーのルイーゼは数百年生きてきた。
最初は男性もいたヴァンパイア族であったが、自滅のような形で男性ヴァンパイアは滅び、今は女性のみ。ルイーゼが気に入った娘をヴァンパイアに変え仲間にしている。
太陽に当たると火傷を起こし、やがて燃え尽きてしまうなど伝統的なヴァンパイアの様式に乗っ取ってはいるが、彼女達はその枠に収まってはいない。
クラブを経営し、違法に手に入れたポルシェやランボルギーニを乗り回し、高級店で買い物をする。かなり豊かで女性なら誰しもが一度は憧れるような毎日を送っている。

そして、レナはルイーゼに気に入られ、首を噛まれヴァンパイアへ-。

ベルリンにある遊園地の廃墟
Wir sind die Nacht_12旧東ベルリン地区にあった遊園地「Spreepark」。
1969年開業当初は「Kulturpark Plänterwald」という名で、東ドイツ唯一の遊園地だったが、2002年、運営会社の倒産により、そのまま廃墟となり現在にいたる。
園内に設置されていた恐竜が倒れたまま横たわっていたり、各種のアトラクションや乗り物もそのままで、ネットで画像を見ると、廃墟、それも遊園地の廃墟の様子が、どんなホラー映画よりも恐ろしく背筋が寒くなる。
特に倒れている恐竜の画像が上手に撮影されているからだろうか、非常に怖い。
どうしてかな..。『ジュラシック・パーク』を観ても何ともないのに、この画像を観ると胸がどきどきしてくる、あまりの怖さに。前世はローマ人だと思っていたが、実は恐竜だったのか…。

体験したい方はこちら  「Spreepark」画像検索結果
でも一番怖いのはこっち 「ベルリン 遊園地 廃墟 隕石落下」検索結果

この廃墟は『ハンナ(2011)』の‘グリムの家’があった、あの遊園地だと思われます。

Wir sind die Nacht_19

Wir sind die Nacht_17初めは優雅な生活を楽しんでいたレナだったが、皆が襲った人間の後始末が中途半端であったり、盗んだ車のことで警察に追われるようになり、徐々にこのヴァンパイアチームは追い詰められてくる。
そしてレナは束縛嫌いである元からの性質も手伝って、やがてルイーゼに反抗するようになる-


ドイツのヴァンパイア作品である本作は、ヴァンパイア作品によくある独特のクラシックな雰囲気はほとんどない。あくまでも登場するヴァンパイア達は「男など不必要よ!」とのたまう現代女性であり、物欲に余念がない。新人類型ヴァンパイアだ。
そんな彼女達の新たな仲間となったレナが、ある意味一番、現代の男性が望む女性像なのではないか。
特に彼女が最後にとった行動は、ごく当たり前の事であったかも知れない。
ドイツでも結婚しないことを選ぶ女性が増えてきてるのかな..?

ではまた

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