『300』『エンジェル ウォーズ』『ジャスティス・リーグ』のザック・スナイダー監督最新作『レベル ムーン』は壮大なスペースオペラ作品。確かにスター・ウォーズなんかのどこかで観た感じがちょいするけれど、そんな細かいことは忘れてスナイダー監督のアクションに酔いしれよう(*’▽’)
■ REBEL MOON パート1:炎の子 ■
– Rebel Moon: Part One – A Child of Fire –
2023年/アメリカ/135分
監督:ザック・スナイダー
脚本:ザック・スナイダー他
製作:デボラ・スナイダー、ザック・スナイダー他
撮影:ザック・スナイダー
音楽:ジャンキーXL
出演:
- ソフィア・ブテラ(コラ)
- エド・スクライン(アッティカス・ノーブル提督)
- フラ・フィー(リージェント・バリサリウス)
- チャーリー・ハナム(カイ)
- ジャイモン・フンスー(タイタス将軍)
- ミキール・ハースマン(グンナー)
- スタズ・ネアー(タラク)
- ペ・ドゥナ(ネメシス)
- レイ・フィッシャー(ダリアン・ブラッドアックス)
- クレオパトラ・コールマン(デヴラ・ブラッドアックス)
- アンソニー・ホプキンス(ジミー)
- コリー・ストール(シンドリ)
■解説:
アメリカ合衆国で製作されたスペースオペラ映画。二部に別れて公開され、パート1である本作は2023年12月22日に、パート2である『REBEL MOON: パート2 傷跡を刻む者』は2024年4月19日にそれぞれNetflixにより全世界で配信予定。また、一部劇場公開も計画されている。
Contents
あらすじ
1000年も続く宇宙の覇者マザーワールドの王と王妃が殺されて、冷酷な軍事大国となった彼らは宇宙全体を統べるべくどんなに遠く小さな星にまでも侵攻し悪行を重ねていた。農民として生きていたコラの住む辺境の小さな星にまで突如現れたマザーワールド。侵略に怯える星の住民たちは反逆者として立ち上がったコラにすべての希望を託すことになる ─
見どころと感想
舞台は宇宙。1000年もの長きにわたり続く大帝国。殺された王と王妃。殺されたかもしれない行方不明の姫君。帝国の後を継いだ冷酷無比で侵略あるのみな将軍とその参謀である提督。過去を隠して辺境の農村で暮らす女性。平凡な暮らしに突如訪れた帝国の船 ─
まぁこれで大体のお話は察していただけたかと思います。
えぇ、その通り。無情な大帝国には反乱軍が立ち上がることになっていて今回、この反乱軍の頭になるのは元最強ソルジャーの女性コラ。所属していた軍から逃げ辺境の星に身を隠していた。その星に突如現れ、侵略を開始した帝国マザーワールドと戦うため、コラは放浪の盗み屋カイの力を借りて仲間になる兵士を探す旅に出るが時間はあまりない。
途中で出くわすモンスター級の異星人と戦いながらも一人、また一人と手を貸してくれる仲間を見つけていく。もちろんどの人も家族や故郷を破壊されてマザーワールドを恨みに恨んでいる。そんな中、明かされるコラの過去。けれど一つとなった小さな反乱軍は農民たちが待つ星に立ち戻る。
ここでパート1が終わるのですが、こんな感じの内容なのに作品はたった135分しかなくて、端折りに端折り、少し物足りない。パート2で果たして最後まで描けるのかと心配になるほどだ。
主人公コラについてはさすがに過去がよくわかったのだが、他の良い側の登場人物についていまいち人となりが分からず、何かちょっとした説明と共に次々に登場し、都合よく仲間になっていったように思えてしまう。それぞれの登場時には大掛かりな舞台が用意されていて、ここはかなりの見ごたえがあるのではあるのだけれど。
特に囚われの王子タラクと黒い(トリコみたいな)大鷲の一件。続く剣士ネメシスと蜘蛛女の戦いはザック・スナイダー監督らしいたっぷりのアクションで魅せに見せてくれる。そんな登場時に時間を割いたためか、この後ラストまでは彼らの活躍場面は少なくてちょっとがっかり(-.-)。この辺りは後半のパート2に見せ場が待っているのかな。
ノーブル提督
反対にその魅力を惜しげも無く披露してくれたのはパート1のもう一人の主人公である悪の大帝国マザーワールドの提督アッティカス・ノーブル。
濛々たる砂煙を巻き上げながら3機の船でいきなり現れたマザーワールド。農民たちと一緒にこちらもいったいどんな奴が降り立つのかと身構えたちょうどその時、画面に大写しされた(この制服には絶対的に永遠不滅にセットされている)皮のロングブーツ。
あぁ、これか、と。
やっぱり悪の枢軸はこれなんだ、と。
もちろん今回の提督は今までいろんな作品で観てきたどの提督にも負けていないほどに“悪い”。人良さそうに理解のある味方とみせかけて次の瞬間大きく殴り倒す、この悪質さ。いやらしさ。徹底的な憎らしさの塊、なんなら黄金に光り輝くオスカーを手渡したくなるほどの悪の権化。それがノーブル提督。
ま、この上には皇帝バリサリウス様が控えていらっしゃるんだけどね。
ジミー
そしてもう一人、、ではなくもう一体。
忘れてはならぬのがアンドロイドの“ジミー”。古いタイプの戦闘ロボットだったが今は雑用ロボットに身を落としており人を殺すことも出来なくされている(はず(‘ω’))。が、このジミーは暗殺された王一家に仕えていた過去があり、その時の苦しみや悲しみを記憶している。コラたちが反乱軍の仲間を探しに出かけている間は農民たちと村で待っていたはずなのだが、ラストに一瞬映る彼の後ろ姿になぜか大きな不安がこちらに襲い掛かる。
だって鹿の角を頭につけた者はほとんどの場合碌なもんじゃない。代々伝わるきちんとした兜ならまだしも、自分を王と勘違いし、大きく間違った方向に力を持った強者の象徴のような気がする。この物語の「善」として登場したはずのジミーだが、マザーワールドの兵士の一件で何かが彼を変えてしまったのだろうか?
─ 心配だ
『アノニマス・アニマルズ 動物の惑星』 (2020)
『アノニマス・アニマルズ』というタイトルと画像から、これは動物人間のアクションか?ファンタジーか?と思いながらも何か怪しげな、鵜呑みにしてはいけない雰囲気が….
ザック・スナイダーのアクション
本作には異星人は多く出てくるものの、超パワーを持つヒーローたちがたくさん登場するアメコミヒーロー物語ではない。なので強い戦士のコラが戦う際にも大きく息がはずみ、倒れそうになったその時の最後の一蹴りが相手の急所を突き、なんとか相手が倒れてくれる。決して早送り撮影したようなスピード感があるものではない、人間通しの戦い。殴り、突き、ナイフを突き刺す際の重量感、息をはき息を吸う呼吸ごとの動きが感じられるアクション。それでいてエンターテイメント性も失われないスナイダー監督のアクションは私のお気に入りだ。
さいごに
数が増えてきた登場人物とコラの過去の清算。提督やジミーのその後。そして何より帝国と反乱軍の戦いの行方がどうなるのか。本当にパート2だけで全て終わることができるのか ─
後半のパート2の配信は4月になってから。
・・・来月くらいが良かったな(-.-)
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