ずいぶん前に一度観た→無かったことにした。が、時々ホラー界隈で出てくるこのタイトル『死霊の盆踊り』。このままにしてはいけないと誰かに言われているようで、再見することに。そして書くだけ書いて自分の中で総括し、きれいさっぱり忘れることにした(-.-)
■ 死霊の盆踊り – Orgy of the Dead – ■
1965年/アメリカ/91分
監督:A. C. スティーヴン
原作・脚本:エド・ウッド
製作:A. C. スティーヴン
撮影:ロバート・カラミコ
出演:
ウィリアム・ベイツ(ボブ)
パット・バリンジャー(シャーリー)
クリスウェル(夜の帝王)
ファウン・シルヴァー(闇の女王)
■解説:
墓場からよみがえった美女の霊たちが裸で踊り狂う姿を描き、映画評論サイト「Rotten Tomatoes」で0%のスコアを叩き出すなど“史上最低の映画”としてカルト的人気を集めるエロティックホラー。「プラン9・フロム・アウタースペース」の監督エド・ウッドが脚本を担当。日本では1987年に劇場初公開。2019年12月には、新宿シネマカリテで開催の特集上映企画「サイテー映画の大逆襲2020!」で、HDリマスター版が上映された。映画.com
Orgy of the Dead:死者の乱交パーティー
邦題『死霊の盆踊り』をつけたのは映画評論家の江戸木 純氏
Contents
■あらすじ
満月の夜、執筆活動に行き詰まったホラー作家ボブは、恋人を連れて墓場を目指し夜のドライブに。だが途中で事故を起こし車は崖下へ。しばらくして気が付いた二人は近くの墓地で死霊たちが開いていたパーティを目撃することに ─
見どころと感想
そして死霊たちに見つかり、墓標に括り付けられ間近で延々と死霊ダンスを見せつけられたあげく、命の危険にさらされる ─
というのがあらすじです(-.-)
ボブと恋人、死霊のドンである夜の帝王と闇の女王のやり取りを除くと、そこに広がるのは10人の死霊女性のくねくねダンスのみ。10人の女性登場シーンには一応生きていた頃や死んだばかりの頃の物語が女王により語られ、まとっている衣装や髪型、メイク、ダンスの曲調もそれぞれ違っているようになってはいるけど、あまり見分けはつかない…
それでもきちんとオープニング・ロールには彼女たちのダンスが紹介されているのを発見。これは驚きだ。
10人のダンサーたち Featuring
- Gold Girl
- Hawaiian
- Skelton
- Indian
- Slave
- Street Walker
- Cat
- Fluff
- Mexican
- Zombie
リストと画像の順番はリンクしておりません(-“-) リストで紹介はされてはいるんだけど、数名がどれに当たるのかわからない… きっとそれは私の知力や記憶力が足りないせいでしょう。
彼女たちは闇の女王の思し召し(手を二つたたく。まるで日本の宴会時に次の料理をお願いするみたいに)により夜の煙の中から忽然と現れ、好きに踊った後、また煙の中に消えていく。登場時には彼女たちの悲しい物語が語られるが、それが終わりダンスを始めるや否や己の手で衣服をはぎ取り(と言ってもその場面は無い)、おもむろにトップレスとなって、この夜中の墓場には全く似つかわしくない、数十年前によくバックミュージックでかけられていたような昭和の音楽に合わせてクネクネとかなり長い間、ダンスを披露する(だがそれはダンスというよりも、ただのくねくね動きだ)。長い者では登場から引っ込みまで10分近くあり、(拷問のような)全て終わった後、ほんまに10人いたか(・・?と思った私はどうやら途中で寝ていたらしい。
けれどそれは私だけじゃない。夜の帝王クリスウェルも7~8人終わったところで「もういいんじゃないか」と言っていた。というのも彼ら死霊たちは太陽の光にあたると本当の意味で死んでしまうらしいからだ。まるで吸血鬼のようだが、そういうことらしい。
「死霊どもの祭り」開催者
今回、満月の夜にこの「死霊どもの祭り」もしくは「死霊どもの饗宴」を開催したのが後ろに陣取っている夜の帝王クリスウェル。共催者は前の赤いドレス闇の女王(私はバーバレラと呼んでいる。もちろん勝手に)。右の二人は小間使いのミイラ男と狼男。
ここで今まで色々な作品で何度も疑問を感じたことも一緒に総括しておこう。
それは、これだ。
なぜ、死霊どもの中で一番偉いのが吸血鬼で、小間使いがミイラ男や狼男なのか?
という点だ。吸血鬼は伯爵だろうけど、ミイラ男はもしかしたらファラオかもしれないんだよ?狼男は普通の人間だったかもしれないけれど、一番力持ちじゃないか?なのになぜいつも小間使いの立場に甘んじているのか。この1965年の作品(それも『死霊の盆踊り』)でさえ、そうだったから疑問が上書きされた。なにせアニメ「怪物くん」のせいだと思いこんでいたから…(-.-)
でも今回のミイラ男と狼男はかなり面白い話を聞かせてくれる。踊る女性の中で蛇と共に登場する人がいるんだけれど、それを見ていたミイラ男が過去を思い出して狼男に語りかける。
「蛇は苦手だ。あのクレオパトラの命を奪った」
なんとそんな時代に生きていた人だったんだね。狼男は人の言葉もろくに話せず、うなるように頷いていただけだったけど…
結局、理由はわからないままだ…
エンディング
途中で飽きられつつも、最後まで踊り切ったダンス鑑賞会。その後に、すっかり忘れられていたボブと恋人は誰がもらうかでひと悶着がありつつも、ボブは殴り倒され、恋人は闇の女王の手におちると思われたちょうどその時 ─
夜のとばりが明け、いきなり昼間のような空の高い位置から真っ直ぐに太陽の光がさんさんと女王たち死霊どもにふりそそぐ。死霊どもはどうなったか?
それは想像の通りです。
祭りは終わったのだ。
こんな結果になったから、次の満月の夜はひどく静かであるに違いない
本作原作・脚本 エド・ウッド
エド・ウッド(Ed Wood/1924-1978)として知られるエドワード・デイヴィス・ウッド・ジュニアは、アメリカ合衆国の映画監督。映画プロデューサー、脚本家、俳優もすべて務めた。自らが製作した映画がすべて興行的に失敗した為、「アメリカで最低の映画監督」と呼ばれ、常に赤貧にあえぎ、貧困のうちに没した。
Wikipedia
没後はしばらく忘れられていたが、映画の上映権を安く買い叩かれた結果、深夜テレビの映画枠で繰り返し放送されることになった『プラン9・フロム・アウタースペース』が一部でカルト的な人気を得て映画評論家の目に止まり、1980年に「ゴールデンターキー賞」という本において「歴代最低映画」として紹介され、「再評価」が始まった。
■主な作品
- グレンとグレンダ(1953)
- 牢獄の罠(1954)
- 怪物の花嫁(1955)
- プラン9・フロム・アウタースペース(1959)
- 死霊の盆踊り(1965)
- エド・ウッドのX博士の復讐(1970)
- ポルノ同窓会/輪獣(1972)
- 淫欲(秘)地帯(1972)
- クレイジー・ナッツ 早く起きてよ(1998)
1960年代までのホラー作品
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『血とバラ』(1960) - Et mourir de plaisir –
古めの吸血鬼映画特集ぼちぼち続いてます。今回は『世にも怪奇な物語/黒馬の哭く館』のロジェ・ヴァディム監督作。もう『血とバラ』なんてタイトルだけでクラクラしそうな吸引力。雰囲気も『黒馬の哭く館』に似ていて、現実と夢と謎が交錯しなから悲劇のラ… -
『ローズマリーの赤ちゃん』 (1968) - Rosemary’s Baby
今となってはとっても分かりやすいホラーなんだけど、ミア・ファローの透明感のある可愛らしさと、先駆け感のある独特の恐ろしさが、今見ても新しく感じられて楽しめる作品。雰囲気が好きで定期的に観てる気がする。 -
『魔人ドラキュラ』(1931) - Dracula –
イマジカBS「吸血鬼映画特集」で放送されていた1本。吸血鬼映画としてはこの作品『魔人ドラキュラ』が史上2本目となるらしい。確かに“吸血鬼”と聞いたらまず想像されるお姿をしておられる。ここから来ていたんですねー。 ■魔人ドラキュラ - Dracula -■193…