『リヴィッド』(2011) - LIVIDE –

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まさか、こっち系の話だとは.. 母親に自殺され見捨てられたと感じている少女と、厳しい母親の元、自分の正体を理解しきれず母親に反発する少女。2人は会うべくして出会う運命だった。事前情報なしに観た方が絶対楽しめる。知らなければ知らないほど意外性に戸惑うことが出来る。2人の少女のように

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■リヴィッド - LIVIDE -■
2011年/フランス/92分
監督:ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
脚本:ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
製作:ヴェラーヌ・フレディアニ 他
撮影:ローラン・バレ
音楽:ラファエル・ゲスカ
出演:
クロエ・クルー(リュシー)
フェリックス・モアティ(ウィリアム)
ジェレミー・カポーヌ(ベン)
マリ=クロード・ピエトラガラ(デボラ・ジェセル)
カトリーヌ・ジャコブ(ミセス・ウィルソン)
クロエ・マルク(アナ)
ベアトリス・ダル(リュシーの母)

解説:
「屋敷女」のジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ監督が、昏睡状態の老女が眠り続ける古い屋敷に忍び込んだ若い男女を待ち受ける戦慄の恐怖を描いたホラー・サスペンス。主演はフランスの若手女優クロエ・クルー。共演にマリ=クロード・ピエトラガラ、カトリーヌ・ジャコブ、ベアトリス・ダル。 (allcinema)

あらすじ:
フランスの寂れた港町で訪問介護ヘルパーの仕事に就いたばかりのリュシー。指導係と各家を回るうち、古い豪邸を訪れる。そこには女主人ジェセルが遺言に従って、昏睡状態のまま寝たきりになっていた。この屋敷に多くの財宝が隠されていると知ったリュシーは、一旗揚げたい恋人ウィリアムとその弟ベンと一緒に盗み出す計画を立てる。深夜3人はなんとか屋敷に忍び込むが、寝たきりのジェセルしかいないはずの屋敷の中から奇妙な物音が聞こえ始め-


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切り立った崖に立つ灯台。錆びた車。ボロボロの船。海辺の墓地。バス停には行方不明の子供達のポスターが-。
ここはある地方の港町。時は晩秋で強い風が吹き、寒々しい。

この小さな町に住むリュシーは、訪問介護ヘルパー。まだ成り立てで指導係について家を回っている。その日も何人かの老人の家を回り、指導係ウィルソンさんを手伝った。そして最後の家に着いたとき、ここは自分一人でやるから車で待っていて、と言われる。そこは有名な“キャランテック通りの屋敷”。奇妙に思いながらも待っていたリュシーだったが、好奇心に負けて門を開け敷地の中へ。
そこには城と見まごうような大きな屋敷が建っていた。しかしかなり古く痛んでおり、まるでお化け屋敷のようだ。

大きな階段に、長く開けられた形跡の無いようなたくさんのドア。あちらこちらに動物の剥製が飾られ、蜘蛛の巣が張っている。そしてこの屋敷の女主人デボラ・ジェセルの眠る部屋があった。青白い肌をして骸骨のように痩せこけた老女。

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ウィルソンさんの説明によると長く昏睡状態にあるジェセルは、その遺言によって輸血をしたまま生かされ、眠りについていると言う。読書家だったジェセルの部屋には本がたくさん並べられ、ウィルソンさんによると秘密の財宝がこの屋敷には隠されているらしい。いくら探しても見つからなかった、と。
そしてリュシーは1冊の本を手に取ったが、そこから1匹のが飛び立った-。

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その夜、リュシーは漁から戻った恋人ウィリアムと待ち合わせる。色々な話をした後、“キャランテック通りの屋敷”の話題に。財宝についてのくだりになると、俄然興味を示したウィリアム。こんな町で漁師になどなりたくない、と財宝を盗む計画を持ちかける。とんでもない、と一旦は突き放したリュシーだったが、8ヶ月前に自殺した自分の母親、死んで間もないのにもう恋人のいる父親に思いが及び、ついには強盗計画を受け入れることに

こうしてウィリアムの弟ベンを誘った3人の強盗計画が実行された。

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深夜、屋敷に向けて車で出た3人。前に座る兄弟は青白くライトに照らされて不気味だ。
鬼火がちらちらする庭を横切り、侵入出来る場所を探す。やっと見つけたのは蜘蛛の巣の張った荷物だらけの地下室への窓。不気味な夜の屋敷に入った3人は、どの扉にも南京錠がかけられているのを見てがっかりするが、一つのドアを無理矢理こじ開けた。そしてそこで見つけたものは、死体を人形のように台の上に立たせてある“死体人形”だった。

瞼は何かで縫い付けられ、乾燥したかのようにひび割れたその顔は悲しげだ。オルゴールにあわせてバレリーナのように踊りさえするその人形の正体にリュシーは思い当たった。生まれつき口が利けず早死にしたジェセルの一人娘アナだった。

と、ここで昏睡状態のジェセルしかいないはずの上階から物音が。その音はどんどん大きくなり、怯えた3人は屋敷から逃げ出そうとする。しかしどの扉も窓も開かず、入ってきた地下室の窓にさえ柵が出現、脱出不可能に。さらに一緒だったはずのベンの姿が消え、パニックになったリュシーとウィリアム。ここでリュシーがジェセルの部屋に開く窓があったことを思い出し、急いでジェセルの部屋へ。
しかし、そこにジェセルの姿は無く、以前は開いていた窓は打ち付けられていた-

あぁーー、大変なことになってしまいましたねー
本作はここからが本番です。不気味な屋敷に閉じ込められた3人の若者。強盗という不埒な行動(それも失敗)には見合わないほどの出来事が、ここから襲ってくる。立ち上がったジェセル。動き出したアナ。その他にもここには得体の知れない、しかし凶暴なモノがうごめいている。それらはヒトの○を求め襲ってくる。
この屋敷に脈々と息づいていたものの正体が分かった時。それは自分の魂が身体から抜け出す時。

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魂を運ぶと言われている蝶や蛾(ヨーロッパのある国では同じ“蝶”として扱われている)。魂の入り口と出口であるとも言い伝えのあるヘテロクロミア(虹彩異色症)の瞳。そして母親との確執がある2人の少女。この同時代に生きているはずの無い2人の少女が出会って事を巻き起こし、最後、夢見たものとはなんだったのだろう?

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ハイテンション(2003)』に勝るとも劣らない『屋敷女(2007)』の2人の監督が作ったこの作品は、前作とは違ってゴシックな映像美と懐かしいオカルト的な何かでホラー好きをくすぐる。『ピクニックatハンギング・ロック(1975)』がお好きな方はぜひどうぞ。
ではまた

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