1話30分くらいの世にも奇妙な物語風の「9」にまつわるオムニバス作品「9から始まる奇妙な物語」。シーズン1に続いてシーズン2もテイストが全く違う全6話。全てを楽しみに観ることが出来る安心感と満足感(‘ω’)ノ 今回のお気に入りは選ぶの難しいけど強いて言うなら「第2話 幸せな人生」。
■ 9から始まる奇妙な物語 シーズン2 – Inside No. 9 – ■
2015年/イギリス/全6話
監督・演出:ギリェム・モラレス他
原作・脚本:リース・シェアスミス、スティーヴ・ペンバートン
製作総指揮:ジョン・プロウマン
出演:
リース・シェアスミス
スティーヴ・ペンバートン
シェリダン・スミス
トム・ライリー
■解説:
BBC製作のアンソロジーシリーズ。2014年から現在まで続いており、英国ではシーズン6が2021年に放送された。1話完結で毎回作風は異なっているが、どれも皮肉たっぷりで、驚きの結末で終わるという共通点がある。クリエイターのスティーヴ・ペンバートンかリース・シェアスミスが主演(もしくは二人とも)を務めているが、毎回有名俳優が脇役として登場する。映画.com
2014年シーズン1に続く2015年シーズン2。今回のシーズンも楽しませてもらいました。早速各話のあらすじと感想を。
第1話 寝ていた男
■感想:個性豊かな登場人物たちが次々と登場しては自己紹介もかねつつ寝台列車の狭い空間で大騒ぎ。几帳面ないかにもイギリス紳士に始まって、フランスのへべれけ親父(でも金持ち風)、娘の結婚式のために移動している夫婦(あまり落ち着きなし)、世界中を旅するバックパッカー女子(長らく風呂に入っていない)などなど、2番目に部屋に入ったイギリス紳士にはとても我慢できない状態が続く。それでも我慢して大人しく寝ようとしているのに、とうとう1番目の男性がベッドからずり落ち、ただならぬ様子にはね起きた(;’∀’)
さてここからこのバラバラでまとまりのないグループがいかに問題に対処し解決していくか?果たして解決されるのか?無事に眠ることが出来るのか?それらは全てラストのオチに収束していくよ(‘ω’)
何事も最終確認こそが大事だよ
第2話 幸せな人生

■あらすじ:若いクリスティーンはパーティで出会ったアダムと2年付き合った後、同居、結婚。可愛い赤ちゃんにも恵まれ幸せに暮らしていたが、数年後離婚することに。一人息子が小学校にあがる頃、クリスティーンは急に自分の人生が悲しくなり、こんなはずではなかったと涙するが ─
■感想:友人とルームシェアしていた20歳前後、結婚、妊娠、育児。離婚、父親が病気で亡くなる、母親に手伝ってもらいながら一人息子を育てる。人には色々な人生があるものだが、このクリスティーンの人生も今の時代よくあるパターンではある。だが彼女はもっと普遍的で標準的な明るい平凡な毎日が続くとぼんやりと思っていた。けれど流されるまま日々を過ごすだけでは、その普遍的で標準的なものはなかなか手に入らないものなのだ。かなりの努力が必要なのだ。
本作はクリスティーンの人生の転換期の切り替え場面が素晴らしく、瞬時に人生が切り替わり、流れるように日々が進んで行く。そして第2話でも秀逸なラストへと全てが向かっていく。それを観てきっとあなたもハッとなるに違いない。そして目が覚める。
普通を手に入れるためには努力とあきらめが肝心
第3話 エリザベス・ガッジの魔女裁判
■感想:タイトルを見た時、“一番好きなやつかも”って喜んだのも束の間、魔女裁判をコメディタッチに仕上げるその手法は想像の範囲内。少し下ネタに走っていったのにはがっかり(-.-) それでもさすが「9から始まる奇妙な物語 」。ラストは意外話の乱れ撃ちで最後までお笑いに徹していました。
人はたやすく信じてはだめだ…
第4話 背筋の凍るホットライン
■感想:相手の話を傾聴しながらも決して流されない、親身に入り込み過ぎないのがコツのお悩み相談室の仕事。そんな仕事をしている方のお悩み相談室が別途必要なのではないだろうかと思うほど大変な仕事内容だ。相談者の話の内容もそうだが、対応一つで人間一人の人生、運命が変わってしまうとなっては、確かに「背筋が凍る」。
今回のオチはそれらを考えながらのその先にあったものだから、あまりこちらに響いてこなかった。ま、何事もなくてよかったわ、としか…
人には向き不向きがあるものだ
第5話 おばあちゃんの誕生日パーティー

■あらすじ:今日は79歳のおばあちゃんマギーの誕生パーティーの日。次女アンジェラ一家のゴミ一つない素敵な家で、完璧なパーティーの準備が整えられた。そこにアンジェラの姉キャロル夫婦とマギーが訪れた。いつもふざけているキャロル夫婦を驚かせようとアンジェラの夫ジムは偽物のケーキの下に隠れるが、なかなか驚かせるタイミングがこない。そのうち酒好きのキャロルが飲み過ぎて、あらぬことをしゃべりだしてしまい ─
■感想:これも個性豊かでバラバラでパワフルな人々が一つ所に集まって起きた、というか起こるべくして起きたある日の物語だ。見せかけの家族、真実の愛、無償の愛、置いてけぼりの愛、などなどをそれぞれが披露してくれる。ラストはもちろんその通りだと納得のオチ。
嘘を突き通すのは並大抵ではない努力が必要だが、いったん綻ぶとバラバラになるのはあっという間
第6話 交霊会
■感想:シーズン2最後の第6話は管理人の好きなキーワード「交霊会」。そういえばシーズン1の第6話もゴシックじみたお話だった(S1/第6話:地獄降り)。今回はゴシックじみたオカルト系にドッキリ仕掛けのテレビ番組という架空で嘘の世界の話が二重三重に混じり合う。そこに登場するのも架空の世界を作り上げる役者と、あまりに自己中心的でそれを隠そうともしない男だ。全てに真実が無い。
ただ一つ本物があるとすれば、それはラストに出てくる少年の心だけ。その少年がある意味、実在しないというのは何と皮肉なことであろうか…(-.-)
バチはあたる(-“-) 必ずだ
ということでシーズン2終わりました。全体的に面白かったのはシーズン1の方かな…。この後シーズン3もきっと近々どこかで配信が始まることだろう。待ってるよ
