すごいイヤな感じの、暗くて後味の悪い映画かと思ったら、違いましたよ、お客さん。偶然出会ってしまった登場人物4人によるシチュエーション・スリラーであり、コメディ・ホラーであり、悲しい男の涙の物語『ザ・スリル』です。同じ製作チーム『サプライズ』も面白かったけど、こっちの方がオススメデス。顔を歪めずにはいられないけど展開が面白い。ちょっとだけグロ
■ザ・スリル - Cheap Thrills –■
2013年/アメリカ/85分
監督:E・L・カッツ
脚本:トレント・ハーガ 他
製作:トラヴィス・スティーヴンス 他
撮影:セバスティアン・ウィンテロ 他
音楽:マッツ・ヘルトベア
出演:
パット・ヒーリー
イーサン・エンブリー
サラ・パクストン
デヴィッド・ケックナー
■解説:
世界的大ヒットを遂げ、日本でも絶賛された「サプライズ」の製作チームが手掛けた本作は、最後まで先の読めない展開が話題を呼び、シッチェス、シカゴ、ファンタジアなど、多くの有名ファンタ系映画祭を席巻。インディペンデント映画ながら、そのあまりの面白さに2014年3月末の全米公開も決定。目の肥えたホラーファンたちの熱烈な支持で口コミが広がり、本年度最も期待されるシチュエーション・スリラーの1本へと上り詰めている。(amazon)
Contents
■あらすじ:
家賃すら払えず追い出され寸前の妻子持ちクレイグ。雇い主に昇給相談をするはずがリストラに。途方に暮れてバーに寄った彼は偶然、幼馴染みのヴィンスに会う。そこで出会った夫婦と4人で楽しく飲んでいたが、夫婦の夫コリンがあるゲームをクレイグとヴィンスに提案した。「テキーラを先に飲み干した者に50ドル」「客の女を怒らせてひっぱたかれた方に200ドル」。おふざけ半分でゲームに参加した2人だったが、お題は次第にエスカレートしていき ―
登場人物
クレイグ
1歳になる子を持つ父親であり良き夫。
大学卒業後、作家を目指していたが全然売れず、今は自動車整備工。給料は全然足りて無くて家賃も滞納しており、立ち退き寸前。雇い主に給料昇給の相談をしようとしていたその日にクビを言い渡される。貯金も無い崖っぷち。
ヴィンス
クレイグとは幼馴染み。職業は借金取立人。
クレイグと5年ぶりにバーでばったり。結婚もしていないチョイワル男だけども、勝ち組だろうと思っていたクレイグの現在の身の上を聞いて、100~200ドルくらいなら貸せるぞ、と財布を出そうとする面も。
コリンとバイオレット
妻バイオレットの誕生日を祝うためバーに来ていた謎の超金持ち夫婦。
「先に飲み干した方に50ドルやるぞ」とゲームを始めたコリンのポケットにはお札がたっぷり入っている。金が欲しくて参加したクレイグ、面白おかしく参加したヴィンスだったが、バイオレットはくだらなさそうに眺めているだけだ。バーからストリップ小屋、夫婦の自宅へと場所を変えながらもゲームは続いたが―
見どころと感想
真面目な男とヤクザ者、金持ち夫婦が登場人物で、金を鼻先にぶら下げたゲームとくれば、イヤな展開を想像するけれど、違うんですよー。人は見た目だけじゃ判断出来ないし、本来の性格もある。それにプラスして、この作品の登場人物は現在の状況が色々な意味で背中に覆い被さっている。崖っぷちもいれば、将来の不安を持つ人、全てを持つあまりに何を誕生日プレゼントにすればいいのか悩む人。
で、あるけどこの4人は立場は違えど、普通の人なんですよね。だから怖ーい展開、要するに怖ーいゲームのお題が出るのかとドキドキさせながらも、常識の範囲内でホッとさせたり、え?やっぱり来たか、のお題が出たりして、上へ下への展開が次どうなるの?と飽きずに観続けさせ、自分ならどうするかな、、とつい考えてしまう。
それでもゲームの賞金はどんどん上がり、果たすお題も難易度が上がっていく。そして最後は観ている側が想像していた通りに、、なるかも・・・
この格差社会の縮図のような作品にタイトルを付けるとすれば、「金持ちの金持ちによる金持ちのための、25万ドルゲーム」。参加者には決してハッピーエンドは訪れない。最後近くのヴィンスの表情の移り変わりがそれを表わしている。
監督 E・L・カッツ
■主な作品
・遺体安置室 -死霊のめざめ-(2005/製作)
・解体病棟(2008/脚本・原案)
・ビューティフル・ダイ(2010/製作)
・キッズ・リベンジ(2012/製作)
・ザ・スリル(2013/監督)
・ABCs of Death 2(2014/監督)
コメント
コメント一覧 (6件)
確かにその道のプロとかヤクザ者なんかのお話だったら、全然違うものになりますよね。
それにしてもお金がありすぎたら、あんな事を始めちゃうんですねー。どうせやるなら、貧しい国にでも旅行してお金をばらまいてくればいいのに。
あ、それもやっちゃったんですね、きっと
レベルサーティーンと違い、
桁違いにぶっとんだお題じゃないところが
リアルというか、ありえそうな感じでしたよね
金持ちの道楽としても。
一般人という設定じゃなかったら面白くなかったかもしれません
ザ・スリル
「これができたら◯◯ドル!」という、ごく簡単な内容と引き換えに現金を手にして喜ぶ主人公だが、ゲームの内容は次第にエスカレートしていき…といった、「レベル・サーティーン」を思い起こさせるものでしたが…。きれいごとは言いません。やっぱり人間お金が関わると人が変わりますよね。
自分だったらどうだ、やるか?うん…簡単なものならやるかもしれない。
この手のシチュエーションスリラーお約束の裏組織など…
これ、面白かったです!
ほんとに次のお題は、アレなんじゃないか、アレなんじゃ・・・とドキドキしましたねー。
ゲームを仕掛ける側、受ける側とも、ある程度普通の人物なんだろうな、ノリでここまでやってしまうんだろうな、と思わせるところも面白かった点です。
崖っぷち男のラストも悲惨でしたが、私はヴィンスに非常に同情してしまいました(;ω;)
どんな事をさせられるのか観ている側もどきどきしちゃいましたね。
最初は簡単なものばかりでしたが、流石に終盤になると結構ハードでした。
幾ら大金が手にはいるからとはいえ、犬を食わされるのはちょっと(。>д<)
人生崖っぷちの男、欲望には勝てませんでした。
ラストシーンはブラックな感じで好きです。
ザ・スリル
CHEAP THRILLS
2013年
アメリカ
87分
サスペンス/ホラー/コメディ
劇場未公開
監督:
E・L・カッツ
出演:
パット・ヒーリー
イーサン・エンブリー
サラ・パクストン
デヴィッド・ケックナー
<ストーリー>
職と家を失ったクレイグは、ある金持ちのカッ…