『ブレイブ -群青戦記-』 (2021)

ある日、落雷と共に学校ごと戦国時代に飛ばされてしまった高校生たち。そこは命をかけて成り上がっていく力の時代。現代の高校生たちが、そんな場所で生き残り、現代に戻って来ることができるのか?
久しぶりに熱い高校生を、私は見た!

■ ブレイブ -群青戦記- ■
2021年/日本/115分
監督:本広克行
脚本:山浦雅大、山本透
原作:笠原真樹「群青戦記」
製作:佐藤善宏 他
撮影:佐光朗 他
音楽:菅野祐悟
主題歌:UVERworld「HOURGLASS」

出演:
新田真剣佑
山崎紘菜
鈴木伸之
濱田龍臣
鈴木 仁
福山翔大
飯島寛騎
長田拓郎
足立 英
渡邊圭祐
三浦春馬
松山ケンイチ

■解説:
集英社「週刊ヤングジャンプ」で連載された笠原真樹原作の人気コミック「群青戦記」を、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画化。新田真剣佑が単独初主演を飾るほか、三浦春馬、松山ケンイチら実力派キャストが集う。

■あらすじ:
スポーツ名門校で弓道部に所属する西野蒼は目立つことが苦手で、弓道場で練習に打ち込むばかりの日々を送っていた。幼なじみの瀬野遥は、そんな蒼のことを心配している。ある日、1本の雷が校庭に落ちた直後、突如として校庭の向こうに城が出現、校内には刀を持った野武士たちがなだれ込んでくる。全校生徒がパニックに陥る中、歴史マニアの蒼は、学校がまるごと戦国時代、しかも“桶狭間の戦い”の直前にタイムスリップしてしまったことに気づく ─

映画.com

その昔、自衛隊が戦国時代にタイムスリップしたことがあった。1979年のことだ。彼らはとまどい、なかなか現実を受け入れられなかったが、近代兵器などの持てる力を使いながらも、次第に戦国時代の武士たちや地元の人々とも馴染んでいく。だが近代兵器はいつか使えなくなるし、壊れれば終わり。後に残るのは自分の身体一つと会得している技と精神性のみ。戦国の世で生き残ることの難しさは、すぐに身をもってわかることになる。

戦国時代は自衛隊隊員でも生き残ることが難しかったというのに、今度は高校生たちがタイムスリップ。スポーツ強豪校のアスリート揃いとはいえ、持っている武器が違いすぎる…。

タイムスリップしてすぐに現れたのは、織田軍の野武士たち。最初は落ち武者ゾンビかと思ったほど、命をかけた戦に次ぐ戦で、とうに人間性は抜けて無い。味方以外は斬る!斬る!斬る!の惨殺あるのみ。初っ端から結構グロ目のシーンが続く(きゃぁー、真剣佑君に三浦春馬さまよー、って思ってたらビックリするに違いない)。

次々、殺られていく普通の高校生たち(『悪の教典』を思い出していただければいいと思う)。最初はパニックになりながらも次第に自分の持てる力を使って、仲間たちと自分の命を守ろうとする各種クラブのアスリートたち。だが敵は圧倒的な力と武器をもって、高校を制圧。一部の学生たちは捕虜として連れ去られてしまう。

武将たちにすればいきなり現れた「面妖な城」と「面妖な着物を着たやつら」ということになるが、さすが、戦国の日本を統一した人物である後の徳川家康(現・松平元康)と織田信長は”会ってみたい、見てみたい”と思うのだ。

臆せずに面妖な城に現れた元康に、連れ去られた仲間を取り戻すのと引き換えに、歴史で習った戦法を伝えた蒼(あおい)。そうだったのだ。ここは戦国の中でも大きな歴史の転換点の一つ「桶狭間の戦い」直前の1560年だった。

桶狭間の戦い

桶狭間の戦い(おけはざまのたたかい)は、永禄3年5月19日(1560年6月12日)に尾張国知多郡桶狭間での織田信長軍と今川義元軍の合戦。2万5千人の大軍を率い尾張に侵攻した今川義元に対し、尾張の織田信長が本陣を奇襲、または正面から攻撃し、今川義元を討ち取った。
戦後、東海道を制圧していた今川家が没落する一方、織田信長は尾張を完全統一したうえ畿内制圧へと台頭するきっかけとなった。松平元康(徳川家康)は三河で独立を回復して信長と同盟を締結。戦国時代の転機となった。

Wikipedia

織田信長から豊臣秀吉~徳川家康へと繋がれ訪れる天下泰平の時代。
その良し悪しは別として、歴史の大事さを分かっている蒼。その中での仲間奪還、現代へ帰るという大きな目的のために少しずつ自分への自信と役割を知るようになっていく。


初っ端にも書いたけど、久しぶりに熱い高校生を、私は見た!そしてそれに感動し、ほろっと泣きそうになる自分を久しぶりに感じた!
SNSだとか、自己中だとか、虐めだとか、、大昔の「飛び出せ!青春!」みたいな純粋な青春的な思考は死に絶えたと思っていたけれど、違ってたわ、間違ってた。あの高校生独特の自己中心的な正直さ、それでぶつかっても一緒にやっていける純粋さがここ『群青戦記』にあった。”群青”とは”鮮やかな青色”。

群青

普通の時なら格好悪くてとても口に出せないようなことも、肝心な時にはちゃんと話すことが出来る。日頃はなんとなくライバル意識しているあいつらも、同じものを目指す大切な仲間であることを分かっている。

考太はロマンチストで蒼はリアリストだと、遥は言っていたが、蒼は肝心な時にも中に入り込むまで時間のかかる、すぐにはノレない慎重な男子なのだ。だが事の本質をきちんと考え、全体を把握できた後は頼りになる、最後までやり通す男だ。元康はそれを見抜いていた。

剣道部、野球部、アメフト、空手、フェンシング、ボクシング、薙刀、弓道、特進クラスまでもが、自分たちの得意な技を使って仲間を助けるため、現代に戻るために奮闘する。敵は戦国の武士。仲間の数はどんどん減っていく。そんな中、特進クラスの男子が現代へ戻る方法を考え付き準備を進める。彼らは果たして仲間を連れて現代に戻ることができるのだろうか?

各クラブごとや一緒になっての戦いや、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような現代に戻る方法は見ごたえがあって楽しめる。何より彼らの諦めない「一所懸命さ」に心打たれる。おりしも今日2021年7月23日は日本オリンピック開会式の日。真っ直ぐ前を見つめて、そのためだけに努力しやり通す力というのは、見ていて本当に清々しく感動できる。

実は家にも一人高校生がいるのだが、1週間に最低でも6日、朝5時45分に家を出て朝練に向かう。「なんで、そんなことが続けられるの?」と尋ねてみても「わからん」って…(;’∀’)
案外そんなものなのかも…

自分自身を信じてみるだけでいい
きっと、生きる道が見えてくる

  ゲーテ「ファウスト」より

 

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