『宇宙人ポール』(2011) - Paul –

ヒッチハイカーはエイリアン。彼を乗せたお茶目なオタク2人組はどこを目指すのか?

Paul

■宇宙人ポール - Paul -■
2011年/イギリス・アメリカ/104分
監督:グレッグ・モットーラ
脚本:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト
製作:ニラ・パーク、ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
製作総指揮:ナターシャ・ワートン、デブラ・ヘイワード他
音楽:デヴィッド・アーノルド
撮影:ローレンス・シャー

出演
サイモン・ペグ(グレアム・ウィリー)
ニック・フロスト(クライヴ・ゴリングス)
セス・ローゲン(ポールの声)
ジェイソン・ベイトマン(ゾイル捜査官)
クリステン・ウィグ(ルース・バグス)
ブライス・ダナー(タラ・ウォルトン)
ビル・ヘイダー(ハガード捜査官)
ジョー・ロー・トルグリオ(オライリー捜査官)
ジョン・キャロル・リンチ(モーゼ・バグス)
シガーニー・ウィーバー(ビッグ・ガイ)
カメオ出演
スティーヴン・スピルバーグ(本人の声)
コーリー・ウォーカー
ロバート・カークマン
ライアン・オットレー

解説:
「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」のサイモン・ペッグ&ニック・フロストのコンビが脚本・主演で贈る痛快SFコメディ。 (allcinema)

Contents

あらすじ:

Paul

イギリスに住むグレアムとクライヴの陽気な二人組は、幼い頃からの夢「コミコン」参加とUFOスポット巡りを果たすため、はるばるアメリカへとやって来た。
年に一度カリフォルニアで開催される「コミコン」を堪能した二人は、そのままキャンピングカーでUFOスポットへ出発。エリア51、ブラックメール・ボックスなどを見て周り、快調に車を飛ばしていた。

そんなある夜、追い抜いて行った車が事故を起こすのを目撃。二人は慌てて助けに走り寄る。しかしそこに立っていた事故の被害者は、なんと宇宙人だった-

コミコン・インターナショナル

毎年7月か8月の4日間、カリフォルニア州サンディエゴで開催される、漫画などの大衆文化に関するコンベンション、およびそれを運営する非営利団体。1970年、ゴールデン・ステート・コミック・ブック・コンベンションとしてシェル・ドルフらによって創設された。サンディエゴ・コミコン、または単にコミコンとも。
当初はコミックやSF・ファンタジー映画などが中心だったが、年を追うごとに文化の幅を広げ、1日に約12万5千人が来場するコンベンションに成長している。 (Wiki/コミコン)


見どころと感想

1947年、ワイオミング州ムーアクロフト。夜。
田舎の一軒家で飼われているゴールデン・レトリーバーの‘ポール’が外に出たがったため、出してやった少女タラ。様子がおかしいので外を覗くと、そこにはオレンジに光る大きな物体が‘ポール’めがけて、今まさに落ちてこようとしていた-

Paul

こんな『未知との遭遇(1977)』か「Xファイル(1993~2002)」のようなシーンで始まる本作。かの有名なロズウェル事件注)も1947年。
そのちょうど同じ頃にワイオミング州ムーアクロフトでもUFO墜落があり、怪我をした宇宙人が助けられ、収容された、と。その宇宙人の名は‘ポール’。その名を付けたのは、どうやら少女タラらしい。
そして宇宙人‘ポール’は、その後60年もの長い間、軍もしくは政府のために、色々な情報を与え続け協力する。
その中には、地球の大衆娯楽製作、例えば映画や海外ドラマの主人公を創作する監督にも助言、協力している。具体的にはヒーリングの力を持つエイリアンや、エイリアンに妹をさらわれたFBI捜査官などの設定だ。
こうやって長い間アメリカにその知識を教示してきたポールだったが、とうとう最後の情報開示の時が来てしまった。それは彼の「脳」。その秘密を知るために、命を捧げ解剖されることが決まったとき、ポールは逃げ出すことを決意。協力者の力を借りて、慣れない車で基地を飛び出す。そして事故った時に、たまたま通りがかったのがグレアムとクライヴだった。

ロズウェル事件

Roswell

1947年7月アメリカ合衆国ニューメキシコ州ロズウェル付近で、何らかの物体が回収されたことを含む、一連のできごと。
6月14日、農家ウィリアム・”マック”・ブレイゼルは、フォスター牧場で働いている間に奇妙な残骸があることに気づいた。それは広い範囲に散らばるゴムひも、スズ箔、いくぶん頑丈な紙、棒によって作られた輝いた残骸などであった。連絡を受けた保安官から軍へと情報はあがり、早々に回収される。回収先はエリア51(Area 51、正式:グレーム・レイク空軍基地)である。

回収物には地球上の物では無いような初めて見るものがあったり、死んだ生物のような物を見たとの目撃者も出たが、軍は墜落した「気象観測用気球」であったと発表する。
この出来事はすぐに忘れさられたが、30年以上後に突如注目を浴びることになった。
1978年、UFO研究家のスタントン・T・フリードマンは、1947年の事件発生当時、問題の残骸の回収に関わったジェシー・マーセル少佐にインタビューを行い、「軍は異星人の乗り物を極秘裏に回収した」と発表した。フリードマンの主張はテレビのドキュメンタリー番組で取り上げられることとなった。
そしてここに「政府の陰謀」説が生まれ、マニアの中で未だに議論され続けている。 Wiki/ロズウェル事件
エイリアンと政府の陰謀」についてはこちらの記事『フォーリング スカイズエイリアンとは!?をご参照下さい。

Paul

こうして宇宙人ポールとオタク二人組の珍道中が始まる。
行き先はポールが仲間と連絡が取れる場所。とにかく北へ走れとポールは言う。
しかしこの宇宙人。見かけはどこから見てもエイリアンだが、中身はどう見ても口の悪い地球人。パンツとサンダルを履き、Fの付く言葉を連発。60年以上もの地球暮らしで、すっかり中身は地球人となっており、皮肉屋で口は悪いが情に厚いところもあって、なかなかアメリカ西部人らしい。いいか悪いかはさておき..。

オタクな二人が長年夢を見ていたUFOスポット巡りの最中に、本物のエイリアンに出くわし一緒に車で旅することになったというのに、グレアムとクライヴは非常にクールで冷静だ。独特のイギリス英語で話し合い、エイリアンの態度に不満をぶつけさえする。しかし、だからこそ人間二人とエイリアンは徐々に固い絆で結ばれていく。
この旅は仲間を増やしながら続けられるが、数々の敵が追っており困難を極める。

政府側の捜査官がボスの命令により追ってくる。

Paul
これは指示を出すボスの手

途中で旅を共にすることになった娘の、怖い父親も追ってくる。

Paul

さぁ、どう見てもインドア派の二人が、この困難を切り抜け、無事にポールを仲間の元へ連れて行くことが出来るのか?

サイモン・ペグ(グレアム・ウィリー)

Paul


イギリスのコメディアン・俳優・脚本家。
テレビシリーズ『スペースド』で、『スター・ウォーズ』おたくの主人公を演じて注目される。この番組では脚本も書いている。『スペースド』の監督エドガー・ライトと、共演したニック・フロストと3人のコンビで製作したホラー・コメディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』もヒットした。この映画が縁で、ジョージ・A・ロメロの『ランド・オブ・ザ・デッド』にゾンビの役でカメオ出演している。
■主な出演作品
・チューブ・テイルズ -Tube Tales (1999)
・24アワー・パーティ・ピープル -24 Hour Party People (2002)
・ショーン・オブ・ザ・デッド -Shaun of the Dead (2004)
・ランド・オブ・ザ・デッド -Land of the Dead (2005)
・ミッション:インポッシブル3 -Mission: Impossible III (2006)
・ビッグ・トラブル -Big Nothing (2006)
・ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン! -Hot Fuzz (2007)
・恋愛上手になるために -The Good Night (2007)
・ダイアリー・オブ・ザ・デッド -Diary of the Dead (2007)
・スター・トレック -Star Trek (2009)
・アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの -Ice Age: Dawn of the Dinosaurs (2009)
・ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 (2010)
・タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 (2011)
・ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル (2011)

Wikipedia

ニック・フロスト(クライヴ・ゴリングス)

Paul


イギリスのコメディアン、俳優、脚本家。
イングランド、ロンドン出身。レストランでウェイターとして働いていたが、チャンネル4のコメディシリーズ『スペースド』に出演し人気者になる。
■主な出演作品
・ショーン・オブ・ザ・デッド -Shaun of the Dead (2004)
・キンキーブーツ -Kinky Boots (2005)
・ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン! -Hot Fuzz (2007)
・ペネロピ -Penelope (2008)
・パイレーツ・ロック -The Boat That Rocked (2009)
・アタック・ザ・ブロック -Attack the Block (2011)
・タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 (2011)
・スノーホワイト -Snow White & the Huntsman (2012)

Wikipedia

本作は、数々のSF、エイリアン作品にオマージュが捧げられており、数えながら観ていくという楽しみ方も出来る。そして何より主演のコメディアンの二人には「毒気」という物が無く、他のコメディ映画に比べて非常にソフトで観やすいものになっている(管理人は毒々しいコメディは苦手)。
例えるなら『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010)』の二人組に似ている。
そして、最後にとっておきのラスボスが登場する。その登場と最後に思わず手を打つこと間違いなしだ。

ではまた


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コメント

コメント一覧 (10件)

  • 宇宙人ポール 【映画】

    公開前から期待していた「宇宙人ポール」です。
     
    期待通り楽しませていただきました。
     
    「ショーン・オブ・ザ・デッド」が大好きで、
    そのサイモン・ペグが主演で、
    なんか「ショ…

  • いらっしゃいませ。
    コメントありがとうございます。
     
    テンプレートをお褒め頂きありがとうございます。
    この暑い夏、寄って頂いた方にせめて涼んで頂こうと模様替えいたしました。
     
    >ポールいいですよねぇ!
    本当に、色々なアプローチで、うならされて面白い作品というのは次々生まれますねぇ。
    物作りの仕事をされている方、全く尊敬してしまいます。
     
    それにしても東京はいいですねー、いろんなイベントがあって。
    おっと、ここからはぷっつんさんの所にお邪魔してコメントさせてもらいます。

  • いつの間にかみずみずしいブログに変わっていて素敵です!
     
    ポールいいですよねぇ!
    ユーモアのセンスも宇宙レベルなので最後にはポールに対して敗北感すら抱きます。
    もう一度観てみますね!

  • 黒 紅 茶さま
    初めまして。コメントありがとうございます。
     
    ほんとうにSF映画の集合体のようで、楽しめました。
    ラスボスのあの人は、よくこの役を受けられたなと思いましたが
    案外コメディな作品にも出てられるので、楽しんでおられるのかなと思いました。
    でも最後の衝撃度は、トム・クルーズが太ったハゲオヤジになって
    変なダンスを披露した時と1・2を争う[絵文字:i-179]
    実はあのトム・クルーズが一番気に入ってたりします。

  • こんにちわ。
     
    「ショーン~」や「ホットファズ」に比べるとかなりマニア度高めな映画ですよね♪ とくに、スタートレックで有名な某戦闘シーンの再現は何とも言えませんでした……。
     
    ラスボスがまさかのあの人だったことには本当に驚きました。しかもあんな最期を迎えるなんて……。もう少し活躍してほしかったと思いましたが、ギャラ的な問題があったんでしょうね。。。

  • ネクサス6さま
    いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。
     
    この作品、ずっと楽しみにしていてDISCUSで一番に登録していました!
    でも内容は調べないようにしていたので、とっても楽しめました。
    「ショーン・オブ・ザ・デッド」にも出演している、あの二人組いいですね。
    ソフトな英語で、笑わそう、笑わそうとしない二人の演出がとてもいい味でした。
     
    >届くの三ヶ月後
    ずら~りと並んだ予約ページが、見えます(超能力者風)。
    でも三ヶ月後と把握されておられるところが、整然としたブログを管理されているネクサス6さんらしいです。

  • 観ましたか「宇宙人ポール」。
    「ファンボーイズ」のような映画かと思ったけど、ちょっと違うようですね。
    「ショーン・オブ・ザ・デッド」も好きで、観るの楽しみにしているんですよ。
    DISCUSで予約いれているけど届くの三ヶ月後なんですよねぇ。前倒ししちゃおかなぁ。

  • しろくろshowさま
    こんにちは。コメント頂きありがとうございます。
     
    >ラスボスの大ラスはあまりなこと
    思わず「ウォッ!」と叫んでしまいました。
    でも中の人がとても楽しそうで、お元気そうで何よりです。
     
    >オトコ同士の微妙な間合いの友情
    これ、いいですよねー。なのでこの記事のカテゴリーはあえて「ドラマ」にしたんです。
    私は「ハネムーン」の場面の台詞回しがとても気に入りました。
     
    男二人の物語ならよくある話なんでしょうが、そこに宇宙人と数あるSF作品を絡めて、
    コメディタッチに仕上げたロードムービーというところが、異色でほのぼのした作品でした。
    PG12ということで基本、子供向けでは無いんですね。

  • こんにちは、ラスボスの大ラスはあまりなこと過ぎてビックリしましたねー・・・(ーー;) それとパロディ映画の括りではありますが僕は一風変わったロードムービーとしても気に入っています。
     
    なんていうかオトコ同士の微妙な間合いの友情というのもすごいリアルに描かれてて、そんなところも好きなのかもしれません。

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