もうすぐ続編公開『ザ・レイド』の監督ギャレス・エヴァンスが製作総指揮、監督がモー・ブラザーズ、おまけに日本が絡んだバイオレンス作品という事で、虎視眈々とレンタルが開始されるのを待っていた管理人。全編が真っ赤に染まる狂気の世界が繰り広げられるのかと思いきや、案外人間ドラマ的な部分もあり、ちと肩すかし。それでも充分手応えはありましたけどモ
■ KILLERS/キラーズ - Killers – ■
2013年/日本・インドネシア/138分
監督:モー・ブラザーズ(ティモ・ジャイアント、キモ・スタンボエル)
原案・脚本:ティモ・ジャイアント、牛山拓二
製作:千葉善紀 他
製作総指揮:ギャレス・エヴァンス
撮影:グンナル・ニンプノ
出演:
北村一輝(野村)
オカ・アンタラ(バユ)
高梨 臨(久恵)
ルナ・マヤ(ディナ)
黒川芽以(みどり)
でんでん
レイ・サヘタピー
■解説:
インドネシア映画「ザ・レイド」がセンセーションを巻き起こしたギャレス・エヴァンスが製作総指揮に名を連ね、日本とインドネシア両国の気鋭映画人の強力コラボで贈る戦慄のバイオレンス・ムービー。■あらすじ:
allcinema
東京に暮らす野村は、女性を拉致しては独自の美意識で処刑し、その映像をインターネットの動画サイトにアップする猟奇殺人鬼。一方ジャカルタのバユは、正義感あふれるフリー・ジャーナリスト。ある日、たまたまインターネットで野村のスナッフ・ビデオを見てしまった彼の中で、思いもよらぬ感情が芽生えてしまう。やがてバユも殺人に手を染めてしまい、その動画をネットにアップする。するとその映像を目にした野村が接触を求めてくるという予想だにしない事態が起こり、戸惑うばかりのバユだったが ―
キラー“ズ”ということで、この映画の主役は2人。どちらも人を殺す連続殺人鬼ではあるけれどタイプは全く違う。
この男は日本人の野村。
遺産があるのか金はある。家もある。見てくれもいい。それらを存分に使って女を誘惑、買う、拉致するなどの手を使い、殺人鬼のあじとである自宅に連れ込む。
好きにした後、殺人部屋ともいうべき、窓も無い無機質な部屋の中央に置いてある椅子に女を縛る。でも、この部屋。よく見ると日頃はリビングに使われているようで、壁にはテレビが掛けられてソファが設置してある。それらにビニールシートを掛けてビデオカメラを設置。恐怖の殺人ルームが出来上がる。
遺産があるのか金はある。家もある。見てくれもいい。それらを存分に使って女を誘惑、買う、拉致するなどの手を使い、殺人鬼のあじとである自宅に連れ込む。
好きにした後、殺人部屋ともいうべき、窓も無い無機質な部屋の中央に置いてある椅子に女を縛る。でも、この部屋。よく見ると日頃はリビングに使われているようで、壁にはテレビが掛けられてソファが設置してある。それらにビニールシートを掛けてビデオカメラを設置。恐怖の殺人ルームが出来上がる。
このビニール掛けを見てゾッとするのは、きっとアメリカドラマ「デクスター」の影響かも..。だからこの後どういう事が進められるのか想像は出来るんだけど、作品最初のこの“殺し”はえげつない。銃でもナイフでもなく「金槌」を使った、それも楽しみながら嬲り殺される様子は非情にインパクト大だ。『SHOCKER ショッカー』でも一番イヤなシーンだった
この時点で、この男の過去に何があったのかは分からない。けれども、きっちりと準備して無機質な部屋で無感情に殺人を楽しむ。その様子から、彼は根っからの殺人鬼NATURAL BORN KILLERである事が分かる。彼は生まれながらの殺人鬼なのだ。
だからなのか、遺体の始末の頃には高揚していた気分も冷めて、とても面倒くさそうに処理している様子が面白い。ここは日本だからねー、ほっとくわけにもいかないしねー。
こんな男でも、殺人鬼の顔が引っ込んでいる時は案外普通の男性だ。車に乗せた娼婦に対して少しオドオドしているようにも見える。ポン引きに殴られた時にも殺人鬼の顔は覗かせない。けれど花屋の久恵に声をかけた時。あれは断じて恋心からでは無くて単なる好奇心からであったのだろう。彼女とのやり取りは野村主導で行われ、自分の思うとおりに進んでいく事を楽しんでいた。久恵、弟ともに仲間にしたかったのか、仲間を探していたのか。とにかく野村は殺しを楽しむ仲間、競争相手、見せつけ自慢する相手が欲しかった。だから動画サイトに投稿していたのだ。
この男はジャカルタに暮らすバユ。
フリーの記者で、愛する妻と娘が一人のごく普通の良識ある男だ。今、仕事で追っかけているのは実業家ダルマの汚職事件。仕事に集中するあまり家庭を顧みず、その結果、妻からは最後通牒を言い渡されている。その上、ダルマ一派からも嫌がらせを受けて命の危険も感じており、崖っぷちな状態。
そんな時、ネットで見つけたのが殺人の様子を映したスナッフ・ビデオと思わしき動画。常識人である彼なのに、大きく見開いたまま目がその動画に釘付けに。
フリーの記者で、愛する妻と娘が一人のごく普通の良識ある男だ。今、仕事で追っかけているのは実業家ダルマの汚職事件。仕事に集中するあまり家庭を顧みず、その結果、妻からは最後通牒を言い渡されている。その上、ダルマ一派からも嫌がらせを受けて命の危険も感じており、崖っぷちな状態。
そんな時、ネットで見つけたのが殺人の様子を映したスナッフ・ビデオと思わしき動画。常識人である彼なのに、大きく見開いたまま目がその動画に釘付けに。
彼は何を見ていたのか?悲痛に叫ぶ下着姿の女性の姿?横に立つ不気味な男?
いや、彼が見ていたものは「暴力」そのものだ。金槌を手に何度も殴りつける非日常的でいて単純な暴力性。それによって解放される日常とストレス。彼が見ていたものは、自身から大きく解き放たれていくソレだったのだ。
だが彼は普通の男でもあった。家庭を持ち、目に入れても痛くないほどに愛している娘もいる。だから突発的なアクシデントが殺人に結びついてしまった時には、その場から逃げ帰りトイレで吐いた。けれど少し落ち着くと、その殺人を反芻したくなってきた。そしてソレを世界中に匿名で発信したくなったのだ。
その動画をめざとく見つけたのは日本のある男だった。
この2人が出会う。もちろん野村主導で。
生まれながらのサイコキラーと偶発的に自身の闇を見つけた男。タイプは違えど、どちらも人でなしには違いない。ただ一つ、違う点があるとすれば、それは守る者があるか、無いか。これが2人の運命を大きく変えたようにも見えたが、それは一時混じり合い、同じ最後を迎える。
1人は華々しい殺人鬼として、1人は愛する者を守り切った満足感とともに。
前半はサイコ野村のスプラッター、中盤からユーモアも交えたバユの葛藤、ラストは2人の邂逅という流れで進み、思っていたよりドラマ仕立てでサイコ・スプラッター・ホラーだけを期待して観ると少々退屈になるかも。
本作の出演者は北村一輝氏も含めてギャレス・エヴァンス作品に複数出ている面々。主演の2人は『ザ・レイド GOKUDO』にも。早くレンタルされないかなー。
観ました↓
『ザ・レイド GOKUDO』(2013) - The Raid 2: Berandal –
さて、全編の8割が壮絶アクションだった前作。続編である今作では多種多様なアクションシーンに加えストーリー性も付け加えられた。が、そうくどくは無いのでご安心を。…
コメント
コメント一覧 (3件)
冒頭のシーンはエグかったですねー。ベッドシーンから繋がる演出もビックリでした。
私が印象に残ったところは超サイコな野村がポン引きさんに殴られるところ。案外気の弱い感じに見えたんですが、隠していたのかなー。とにかく落とし前はきっちり付けてましたね^^;
とにかく手前勝手な理由で殺人を犯す野村とバユ2人は、理由はどうあれ「人でなし」でした。バユにも同情は出来なかったです。
KILLERS/キラーズ
KILLERS
2013年
日本/インドネシア
138分
サスペンス
R18+
劇場公開(2014/02/01)
監督:
ティモ・ジャイアント
(モー・ブラザーズ)
キモ・スタンボエル
(モー・ブラザーズ)
『マカブル 永遠の血族』
製作:
キモ・スタンボエル
ティモ・ジャイアント
…
完璧主義者と非完璧主義者。
二つの国を通じてのこの対比された二人の姿に面白さを感じつつも、ではこの二人が実際に会ったらどうなるのか、という興味を終盤で見せてくれて、尚且つブラックな形で終幕させる辺りに監督の演出の上手さも抱きました。
野村のサイコっぷりが凄まじかったですが、隠していた本性を露にするトイレでの殺人シーンが一番印象に残っています。
冒頭はかなりエグい描写でしたが、その後は控えめに作られていましたね。