謎は謎のまま・・『エコール』(2004) - Innocence –

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前に観た時はあまり思わなかったけど、今となればちょっとまずいような作品『エコール』。秘密の寄宿学校で暮らす少女達の1年を追っていく内容で、何が起きるわけでも無いのに謎だらけでよく分からない・・ その謎は説明されないままラストまで。夢を見ていたのかというような映画です、これは。

■エコール - Innocence -■

Innocence

2004年/ベルギー・フランス/121分
監督:ルシール・アザリロヴィック
脚本:ルシール・アザリロヴィック
原作:フランク・ヴェデキント「ミネハハ」
製作:パトリック・ソベルマン
撮影:ブノワ・デビエ
音楽:リチャード・クック

出演:
ゾエ・オークレール(イリス)
ベランジェール・オーブルージュ(ビアンカ)
リア・ブライダロリ(アリス)
マリオン・コティヤール(エヴァ)
エレーヌ・ドゥ・フジュロール(エディス)

解説:
ギャスパー・ノエの公私にわたるパートナーであるルシール・アザリロヴィックが、フランク・ヴェデキントの短編を基に、無垢な少女たちに宿る美しさとエロティシズムを女性監督ならではの繊細な映像表現で描き出したミステリアス・ドラマ。
(allcinema)

Contents

あらすじ:

森の奥深くにひっそりと佇む洋館。眠っている間にここに連れてこられた少女イリスは、きちんと制服を着た少女達に歓迎される。ここは少女達の寄宿学校のようなところで、生物とダンスを習い、水遊びをする。家に帰りたいと訴えながらも皆と暮らし始めたイリスだったが ―


感想

ネタバレありだけど、よく理解できていないのでネタバレになっていないかも

苔むし、蔦の絡まる高い壁に囲われた森の一画。
敷地の中には5棟の寮と大きな洋館が1棟。5棟の建物にはそれぞれ6人の少女と使用人が。少女達は一つずつ歳が違い、上の子が下の子の面倒を見る。彼女たちの一日はダンスレッスンや生物に関する授業以外は、森の自然の中で伸び伸びと遊ぶこと。ただし、家には帰れないし、誰も訪ねてこない。壁の外に出ることも許されない。それは規律違反であり、「服従こそが幸福への道」との教えに背くこと。

Innocence

長い髪を束ねたリボンの色で年齢を分け、緑の森や湖で無邪気に遊ぶ少女達。
だが最年長になると、夜9時に授業以外で洋館へ。何をしに行くのかは下の子達に説明はないし、聞いても答えてくれない。

だいたい、この学校は何なのか。学校といっても教師は2人で教えているのはダンスと生物についてだけ。上の子が下の子をよく面倒みているから、よく纏まってはいるけれど、そんな授業だけでは学校とは言えない。

Innocence

この子達が学校へ入学する様子もかなり変わっている。
小さな棺に服を脱がされた状態で学校へひっそり到着する最年少の少女。上から2つ目の歳になればイベントがある。同じ歳の5人のうち、1人だけが校長に選ばれて外の世界に連れて行ってもらえる。ただし、そこがどこかは分からない。

1人入学すれば、最年長の子が1人出て行く。その卒業のような様子もかなり変わっている。洋館には地下通路に繋がるドアがあり、その地下通路の先には地下鉄の駅がある。誰も乗っていない地下鉄電車。その電車は5人の少女と引率する教師を乗せて静かに走る。到着した駅の上には、見知らぬ街の広場があり、少女達は噴水を見つけていつものように無邪気に水で遊ぶ。

ここで終わった―

Innocence

少女達が学校にいる間、外の人と会うことは無いが、最年長の子達がダンスを披露する時だけは別で、顔の見えない紳士達が大勢見物にやって来る。この時の収益で学校を運営しているらしいとの説明はあるが、一体、何を目的とした学校なのか?この紳士達だけのために秘密に作られた学校なのだろうか。

卒業した後、彼女たちが行く先は?噴水でじゃれ合っている時には引率の教師の姿が消えていた。まさか、あそこに置き去りに?

Innocence

「いつか、この子達も私のようになるんだわ」と泣き崩れる教師。この事から彼女もここの卒業生だったことが想像されるが、どうして2人は教師として戻ったのか。外の世界で生きていけなかった?だいたい「外の世界」とはどこを指すんだろうか。

少女達の世話をする使用人の老女達。彼女らもおそらくここの卒業生。とすると、教師役を終えたなら、最後は世話役になるんだろうか。

なーんの説明もないので分かりません。
ただ、この学校が少女から老いるまでの女性の一生を閉じ込めたような場所であること。所々で合間に挟まる水流の描写は流れがとても早くて、女性の一生もあっという間と言わんばかり。それなのにこの学校のモットーが「服従こそが幸福への道」である事に少し怒りを覚えるが、彼女たちの身の上さえ分からない有様なので、そう思うことさえ憚られる。

Innocence

同じ少女不思議系映画に『ピクニックatハンギング・ロック』(1975)がある。これも大概、頭を悩ませたものの、まだストーリーがあったし、考えの分かる人物も出てきたから今思えば随分ましだワ..
ちなみに『ミネハハ 秘密の森の少女たち』もこの『エコール』と同じ原作を映画化した作品です。


このブログの少女たち

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 本文ないで「さん」が抜けておりました(-_-;)。大変失礼いたしました。

  • 人身売買ですか、なるほどー。
    弟の心配はしているのに親の話が出てこないから、養護施設の少女なのかとは思っていたんですが、、
     
    >美しい森と残酷な死の影
    確かにこれは童話や昔話のようでもありますね。晴雨堂が考えられた邦題は、そういった響きが感じられます。

  •  幻想的で綺麗な少女の学園に潜む死の影と人身売買の臭い。
     
     美しい映像に時おり垣間見させる残酷世界、私はなかなか上手いと思います。
     
     原題は「イノセンス(無垢)」ですが、邦題の「エコール(学校)」も良いタイトルです。
     できれば、邦題は日本語タイトルにしてほしかったが。たとえば「をとめの森」「天衣精舎」、ダサいかな。

  • エコール

    大人に孵化する前の、純粋無垢な少女たちの世界。
    少女時代の純性を描いた作品で、決してペドフィリア的な作品ではないですね。少々足フェチな部分はありますが。
    森の中の学校という雰囲気は、なにやら怪しくそしてちょっとファンタジック。集められた少女達は6〜12歳くらいまでで、主人公イリスは棺にいれられて運ばれてきた。この時点でもう不自然さでいっぱいなのですが、決められてるという色のリボンを主人公…

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