今度はどんなお化け屋敷かなっと軽い気持ちで観始めたが、これはっ・・　よくある心霊ホラー屋敷で始まり、途中でググッと意外な展開に。ストレスにさらされた現代の家族に降りかかる本当の恐怖と絶望。この家族に希望はあるのか―　それはご覧になって確認を。
　

■ダークスカイズ　- Dark Skies -■
2013年/アメリカ/96分
監督：スコット・スチュワート
脚本：スコット・スチュワート
製作：ジェイソン・ブラム
製作総指揮：スコット・スチュワート 他
撮影：デヴィッド・ボイド
音楽：ジョセフ・ビシャラ
出演：
ケリー・ラッセル（レイシー）
ジョシュ・ハミルトン（ダニエル）
ダコタ・ゴヨ（ジェシー）
ケイダン・ロケット（サム）
Ｊ・Ｋ・シモンズ（ポラード）
Ｌ・Ｊ・ベネット
リッチ・ハッチマン

■解説：
「パラノーマル・アクティビティ」シリーズのプロデューサー、ジェイソン・ブラムが、「レギオン」「プリースト」のスコット・スチュワートを監督に迎えて放つホラー・サスペンス。郊外住宅地に暮らす平穏な一家を襲った不可解な現象の顛末を心霊ホラー・タッチのアプローチで描き出す。出演はケリー・ラッセル、ジョシュ・ハミルトン。　(allcinema)
　
■あらすじ：
郊外の閑静な住宅街に暮らす夫婦と息子2人のバレット一家。失業中の夫を妻が支えるが、ある時から家の中で奇妙な現象が起き始める。最初は子供のイタズラかと思われたが、夜中に下の息子の脇に立つ不気味な人影を妻レイシーが目撃し ―

多くの家族が幸せに暮らす郊外の住宅地。
バレット一家もその一員だが、夫ダニエルは失業中で妻レイシーが家計を支えており、ダニエルは求職に明け暮れる毎日。でもなかなか上手くいかず、妻への負い目もありストレスがたまる一方だ。妻のレイシーも家事と仕事の両立に疲れ切っており、同じくストレスを抱える。そんな2人だからちょっとした事でも言い争いになる。
それを聞いている2人の息子ジェシーとサム。ジェシーは13歳で大人しいながらも反抗期。サムはまだ小さいが、両親の喧嘩を聞いて心配するぐらいにはなっている。それをなだめる兄ジェシー。
　
どこにでもいる家族。現代のストレスにさらされ、いつ脱出出来るかも分からない。お互い愛し合っているのに、うまく表現することが出来なくなっていく、ぎこちない夫婦。
　
そんなバレット一家で、ある夜、奇妙な事が起きる。
夜中にふと何か物音がした気がして、キッチンに降りてきたレイシーが見たものは、冷蔵庫が空っぽになるほどに食べ散らかされ、足の踏み場も無いほどに荒らされていたキッチンだった。警察に相談するも大して役に立たず。
しかし、これは始まりに過ぎなかったのだ。
　
侵入者の存在に怯えた夫婦は、節約のために解約していたホームセキュリティを再度契約し、各部屋にカメラを設置するが何も映らない。そうするうちにも、奇妙な出来事は起こり続け、ますます酷くなっていく。そして被害が家の中の物に止まらず、家族の身に及ぶようになり、レイシーはネットで検索。数々の怪しいサイトの中に、自分たちと同じ経験をした人を見つけ訪ねる決心をする―

　
さーて、普通ならここで登場するのは霊能力者というのが定番だけど、本作では違う。バレット一家と同じ経験をし、他にも同じ体験のある人の資料を持つある人物。彼の説明はあまりに荒唐無稽だったが、バレット家に起きたことを次々に言い当てられ、信じざるを得なくなる。そして、この事象に対するためには家族が一つになり、自分たちで自分たちを守るしか手立てがないことも知る夫婦。
ここに来て、今までのストレスや諍いは一切捨て去って敵に挑むことになった一家は、元の生活を取り戻すことが出来るのだろうか。
　
オカルトものとばかり思っていたのでここまでの展開も意外だったが、ここからも切ない展開に。ラストでは一応、希望も持たせているが、あまり期待できそうにない..。
ここら辺もよくある心霊屋敷のお話とは違っている。そして奇妙な出来事なんかは取りあえず置いといて、この一家に起きた悲劇は、何故かとてもリアル。この敵を違うものに置き換えてみたら？世界各地で起きては報道される犯罪と同じになるのでは。
こんな事もあって観終わった後、ただのホラーじゃなく、どこか悲しい気分に見舞われる。この家族になんとか良い結果が出ればいいが―