“1作目は案外きちんと作られていたんだ”シリーズ。続編が出るたび、「ヘンなの」という感想のまま観なくなったシリーズ映画『スピーシーズ』だったけど、久し振りに1作目を観てびっくり。ストーリーはきちんと流れ、有名なあんな人やこんな人も出ているし、『エイリアン』を彷彿とさせるシーンがあったり、何よりモンスターデザインはギーガーときた。
■スピーシーズ 種の起源 - Species -■
1995年/アメリカ/109分
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:デニス・フェルドマン
製作:フランク・マンキューソ・Jr 他
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
音楽:クリストファー・ヤング
モンスター・デザイン:H・R・ギーガー
出演:
ベン・キングズレー(フィッチ)
マイケル・マドセン(プレス)
アルフレッド・モリナ(スティーブン)
フォレスト・ウィテカー(ダン)
マージ・ヘルゲンバーガー(ローラ)
ナターシャ・ヘンストリッジ(シル)
ミシェル・ウィリアムズ(シル少女期)
■解説:
宇宙からの情報を基に人類が作り出した生命体の暴走を描くSFスリラー。(allcinema)
Contents
■あらすじ:
宇宙の未知の存在からDNA塩基配列を含んだメッセージを受けたSETI(地球外文明探査)のチームは、人類のDNAと掛け合わせて新たな生命体を誕生させることに成功する。シルと名付けられた生命体は見かけは可憐な少女だったが、恐るべき力を宿していることが分かる。シルを抹殺することに決めたチーム。しかしシルは暴れだし、その混乱の中、研究所を逃げ出してしまう ―
20年もの間、宇宙に向けてメッセージを流し続け、ある日とうとう未知の知的生命体から返事が送られてくる。その中に明らかに人類とは違うDNA情報がメッセージとして入っていたりしたら、もう関係科学者は「ィヤッホ~」状態になるに違いない。
こうやれば、あーなるんじゃないか?こうすれば、これが出来るんじゃないか?
ソレが何者かも分からないまま、あろうことか人類のDNAと合体させて、数百もの受精卵を“作り”、たった一つだけが成功する。
シル
外部との接触を一切断った限られた空間で育てられた彼女。昆虫の飼育ケースのような場所に入れられ、24時間監視される。成長スピードは人間とは比べものにならないほど速く、怪力、知恵もある。感情については未知であるが、人間と全く同じとは思えない。成長するにつれ、シルは研究チームの手に余るようになっていき、脅威の対象となる。チームは抹殺を決行しようとするも失敗。そのすきに研究所から逃げ出してしまったシル。
この地球上に一人しかいない、「種の起源」である生物が成長し大人になった時、次に取る行動は「種の存続」=生殖だ。そのために自分の魅力を異性にアピールする行動は、人間だけに限らない。地球で言うところの哺乳類とも爬虫類とも分からないシルは人類のDNAを持ったことにより、人類と生殖行動を取ることも可能だ。
このただ一つの目的を達成するために、邪魔する者は許さない。唯々、機械的に必要な物を手に入れ、不要と判断した者を殺戮していくシル。
ここまで観て思いだしたのが、割と最近のホラー作品『スプライス』。
こちらは天才遺伝子科学者夫婦が、人間と動物の遺伝子を合成させてハイブリッド・アニマルを産み出す禁断の技術を成功させる。で、やはり成長し、生殖に目覚めた彼女をもてあまし、遂には彼女の持つ未知の力に圧倒され、、というストーリーだった。
この「作ってみたものの、手に余るようになったから抹殺してしまえ」という流れがどうも気にくわなくて、実は本作『スピーシーズ』も『スプライス』もあまり好きじゃない。それでも本作は『スプライス』に比べて、シルが行動する範囲が広く、抹殺チームのメンバーにも魅力があるからまだましかな。『スプライス』は閉ざされた場所で夫婦だけだから、どうも雰囲気が内向きで暗いんですよね。
追う者
後半は懐妊することだけを目的として街をさまようシルと、それを追うチームの追走劇となる。追う側は個性溢れるメンバーが揃う。が、シルが街に溢れる情報をどんどん吸収し、より知恵を付けていくのに対し、ぎりぎりのところで裏をかかれ、退化したかのような人間チーム。「シルには罪悪感が無いから、いとも簡単に邪魔な人間を殺していくんだ」なんて言う科学者チームのリーダー。この彼は自分のしでかした、そもそもの原因を忘れているようだ。
うるさくないぐらいに、それぞれのメンバーが紹介されながらの追走劇から、シルの懐妊までがうまく纏められ、シルは出産のために下水溝の奥深くに入り込んでいく。この下水溝にいくまでの狭い通路が、『エイリアン2』を彷彿とさせる。中尉と女兵士が自爆した『エイリアン2』ではエイリアンから逃げていた人間だったが、本作では逆で追っているところも面白い。
そしてラストのクライマックスへ。子供の描写はとてもいいのに、ラストはあっさり目で少し拍子抜けする。
H・R・ギーガー
シルことエイリアン・モンスターのデザインはH・R・ギーガーで、言わずと知れた「エイリアン」のデザイナー。「エイリアン」の造形は無駄が無く、ツルッとしていると同時に何かネッチョリしていて、あの人類の敵ゴ○ブリに似ているような気がする。絶対的な恐怖と絶望を覚えさせるところなんかが
「エイリアン」に比べてこちらのモンスターはやたら装飾物が多くて、ちょっとなー、顔もグロテスクだし..。そう言えばアレに似てる。『人喰い人魚伝説』のラスボス。
シルは人間とのハイブリッドだから仕方ないのかな。
それにしても気になるのはシルのDNA情報を知らせてきた主だ。完全に地球を乗っ取る事が目的だったんだろうけど、どんな見た目と力を持っているのだろうか。
さて、CSで放送された『スピーシーズ』3作品。2と3も観ようかナ。送り主は出てこなかったと思うけど
『エイリアン』(1979) - Alien
この映画からじゃないかなぁ、宇宙人を「エイリアン」って呼ぶようになったのは。それほどに強烈な怖い異星人を、それも人間はたった一人の異星人にさえかなわない、と…
『人喰い人魚伝説』(2000/TV Movie) - She Creature –
「人魚は本当にいる。妻は人魚に殺された」とおかしな話を始めた老人。最初はバカな話と取り合わなかった2人だったが、では、と奥の部屋に案内され、水槽の中の鎖で繋がれた人魚を見せられる-
コメント
コメント一覧 (4件)
綺麗ですよね。
どこか人工的でもあり、「心」が足りないエイリアンとしてピッタリでしたよね。
続編の2にも出ているようですし、2はもう一度観てみようかなー、とも思ってるんですが、
どうなりますやら・・
あ、そうなんですよね、1作目は結構面白くてしっかり作られています。
そして、シルの女優さんが綺麗過ぎて、結構ドキドキしながら見た記憶があります(笑)
その後、量産される続編?とも言いがたい作品は2作目くらい見てやめてしまいましたね。
エイリアンの造形は、なかなかのものでした。
マドセンさんが若くてすっきりしていて、ちょっと陰があるものの「善い人」役で驚きました。
他にも有名な人が出ていて、これにも驚きましたが、それだけこの作品は気合いの入ったホラー作品だったんでしょうか。当時、評価もそこそこ高かったようですね。
確かに、ベン・キングズレー氏は多種多様な作品にお出ましですね^^ 悪役も多いし
『スプライス』ふじつぼさんも、あきませんでしたかー。
なんかね、見終った後、気分悪かったですよ。結局、記事にせずじまいでした。
そうそう、これ1作目はよかったんですよねえ、実に。
が、後に続くものたちは…の典型例ですな。
話は分かりやすいし、テンポもイイし、ナンパ(?)される
野郎どものチョイ間抜けぶりもいいし、でしたな。
それにしても、キングスズレー出てたんですな。
気付かんかったです。しかし、あの人も出演作選ばん
俳優ですなあ。大物のくせに。
スプライス、私もあきませんでした…。