リンチ × レフンな世界『ロスト・リバー』(2014) - Lost River

ライアン・ゴズリングがリンチ監督『マルホランド・ドライブ』のように撮ったという作品です。もうここで好き嫌いやアレルギーが出てくる方もおられるかと思いますが、リンチ的であるだけでなく、これに明確なレフン監督ワールドなものも混じり合って、独特の世界が広がっています、間違いなく・・・

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■ ロスト・リバー - Lost River – ■
2014年/アメリカ/95分
監督・脚本:ライアン・ゴズリング
製作: マーク・プラット 他
製作総指揮:ゲイリー・マイケル・ウォルターズ 他
撮影:ブノワ・デビエ
音楽:ジョニー・ジュエル
 
出演:
イアン・デ・カーステッカー(ボーンズ)
シアーシャ・ローナン(ラット)
クリスティーナ・ヘンドリックス(ビリー)
マット・スミス(ブリー)
エバ・メンデス(キャット)
レダ・カティブ(タクシー運転手)
ベン・メンデルソーン(デイヴ)
バーバラ・スティール

解説:
「ドライヴ」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のライアン・ゴズリングが、記念すべき監督デビューを飾ったミステリアス・ドラマ。ゴーストタウンと化した廃墟の街に暮らす少年が、衰退の原因である湖底に消えた街“ロスト・リバー”の謎を探るさまを、美しく幻想的な映像で描き出す。主演はTV「エージェント・オブ・シールド」のイアン・デ・カーステッカー、共演にクリスティナ・ヘンドリックス、シアーシャ・ローナン。
 

あらすじ:
経済破綻とともに住人が次々と去っていったとあるゴーストタウン。この街に取り残され、2人の息子を抱え極貧生活にあえぐシングルマザーのビリーも、自宅に住み続けられるかの瀬戸際に追い込まれていた。そんな中、10代の息子ボーンズは、近所に住む少女ラットと知り合い、次第に心通わせるようになる。ある日ラットは、貯水池の底に沈んだ街の一部“ロスト・リバー”には、この街を衰退に追い込んだ呪いの秘密が隠されていると語る。そこで、自らロスト・リバーの秘密を探ろうとするビリーだったが ―
(allcinema)


ま、考えてみるとレフン監督、ゴズリング主演『オンリー・ゴッド』の感想に“こんなところにリンチ・ワールドがっ!”って書いてるわ、私。端正な男前に似合わず、リンチ・ワールドがお好きなご様子のゴズリング初の監督作品ということで、当然、方向性はそっちを向いている。そこに、おそらくリンチ的なモノをお持ちのレフン監督独特の“何か”にも影響を受け、さてゴズリングさん独自の新しい世界がが開拓出来たのでしょうか(-。-)y-゜゜゜
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古き良きアメリカを彷彿とさせるゴースト・タウン。ここをまだ出ていくことが出来ない2つの家族。1つは母親ビリーと2人の息子。もう1つは祖母と孫娘の2人の家族。そんな場所に住む者にさえ、金を貸している銀行は当然容赦なく取立てる。取立てるモノが無くなれば追い出されるのだ。別れた夫の借金に苦しむビリーは銀行のローン担当デイヴに仕事を紹介されるが、とてもまともなものには見えなかった ―

lost-river_movie2014_18-2cどこか地方にあるゴースト・タウンなんだろうけれど、登場人物たちは貧しくスマホや最新家電など出てこない。古い車も故障で動かず、それらのせいもあってか時代不明な設定だ。過去のお話なのか、現代なのか、もしかしたらプチ未来なのかもしれない。

出てった父親の借金を返すため、ビリーの上の息子ボーンズは近辺の廃墟から鉄屑を集めては売ってお金にする毎日。だがそれも、この辺りに蔓延るギャング、ブリーが全部自分の物だと邪魔をする。かといって出ていくお金も車も無いビリー家。それで仕方なくビリーは紹介された仕事先の奇妙なクラブに足を運ぶことに。

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さ~て、ここは、めくるめく(って言うほどでも無い)倒錯の世界が広がる怪しいクラブ。H系というよりは残酷で拷問な趣味の人が集まる場所らしい。出し物はその趣味にふさわしいスプラッター劇で、なかなか本格的に出来ており、さながらスプラッター映画の実写目の前編といったところ。4Dでもあるので、実際に血しぶきが観客席まで飛んできて浴びることが出来るという、なんだか、嬉しいのかイヤなのか、ただのホラー好きにはよく理解できない世界が広がるクラブなのだ。

lost-river_movie2014_19cもちろん奥にはちょいH系な個室もあるが、これも基本は残酷系であるらしい。ちょっと私には言葉の説明だけでは理解できなかったのですが、実際に女性を触ることは出来ないものの、誰にも見られない所で好き勝手やっていいという個室だそう。あの端正な男前で甘いマスクのゴズリングさんがどうやってコレを思いついたのだろうか?と小一時間問い質してみたい設定である。

クラブの大部屋でひとしきり歌った後、この奥の間にやって来て、お目当ての女性の前でくねくねと踊ったデイヴさん。そういや、奇妙で一風変わった歌やダンスはリンチ監督作品には無くてはならないモノである。もちろんレフン監督『オンリー・ゴッド』にも似つかわしくない歌とクラブの場面が登場した(そう言えばさー、自分の腕をロープで縛ったままにして女性を部屋に呼んでたよねー。あれも倒錯の一種だろうか・・?)
ゴズリング監督も今後そういう方向性にいくのだろうか?

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一方、ビリーの上の息子ボーンズは、近所に住む少女ラットと仲良くなり、徐々に家族からの独立を意識し始める。お年頃になったらいつまでも母親にくっついているわけにはいかないのだ。それはラットにしても同じで、親身に面倒をみている祖母から目を離す時間が増えてきた。
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かといって、自由でありながらも息の詰まるようなこのゴーストタウンから2人は脱出出来ない。だが、ボーンズはラットから湖に沈んだ町の物語を聞かされ、その謎を解き明かせば明るい未来が開けると思い込んでしまう。
だが、そんなファンタジーなお伽噺が実際にあるか?
――お伽噺は無かったんだけど、未来に向けた行動を起こしたときに、ようやく彼らは前進することが出来た。悲劇も起きたが、その悲劇は彼女にとっては救いであったかもしれない。

というようなお話。
ホント、最後までリンチ・カラーは案外色濃くて、大きく次に踏み出す時、古いものは綺麗さっぱり焼かれます・・・(さぁ、なんの作品でしょう?答えは一番下に)
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 icon-film  ライアン・ゴズリング
Ryan-Gosling-cカナダの俳優。
子役からスタートさせ、カナダのテレビシリーズなどで活躍。1993年から2年間『ミッキー・マウス・クラブ』に出演(同期にはジャスティン・ティンバーレイク、ブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラ、ケリー・ラッセル等がいる)。1996年にロバート・ティネル監督作品の『フランケンシュタインと僕』で映画初出演を果たす。
1997年にロサンゼルスに移り、サンダンス映画祭で賞を受賞した『The Believer』で映画初主演を果たし、批評家から高い評価を受ける。2006年公開の『Half Nelson』でインディペンデント・スピリット賞主演男優賞を受賞。また、史上7番目の若さでアカデミー主演男優賞にノミネートされた。

■主な出演作品
・タイタンズを忘れない(2000)
・完全犯罪クラブ(2002)
・きみに読む物語(2004)
・ステイ(2005)
・ラースと、その彼女(2007)
・幸せの行方…(2010)
・ブルーバレンタイン(2010)
・ラブ・アゲイン(2011)
ドライヴ(2011)
・スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜(2011)ロスト・リバー [DVD]
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命(2012)
・L.A. ギャング ストーリー(2013)
オンリー・ゴッド(2013)
・ロスト・リバー(2014)
・マネー・ショート 華麗なる大逆転(2015)
・ブレードランナー2(2017)
(Wiki:ライアン・ゴズリング)

 

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でも、全体的な仕上がりはカラックス監督『ホーリー・モーターズ』みたいな雰囲気もある気がする…