『トロール・ハンター』(2010) - Trolljegeren –

ノルウェーの森に住むと古来より言い伝えられている伝説の妖精トロール。
本作は、この誰もが愛するトロールの撮影に世界で初めて成功した記録映像である。


 

The Troll Hunter_25

 
■トロール・ハンター - Trolljegeren -■
2010年/ノルウェー/104分
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:アンドレ・ウーヴレダル
製作:ジョン・M・ヤコブセン
 
出演
オットー・イェスパーセン(ハンス/トロール・ハンター)
グレン・エルランド・トスタード(トマス)
ヨハンナ・モールク(ヨハンナ)
トマス・アルフ・ラーセン(カッレ)
ハンス・モーテン・ハンセン(チャーリー・ホロウェイ)
ショーン・ハリス(フィン・ハウガン)
 
解説:
ムーミンのモデルであり、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』、『となりのトトロ』などの大ヒット映画にも登場し、ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズでは定番の敵キャラの座を確立するなど、ファンタジーでは欠かせない存在として知られているトロール
本作は、北欧ノルウェー王国政府が国家機密として民間人に隠し続けられてきたこのトロールの存在を、ある男の内部告発により記録する事に成功した衝撃的な映像である。
  (『トロール・ハンター』公式サイトより)
 
あらすじ:
The Troll Hunter_08ノルウェーにある町ヴォルダ。
最近この町で大きな問題になりつつある「熊の密猟事件」に密着し、ドキュメンタリーを撮っている3人の学生トマス、ヨハンナ、カッレ。3人は、密猟者を追う地元の熊猟師とともに行動している時、彼らも知らないという不審な男ハンスを見かける。どこか怪しいと感じた3人は、ヴォルダから離れた森へとハンスの後を追う。
夜、真っ暗な森で機材を手にハンスを探してうろついていると、とうのハンスが向こうから走ってきた。
「逃げろー!トロールだーっ!!」


英題: The Troll Hunter


 
最近何かと話題の北欧作品。
EUR_location_NORプロメテウス -Prometheus』主演のノオミ・ラパスが出演する3部作『ミレニアム -Millennium』はスウェーデン作品。怖いサンタクロースの映画をファンタジーに仕上げた『レア・エクスポーツ -Rare Exports』はフィンランド。
そして残るノルウェーから届けられたのがこの『トロール・ハンター』。
ミレニアムが探偵もの(実際にはサスペンス・ミステリー)、レア・エクスポーツがエキゾチック溢れるホラーなファンタジーだったので、このトロールを扱う本作もてっきりファンタジーと思い込んで観始めた自分(いつもの通り前情報はほとんど未入手)。始まって5秒でびっくり
 

2008年10月13日
フィルムカメラーテネ社に283分のテープが匿名で届いた
この映像はそれを編集したものである
映像には一切、手を加えていない
専門家のチームが1年以上費やし、映像の信憑性を検証した
その結果、本物と断定した

いきなり、こうですよ。
あれか、昨今流行のモキュメンタリーなのか
うーーー、、これはハズレかもしれないと頭の中の誰かがささやく…。
今思えば、モキュメンタリーホラーの金字塔『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999)』からこっち、『REC/レック(2007)』『パラノーマル・アクティビティ(2007)』などの話題作の陰に隠れて、B級ホラーの半分はこのタイプなのではないかと言うくらいの乱立騒ぎ。今夏も『スピーク(2011)』で痛い目をみたばかり..。
 
しかし、この後、それらは杞憂に過ぎないことが分かっていく-
 

  

 
The Troll Hunter_23ヴォルダ大学の学生トマス、ヨハンナ、カッレの3人は、最近ニュースを賑わしている「熊の密猟者」についてのドキュメンタリー作品を制作していた。熊ハンターは特別な資格を持ち、ルールに則って一定の時期のみ猟が許されている。しかし最近、次々に至る所で熊の死骸が見つかり、密猟者がやって来ていると話題になっていたのだ。
そのうちハンター達の間で、見かけない男がうろついているとの話が広まり、その男こそが密猟者であるとして追跡が開始されていた。それに随行しインタビューをする3人の学生。
そんな折り、ハンター達が集まる中に見かけぬ怪しい男を発見。その男こそ密猟者ではないかと考えた3人は、男の後を追い始める。何度もフェリーを乗り換え、いくつもの山を越え、森の奥深くへと進んでいく男、ハンス。3人の学生達が、彼はただの密猟者ではないのでは?と思い始めた矢先、それは唐突に現れた。
 

トロール
God_kväll,_farbror!_Hälsade_pojkenトロールまたはトロル(troll)とは、北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種。
一般的なトロールについてのイメージは、巨大な体躯、かつ怪力で、深い傷を負っても体組織が再生出来、切られた腕を繋ぎ治せる。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴、もしくは粗暴で大雑把、というものである。
デンマークでは白く長いあごひげの老人として、エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、グドマンストルップのトロルは背が高く、ノルウェーでは女のトロルは美しく長い赤毛をしているとされた。
ノルウェーの人の中では、現在でもこのトロールを信じている人が多い。日常生活でふっと物が無くなった際には「トロールのいたずら」と言われる。また、ほとんどの御土産物屋にトロールの人形が販売されており高い人気をはくしている。
 
ヘンリック・イプセンの劇詩『ペール・ギュント』に登場するトロールは不死で、自分たちの国を愛する者として描かれている。J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』では、太陽光を浴びると石化するとされた。続編の『指輪物語』では、冥王サウロンによって生み出された凶暴な上位種「オログ=ハイ」が登場。その身を巨大な剣や鎧で武装しており、知能、戦闘能力も向上。また太陽光を浴びても石化しない。サウロン配下の中でも単純な近接戦闘においては無類の強さをみせるも、力の源泉たるサウロンが滅びると、共に滅んだ。J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』でも巨漢の一種族として登場し、悪臭を放つとされる。 (Wiki:トロール)

 
The Troll Hunter_18最初は逃げるのに精一杯だったハンスと学生達。だがハンスに「トロール」だと言われても姿を見なかった3人は信じなかった。
しかし仕留めなくてはいけないと話すハンスに興味を持った3人は、ハンスに随行する許可をもらい、この「トロール・ハンティング」に参加して映像を残すことになる。
 
ハンス談:
トロールは実在する。政府の努力により表向きはトロールは伝説の中にしか生きていない。通常は政府の手によってテリトリーの中に閉じ込められており、人と接することが無いからだ。テリトリーを出るトロールがいた場合は、この国ただ一人のトロール・ハンターである自分が速やかに追い詰め殺していた。
しかし、最近そのテリトリーを破り、人里近くに出てくるようになったトロール達がいて、牛や羊を襲うようになった。人間も襲われている。そこで、その確かな原因を探るとともに、全体を把握し、大がかりなハンティングを行っている最中なのだ。


 
3人の学生達はトロールを目撃し、逃げ回り、カメラに納めた後は、ハンスを「ヒーローですね」と讃える。しかし「そんなんじゃない」と言うハンスの目は暗い。「汚れ仕事をしているだけだ」とハンスは言う。
 
車中のラジオから「地球温暖化により・・・」などのニュースが流れ、ここノルウェーにおいてもトロール達の住むテリトリーが狭まり、住みにくくなって来ていることが分かる。このあたりから物語は、家畜を狙うトロール退治というよりも、だんだんと政府の陰謀、人間の身勝手さ、ハンターの苦悩あたりが、学生のカメラに映り始める。
 
The Troll Hunter_14手持ちカメラのモキュメンタリー作品の体を取ってはいるが、他作に比べて揺れすぎる事無く、画像も比較的見やすく、トロールの姿もきちんと映り丁寧に作られているため、登場人物の感情がよりリアルに感じられる。学生達も決してふざけることなく、真剣に取り組み作品を制作している、というあたりに好感が持てる。そしてノルウェーただ一人のトロール・ハンター‘ハンス’の仕事ぶりと、その心の内を想像すると、こちらの胸が痛くなってくる..。
本作は、なんとも真面目な作りのモンスター・モキュメンタリーなのだ。

でもまぁ、あんな巨体のトロール、特に最後に出てくる「ヨットナール」は体長60mもあるから、いくらテリトリーに押し込んでいるとしても、吠える声はいくらでも聞こえてくるだろう。これを「トロールはいない。あれはただの伝説」と国民を完全にだましているという設定には、ちょっと無理があるかも、だが。
それでもなお、本作を観ていると、ホントにトロールはいるのかも、、と思えてくるから不思議だ。
 
では、最後に出演トロールを紹介しておこう。
The Troll Hunter_12 The Troll Hunter_19 The Troll Hunter_24 The Troll Hunter_35
左から
・トッサーラッド(三つ頭)
・リングルフィンチ(橋の下に獲物を蓄えている)
・マウンテンキング(群れで洞窟に住む)
・ヨットナール(体長60mある最大のトロール)
 
 
世界各地にある巨人伝説。
昨今ではUMA(未確認動物)にも分類され、目撃例や足跡、妙なビデオなども後を絶たない。
アメリカのビッグフット、先住民(インディアン)に伝わるサスクワッチ、ヒマラヤのイエティ、中国の野人、日本のヒバゴンなどなど。
そういえば、先日映画館で観てきた『プロメテウス』にも巨人が出てきたな。こちらの知能は人よりも高いようだったが…。
 
ではまた