『鮮血の処女狩り』(1970) - Countess Dracula –

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こんなタイトルですけど、これもイマジカ吸血鬼特集で放送されていた作品。内容はハンガリーに実在した“血の伯爵夫人”ことエリーザベト・バートリの連続殺人事件をベースに、初老の伯爵夫人が若い男との恋に目がくらんで犯行を重ねていく様子を描く。“吸血鬼”の表現についてはこじつけにしか見えなかったけど…

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■ 鮮血の処女狩り - Countess Dracula – ■
1970年/イギリス/92分
監督:ピーター・サスディ
脚本:ジェレミー・ポール
原案:アレクサンダー・パール 他
製作:アレクサンダー・パール
撮影:ケン・タルボット
音楽:遠ハリー・ロビンソン

 
出演:
イングリッド・ピット
ナイジェル・グリーン
レスリー=アン・ダウン
サンダー・エルス
モーリス・デナム
パティエンス・コーリアー
ピーター・ジェフリー
ジェシー・エヴァンス

解説:
“血の伯爵夫人”と称された実在の連続殺人鬼バートリ・エルジェーベトがモデルのハマー・プロ製作ホラー。イングリッド・ピットが美のために鮮血を浴びる吸血鬼を妙演。
(イマジカBS)
 
あらすじ:
17世紀のハンガリー。領主の伯爵が亡くなり、遺産相続発表のため夫人をはじめとする関係者が集まった。その結果に不満を持った初老の伯爵夫人エリザベスは侍女に怒りをぶつけるあまり傷つけてしまう。その血を浴びた伯爵夫人の頬がその部分だけ若い艶々した肌になったことから、夫人は侍女を殺害。全身に血を浴び10代の乙女に変身する ―


ジュリー・デルピー主演『血の伯爵夫人(2009)』では、若返るというよりも気持ちがウキウキして肌に張りが出た、くらいの演出だったように思うけど、この作品では初老の伯爵夫人が完全に、完璧に、魔法でも使ったように若返ってます。
 
この魔法使い伯爵夫人を当時30代前半のイングリッド・ピットが老女と乙女の両方を演じてる。最初は違う人が演じているのかと思ったほど、変身ぶりは鮮やかで違和感がない。
 
Countess_Dracula_15何故この伯爵夫人がこのような力を持ったのかは、本作では“たまたま”起きた事象ということに。けれども一応、老伯爵夫人の恋人が城にある図書館で「人体」という本の「血の犠牲」なる章を確認している様子が映る。そこには処女の乙女の血により若返ることが出来るとかなんとか、の記述が..。
もちろんこの事も不思議な現象なんだけれども一番頭をひねったところは、いかにもお堅く口うるさそうで伯爵夫人然としたエリザベス夫人に夫とは別に恋人がいたこと、だったり
 
Countess_Dracula_17けれどもこの事こそが彼女の次の行動に大きく影響する。
乙女の血を浴びることで若返った肉体を手にできるとわかるや、彼女は亡くなった伯爵の友人の息子に白羽の矢を当てる。遺産相続の場にまだ到着しない一人娘イロナになりすまし(実は到着しないのは、母親である伯爵夫人の指示だったりする狡猾さ)、実年齢から来る経験の豊富さと知識を使って利口で知的、その上美しい令嬢に。そんな令嬢に言い寄られた純粋な青年はすぐに虜になり結婚話まで。
 
がしかし、この魔法には罠があり、「血の犠牲」の効力は長く効かない。新しい恋人と一緒にいる間にもあっという間に元の老女の姿に戻ってしまう。ということで、乙女の血を手に入れるため、次々と犠牲者は増えていくのであった ―


 
Countess_Dracula_13伯爵夫人となり地位と財産は手に入れたものの、幸せな結婚生活とは程遠かったのか、、無くした若い時代を手に入れ、手放したくなかったエリザベス。自分の娘イロナの自由を奪ってまでも取った行動に若さへの執念のようなものを感じる。自分なんかは10代、20代をやり直したいかって問われたら、絶対面倒くさくてイヤだけどなー。でもポイントは今持っている知識や財産そのままに“若く”戻れるという点ですね。
 
Countess_Dracula_12結局、この魔法を使っているところを恋人青年に見られてしまったエリザベス。ショックを受けて茫然自失状態の彼を力でねじ伏せて、そのままの関係を続けて結婚を迫る。うまく利用された老婦人時代の恋人、秘密を知ってしまったために殺された学者、監禁され、その後母親の正体を知ってしまった娘イロナ。何より殺されてしまった多くの乙女達。
そして実在のエリーザベト・バートリが辿ったように、全てが暴露され処刑を待つエリザベス。
この「血の犠牲」によって幸せになった人は誰もいなかったというラストに救いは無いが、圧政を敷いていた伯爵夫妻がいなくなった事により、領地の人々は束の間の自由を得たのかもしれない。