『ブランカニエベス』(2012) - Blancanieves –

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サイレント映画を初めて観た。わかるものですねー。というか頭の中で台詞が踊って、登場人物達の気持ちがより入りやすいように思えた。内容は「白雪姫」ベースの物語だけれど、ラストはアレですよ、あの『パンズ・ラビリンス』。取り方は色々だろうけども…

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■ブランカニエベス - Blancanieves -■
2012年/スペイン・フランス/104分
監督・脚本:パブロ・ベルヘル
製作:イボン・カルメンサーナ 他
製作総指揮:イグナジ・エスタペ 他
撮影:キコ・デ・ラ・リカ
音楽:アルフォンソ・デ・ビラリョンガ


出演:
マリベル・ベルドゥ(エンカルナ)
ダニエル・ヒメネス・カチョ(アントニオ・ビヤルタ)
アンヘラ・モリーナ(祖母)
マカレナ・ガルシア(カルメン/白雪姫)
ペレ・ポンセ
ホセ・マリア・ポウ
インマ・クエスタ
ソフィア・オリア(カルメン幼少期)

解説:
誰もが知る童話『白雪姫』に大胆なアレンジを加え、天才闘牛士の血を引くヒロイン、ブランカニエベス(白雪姫)が辿る数奇な運命を、モノクロ&サイレントで独創的かつスタイリッシュに描き出した異色のダーク・ファンタジー・ドラマ。出演はブランカニエベスにこれが映画初出演のマカレナ・ガルシア、その邪悪な継母に「パンズ・ラビリンス」のマリベル・ベルドゥ。監督はこれが長編2作目となるスペイン期待の俊英パブロ・ベルヘル。スペインのアカデミー賞にあたる2013年のゴヤ賞では18部門にノミネートされ、みごと最多10部門を受賞。

 
あらすじ:
1920年代のスペイン。天才闘牛士アントニオはある時、アクシデントに見舞われ、荒れ狂う牛に体を貫かれて瀕死の重傷を負う。それを観戦していた妻はショックで産気づき、娘カルメンを生むと同時に亡くなる。一方、全身不随となったアントニオは、不幸にも恐るべき悪女エンカルナと再婚してしまう。はたして継母となったエンカルナは好き放題を繰り返し、カルメンにも手ひどく虐げるのだった。やがて美しく成長したカルメンは継母によって命を狙われ、死にかけたところを小人闘牛士団の一行に救われる。カルメンは“ブランカニエベス(白雪姫)”と名付けられ、彼らと共に巡業の旅へ出ることに。そして、いつしか女闘牛士として人気者になっていくブランカニエベスだったが ―

(allcinema)


Blancanieves_34あらすじは上↑のとおり。
ある天才闘牛士が身体の自由と愛する妻を同時になくしてしまう悲劇が起きる。彼は妻の命とひきかえに産まれた娘をどうしても受け入れることが出来ず、、娘カルメンは祖母の手で育てられることに。悲劇の闘牛士アントニオが入院中に面倒をみてもらっていた看護師エンカルナは、それらを腹黒い目でじっと見ていて、うまくアントニオの後妻に収まる。アントニオは超お金持ちだったのです。
 
悲劇の父と悲劇の娘と腹黒継母。これらをドラマチックな音楽で盛り上げ、又は哀しませ、台詞の無いままお話は進んでいく。時たま入るサイレント映画独特の台詞の字幕はほとんど想像通りで、そういうところも楽しい。登場人物達の見た目もとても分かりやすい。見た目がそのまま性格や思考回路を反映していて、絵本みたいなんですね。お話そのものも「白雪姫」ベースだから「絵本」で間違っていないような気もするけど。
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といっても、登場人物達はそれほど単純でも無く、起きた事や環境によって変化していく様子が描かれる。
気高い闘牛士アントニオが全てを失い茫然自失となった時。それをうまく利用して結婚をOKさせたエンカルナ。父親と継母の元で育てられなかったカルメンだったが祖母の元で天真爛漫な少女に。結婚した途端に夫の面倒もみず、夫の資産で遊び回るエンカルナ。祖母の急死で父親の元に引き取られ、ほぼ初めて対面することになった父娘はすぐに打ち解ける。カルメンを邪魔に思う継母は、夫を事故死させた後、カルメンも亡き者にしようと画策・・・
色々なことがドラマチックに次々と起きはするが、変化するというよりも、より成長していく登場人物。中でも継母エンカルナはより邪悪に突き進み、ふさわしい最期を遂げる。
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どんな境遇であっても周囲の人を幸せな気持ちにさせ、愛されたカルメン。このお話には「白雪姫」らしく彼女を助けることになった小人達も登場する。が、「白雪姫」と大きく違うラストが待っている。
現実はそううまくはいかない。彼女が流した一筋の涙から、あれは眠っているように動くことはないけれど意識はある、というような病気にされてしまったということなんだろうか…
最後の最後になって、これはファンタジーだったのか、厳しい現実のお話だったのか、と悩んでしまった。そこがとても『パンズ・ラビリンス』のラストに似ている。