『少女生贄』(2013) - Nothing Left to Fear –

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少女生贄』っていう邦題はちょっと違ってる感じがする。たしかに生贄代表は女の子。けれど本当の生贄は少女に限らず、見境無くやられる。何を“やられる”かは観てのお楽しみ。でもあんまり楽しくないけど… 全体的に運びもゆっくりで、見せ場も既視感ありあり。あれですよね、やっぱり『サイレント・ヒル』は映像的にも話的にも面白かったナ。
 

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■少女生贄 - Nothing Left to Fear -■
2013年/アメリカ/100分
監督:アンソニー・レオナルディ三世
脚本:ジョナサン・W・C・ミルズ
製作:スラッシュ 他
撮影:マーティン・コッペン
音楽:スラッシュ 他

出演:
アン・ヘッシュ
ジェームズ・タッパー
イーサン・ペック
レベッカ・ブランデス
ジェニファー・ストーン
クランシー・ブラウン

解説:
元ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュがプロデューサーを務めたホラー。
(キネマ旬報社)

あらすじ:
カンザス州の小さな町スタルの教会に赴任してきた牧師一家。前任のキングズマン牧師や町の人々に歓迎されて新生活が始まったが、長女レベッカは町に漂う説明しようのない不穏なものを感じ取り、悪夢を見るようになる。そうするうち、次女メアリーの体調が悪くなり ―


Nothing_Left_to_Fear_24都会からカンザス州にあるのどかな町スタルへ赴任してきたダン牧師一家。前任のキングズマン牧師や町の人々は親切で、豪華な家を用意、新しい牧師一家を歓迎してくれて順調に新生活が始まった。
長女レベッカも気になる男の子と出会い、デートにも出かけて楽しい日々を送り始めるが、何かこの町に違和感を覚える。ほどなく彼女は悪夢を見始めるが、さほど気にしてはいなかった。

Nothing_Left_to_Fear_15ある日、引越祝いで近所から頂いたケーキを食べた次女メアリー。だが中に混入していた不気味な大きな牙で口の中を傷つけてしまってから、体調が悪くなった。
町のお祭りに出かけたものの、体調は悪くなるばかり。家族と離れて一人でいる時に倒れ込んでしまったメアリーは、ある町の男に抱きかかえられる。だが、男は彼女を洞窟のような場所に括り付け、彼女が気が付いた時にはキングズマン牧師が執り行う奇妙な儀式で生贄として捧げられようとしていた ―  

ちょいとネタバレ

この町スタルは曰く付きの地で、「地獄の門」がある場所というのが真相。その地獄の門に定期的に生贄を捧げると、地獄の使者が生贄に取り憑き、人々を襲い始める。やがて一通り、襲撃が終わると、地獄の門を閉じるために新たな人間の血を捧げ、門を閉じる、という事を長年行ってきたらしいこの町スタル。
そんな事を続けていたら町に人が絶えてしまうため、生贄及び被害者を外から呼び寄せるため、なんと!罰当たりにも次々と牧師家族を呼び寄せていたようだ。全てを牛耳っているのがキングズマン牧師。


Nothing_Left_to_Fear_18今回、生贄に選ばれたのは牙を口に含んでしまった次女メアリー。
母親が夜のデザートにするからと言って置いてあったケーキをつまむくらい元気な女の子。このメアリーが悪魔か何かに憑依されるが、もともと健康的な体格だからか、、ちっとも怖くない
憑依されると目は穴が空いているだけのようになり、口は縦に大きく開いて、確かに顔は不気味なんだけど、動きはよくある貞子風だというのに衣装はそのままのジーンズ姿だし、体格がいいから、何故か出てくるたび笑ってしまう。

Nothing_Left_to_Fear_12彼女の周りには地獄へと繋がるがごとき、墨のようなものが広がっていく。んだけど、これも中央にいるのがはち切れんばかりのメアリーさんだからねぇ.. 冒頭にも書いたけれど、『サイレント・ヒル』でサイレンと共に剥がれていく壁、トイレのジャニターが手を付く場所に広がる血管のような地獄の網の目は、もうワクワクするほど大好きなシーンだっただけに、こちらの映画からは地獄が広がる恐怖度と悲壮感は伝わらなかった。

と言ってもどれもダメじゃ無くて、長女レベッカが見る悪夢のシーンはなかなかの出来で印象に残る。口から墨をはく女はありがちだとしても、羊に取り囲まれるシーンはオープニングと繋がるだけに、可愛い羊がゾッとする存在に。それと末の弟が一人で逃げ惑うシーンは悲壮な感じがよく出ていて思わず同情してしまう。
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それと音楽。
Sympathy for the Devil」が大好きな自分としては、そういう意味でなかなか楽しめた。

メアリーがよたよた歩くシーンがやたらある事、肝心の儀式があっさりしている事、メアリーの恋人ノアの存在意義があまり無い事が残念だったけど、次に期待したいと思う。

Slash元ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュが音楽・プロデュースを手掛けた、傑作ホラーが遂に日本上陸!
これまで多くの映画でサントラを手掛けてきた彼の音楽が、本作でも特殊効果や視覚効果と共に不気味な雰囲気を作り出し、批評家たちから絶賛。サウンドトラックはホラー映画史上、異例の大ヒットとなった。
スラッシュは本作のために自ら制作会社を設立。彼のもとに多くの優秀なスタッフが集結した。VFXを手掛けたのは、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』や『トランスフォーマー』、『ハリーポッター』シリーズなどを手掛けてきたハリウッド精鋭のスタッフ陣。特殊効果を『ヘンゼル&グレーテル』や『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』のスペシャル・モーション社が担当。
The Cabin in the Woods_04監督は今作が長編初監督となるアンソニー・レオナルディIII。今までに『キャビン』や『ローン・レンジャー』、『47RONIN』などホラーのみならず、ハリウッド・ビッグタイトルに携わっており、その手腕を見いだされ今作の監督に大抜擢されている。
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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 弟は可哀想でしたよね。ここが一番ノアの行動に?になったけれど、よくよく考えると次の展開に弟は邪魔だった、ということだろうか…
    とにかく本編の半分近く、悪魔憑きメアリーが歩いていたと思えるほど、ダラダラ進行でしたねー。あれをもっと削って、儀式とか何とかに時間を割いて欲しかったです。
     
    そう言えば、今日『貞子3D /2』を観たんですが、「墨」描写と「顔」描写が酷似していて笑ってしまいました^^

  • クリストファー(末弟)が不憫でした…
    あんなすぐ近くに不っ気味ーな存在(メアリー)がいるのに
    「車を止めて!」はないだろう…
    少年の足が爛れちゃうところとか、一家に追い出されるくだりとか、
    その辺はかなり楽しめたのですが
    全体的にダラダラしていて、PVみたいなデート風景は一体?とか
    羊の気持ち悪さがようく伝わった!みたいな映像とか微妙でしたねー
    悪魔が憑依して侵食していくかのような(墨のようなものが広がる)演出は、この手のB級にしては良かったとは思うのですが。(まあ確かにあれはサイレントヒルの二番煎じでしたね)

  • 少女生贄

    「サウンドトラックはホラー映画史上、異例の大ヒットとなった」らしい…。嘘でしょー。
    ウキャーって感じの幻覚をみたり大勢の人間を見たりしますが、知り合ったノアと言う青年にも隠された秘密が…。
     
    引っ越し祝いのケーキの中に入っていたものは、なにかの牙で、次女メアリーがそれを食べて口の中を切ってしまう。「選ばれたものはメアリーだ」と言っていたノア。そして祭りの最中に拉致され、縛られて周囲の水…

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