『袋小路』(1966) - Cul-de-sac –

夢の世界はお金で買えない

 

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■袋小路 -Cul-de-sac-■ 1966年/イギリス/108分
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラシュ
製作:ジーン・グトウスキー
製作総指揮:サム・ウェインバーグ
音楽:クシシュトフ・コメダ
撮影:ギルバート・テイラー
出演:
ドナルド・プレザンス(ジョージ)
フランソワーズ・ドルレアック(テレサ)
ライオネル・スタンダー(リチャード)
ジャック・マクゴーラン(アルバート)
ジャクリーン・ビセット(ジャクリーン)
ウィリアム・フランクリン(セシル)
ロバート・ドーニング(フェアウェザー氏)
マリー・キーン(フェアウェザー夫人)
 
解説:
R.ポランスキー監督が第16回ベルリン映画祭で金熊賞に輝いた不条理サスペンス。孤島の古城で暮らす男性と美しい若妻、ならず者2人組という4人の奇妙な関係を描いた。
 (WOWOWより)
 
あらすじ:
Cul-de-sac_08満潮時に孤島となる海辺の古城で、若くて美しい2度目の妻と暮らす中年男ジョージ。そこへ危ないヤマを失敗し、手負いとなったギャング2人が闖入する。深手をおったアルビーは翌日死ぬが、残った粗野な大男リチャードはボスの迎えを待つために2人を半ば人質に。こうして3人の一風変わった人質生活が始まる ―


 
モノクロで撮られた古いこの作品。
でも去年の映画だよ、と言われて見始めても疑わないんじゃないだろうか。
 
メガネの中年男ジョージは若くて美しいフランス人テレサに魂を奪われて、妻と別れ再婚する。
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若妻とのめくるめく愛を育もうと親から継いだ工場を売り払い、全財産をつぎ込み孤島の古城を購入。世俗から離れ、海でカニを捕り、2人だけの世界にどっぷりはまる。人に会うのはたまに訪ねてくる近隣住民家族や昔の友人だけ-のはずだった。
 
そこへ銃を持ち、怪我をした手負いの熊のような男が突然やって来る。
Cul-de-sac_03仲間を助けるから車を押せだの、仲間が死んだから埋めるための穴を掘れだの、酒を出せだの、メシを作れだの、命令ばかりされてむかつくがしょうがない。身体はごついし銃を持ってるから到底太刀打ちできない。
テレサといえば、そんな自分を冷ややかな目で見ているが、しょうがないじゃないか。
だが、なんだ?やけにリチャードと楽しそうにはしゃいでいるじゃないか。おかしいだろ。リチャードは犯罪者だぞ。人殺しだってしてるかもしれないのに。
とはいえ、見た目ほど悪いやつにも見えないが。

せっかく全財産をはたいてこの城を買ってテレサを誰の目にも触れさせないようにしようとたくらんだのに、テレサは不満でもあるのか、何かと言えば海に泳ぎに出るし、冷たい目で見てくるし。
城はすきま風が入り込んで冬は寒いし住みにくい。
そんな愚痴を聞いてくれるリチャードは、前妻の話を始める昔の友人なんかに比べてもとても付き合いやすい、いいヤツかもしれない。

 


あまり深く考えない小心者なのにプライドだけはしっかり持っているジョージ。
こんなジョージに自由奔放な若妻テレサを制御できるはずもない。
そんなところに闖入してきたギャング、リチャードも相棒に死なれボスに見捨てられ先がない。
袋小路にどっぷりとはまった登場人物達がどうやってこの窮地を抜け出すかをコメディタッチで描いている。おかしくもあり、悲壮でもある3人。袋小路から抜け出すことは出来るのか?

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監督はロマン・ポランスキー
有名な監督だが、作品以外の詳細はあまり知らなかった。

ユダヤ教徒のポーランド人の父親とカトリック教徒でロシア生まれのポーランド人の母親を持ち、ポーランドのクラクフで幼少期を過ごした。
第二次世界大戦時はナチス・ドイツがクラクフに作ったユダヤ人ゲットーに押し込められた。ゲットーのユダヤ人が一斉に逮捕される直前、父親はゲットーの有刺鉄線を切って穴を作り、そこから息子を逃がした。父母はドイツ人に別々に連行された。母親はアウシュビッツでドイツ人に虐殺された。父親はドイツ人により採石場で強制労働をさせられ、終戦まで生き残った。
また自身も、ドイツに占領されたフランスのヴィシー政権下における「ユダヤ人狩り」から逃れるため転々と逃亡した。この体験がポランスキーの作品に深く影響を与えることとなった。(Wiki)
 

Sharon Marie Tate

Sharon Marie Tate

1962年に『水の中のナイフ』で監督デビュー。
吸血鬼(1963)』監督後、出演したシャロン・テートと結婚。
が、1969年チャールズ・マンソン率いるカルト教団にお腹の子とともにシャロンを惨殺される。
 
 
スランプの時期もあったが、『戦場のピアニスト(2002)』でアカデミー監督賞を受賞。
当時としては監督賞の最年長受賞者である。

ドナルド・プレザンス(ジョージ)
Cul-de-sac_09坊主頭と特徴のある声のせいか悪役や狂人役が多く、特に『007は二度死ぬ』における悪の組織スペクターの首領ブロフェルド(『オースティン・パワーズ』のDr.イービルのモデル)役、『大脱走』の書類偽造屋、『ミクロの決死圏』の学者役は有名。演技の守備範囲も広く、強烈な悪人から一癖ある善人までを難無くこなした。活動拠点もTVドラマやハリウッド映画にとどまらず、母国イギリス、フランス、イタリア、ドイツをはじめ、アフリカやアジアが製作した映画にも出演した。
一番有名な出演作は、ホラー映画『ハロウィン』シリーズの主人公ルーミス役で、第1作から彼の晩年に上映された第6作(第3作のみ外伝的な為出演せず)まで出演し、殺人鬼マイケル・マイヤーズを執念で追い続ける精神科医の役を見事に演じている。 1995年没(享年75才)  Wikiより


フランソワーズ・ドルレアック(テレサ)
Cul-de-sac_10小鳥のように笑ってさえずり、じっとしていないテレサ。
コケティッシュを絵に描いたような女優フランソワーズ・ドルレアックの妹は女優のカトリーヌ・ドヌーヴ。
1964年に封切られた映画『リオの男』と『柔らかい肌』でスターとなり順調に映画に出演していたが、1967年自身が運転する車の事故で亡くなった。享年25才。

 


モノクロでありながら、リチャードの体臭やテレサの匂い立つような美しさが堪能できるこの作品。
一番の見どころは一番最後。
小鳥のようなテレサを失い、自らが小さな岩に閉じ込められて前妻の名を呼び泣いている哀れな男の姿。なんか身につまされるものがあって、一緒に泣きたくなりますよ。
この後、ジョージはどうしたのかな。
 
ではまた

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