『死霊館』(2013) - The Conjuring –

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出没-Infestation、攻撃-Oppression、憑依-Possession ―。悪魔が人を乗っ取るこれら恐怖の手順にさらされた、ある一家と悪魔研究家の戦い。この映画が実話ベースとは知らなかった。登場する悪魔研究家は、あの超有名な「アミティヴィルの恐怖」の家を診た夫婦。でもあれはでっち上げだと暴露されたはず・・
アレ?
 

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■死霊館 – The Conjuring -■
2013年/アメリカ/112分
監督:ジェームズ・ワン
脚本:チャド・ヘイズ 他
製作:トニー・デローザ=グランド 他
製作総指揮:ウォルター・ハマダ 他
撮影:ジョン・R・レオネッティ
音楽:ジョセフ・ビシャラ

出演:
ヴェラ・ファーミガ(ロレイン・ウォーレン)
パトリック・ウィルソン(エド・ウォーレン)
リリ・テイラー(キャロリン・ペロン)
ロン・リビングストン(ロジャー・ペロン)
シャンリー・カズウェル(アンドレア)
ヘイリー・マクファーランド(ナンシー)
ジョーイ・キング(クリスティーン)
マッケンジー・フォイ(シンディ)
カイラ・ディーヴァー(エイプリル)
シャノン・クック(ドルー)

解説:
「ソウ」「インシディアス」のジェームズ・ワン監督が、実在する著名な超常現象研究家エド&ロレーヌ・ウォーレン夫妻が1971年に体験した衝撃の事件を基に描く戦慄のオカルト・ホラー。(allcinema)
 
あらすじ:
1971年、ロードアイランド。心機一転、人里離れた一軒家に5人の娘と引っ越してきたペロン夫婦。夢のマイホームを手に入れて幸せに暮らすはずだったが、飼い犬の突然死、妻キャロリンの身体に表れた奇妙な痣を皮切りに不気味な現象が起こり始める。これらが悪霊のせいだと確信したキャロリンは、著名な心霊学者ウォーレン夫妻に助けを求めるが ―


Tower of London「幽霊屋敷」と呼ばれて恐れられている建物は世界中に結構ある。
自分の首を持って歩き回るアン・ブーリンが度々目撃されるロンドン塔や、一家に呪いをかけられたと信じて屋敷を増築し続けた米国ウィンチェスター・ミステリー・ハウス。ニコラス・ケイジが手に入れたものの、安眠することが出来ずに結局は手放すことになった米ニューオリンズのLaLaurieマンション(詳しくはこちら icon-arrow-right レビュー「アメリカン・ホラー・ストーリー:魔女団」)、政府も認めたとされる米カリフォルニア州サンディエゴにあるホエーリー ハウス
城や文化遺産級の建物から、庶民の間で噂される個人の所有する屋敷、引っ越したらお化け屋敷だったまで、多数の幽霊達がその建物に住み続けている。が、総じてヨーロッパの幽霊達は大人しめ。フワリと現れてはただただ歩き回るという印象で、生きている人間に害を及ぼすという話はあまり聞かない。
 
The Conjuring_37だけれども!これがアメリカになると話が違ってくる。もっとアクティブに、もっと過激に、もっと暴力的になる。
この理由は、取り憑いているのが“幽霊”では無くて、“悪霊”や“悪魔”だからのようだ。本作に登場する実在の悪魔研究家であり透視能力を持つロレイン・ウォーレンも作品内で言っていた。“幽霊”は元々人間だから超常的な力を持つことは無い。人に対して攻撃し憑依するのは“悪魔”の類いだと。
 
The Conjuring_29人間に憑依した悪魔を追い出す儀式を行うのはエクソシスト。この儀式を行うのには最終バチカンの許可が必要となるが、そこに願い出るまでには確固たる“悪魔憑き”である証拠が必要となる。それらの証拠集めは神父など教会関係者だけでは手が足りない。そこで登場するのが霊能力者、心霊学者などだ。
自然現象や勘違いなどの案件は排除し、真性の“悪魔憑き”を聞き取り調査から始めて、その土地、建物の歴史を調べ、十字架や聖水の他、カメラやマイク、温度感知器、その他の機材を使って正確に、科学的に記録に残し見極める(幽霊屋敷映画によく出てくるアレですね)。
このウォーレン夫妻が取り扱った心霊案件は10万件とも言われ、『悪魔の棲む家(1974)』アミティヴィルの幽霊屋敷の調査が有名だが、そんな中、「最も邪悪で恐ろしい事例」としてこれまで封印してきたものが本作だったのだ・・
 
The Conjuring_20冒頭、夫妻が扱った1968年「アナベル事件(人形に取り憑いた悪魔事件)→アナベル人形実物画像」から始まるが、よくいる巷の霊能力者とは違って、聞き取り調査から正確に判断し、もったいぶらずに被害者に事実と対応策を伝える様子に好感を持てる。扱うことが超常現象ではあるが、基本的には科学的に解決していく。しかし、それでは済まされない事例もある。それがペロン一家が住む屋敷だった。
 
引っ越し当日から家に入りたがらない飼い犬、妙な臭い、屋内の気温が低い、3時7分で止まる家中の時計に始まり、妻キャロリンの身体に表れ出したいくつもの痣、家の外壁にぶつかっては死ぬ鳥・・・。そしてとうとう実態を現して家族に襲いかかるようになって、キャロリンはウォーレン夫妻に相談する。
The Conjuring_19聞き取り後、すぐに機材を使った調査が始まるが、この家に巣くう悪霊は、どうどうと姿を現し、その数は1体に止まらない。ロレインがこの地を調べたところ、18世紀に建てられたこの屋敷には“魔女”の疑いのある女が住んでいたことが判明。この地に呪いをかけて自殺した魔女バスシーバ・シャーマン。この女の呪いのせいで、この地に住むことになった者は自殺し、あるいは殺人を犯すという凄惨な最期を遂げていたのだった。
 
悪魔は「家族」を狙う。そしてその中でも特に弱点のある者、心の弱い者を選び憑依する。この家族は悪魔の行動「出没」「攻撃」までを受けており、最後の「憑依」までの時間はあまり残されていない。
そうする内、家族の一人の言動がおかしくなり―

  

 
The Conjuring_28レンタルしたブルーレイの特典映像によると、この映画は実際の事件をかなり正確に再現されているという。実話ベースという事もあってか、恐怖シーンは同じジェームズ・ワン監督の『インシディアス』に比べて、それほどおどろおどろしくなく自然な怖さを演出している。とは言え、いきなり手がにゅっと出てくるシーンなどはビクッとなるけど
それと悪魔と戦うことになるウォーレン夫妻の「家族を助けたい」という真摯な取り組み方がとてもいい。夫妻にも娘がいて、5人の娘がいるペロン家への同情にも共感できる。
 
このペロン家の事例の原因が何であれ、また例えアミティヴィルの家のように創られたものであったとしても、「困っている家族を救いたい」というウォーレン夫妻の気持ちは理解したいと思う。